上海で披露された新生ブライトリングの新作「ナビタイマー 8」

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新しい体制となったブライトリングが2018年1月末、上海でワールドプレミアを開催し、新作を発表した。この個性的なブランドは果たしてどうなったのか? 興味深いイベントであった。

時計界久々の衝撃ニュース

それは時計界における久々に大きなニュースだった。独立系時計ブランドの雄、ブライトリングの株式を投資会社CVCキャピタル・パートナーズが取得。その傘下に入ることになったというのだ。

時計界でも希有な存在であるあのブライトリングが変わってしまうのか? 個性的なコレクションはどうなるのか……時計好きの間では、この話題で持ち切りとなった。

そして、その答えは1月29日、30日に上海で行われたワールドプレミアでお披露目されることとなった。チューリッヒ、ニューヨークでも同様のイベントが開催される予定で、アジア圏は上海で、ということである。

クロノグラフ中心に発展

そんなブライトリングの歴史について、ここで少し振り返ってみたい。

ブライトリングは、1884年に誕生。創業当初からストップウォッチと懐中型クロノグラフの製作に力を注いでいる。やがて、航空機時代の幕が開き、創業者であるレオン・ブライトリングはパイロットを夢見るのだが、それが叶わぬと、その思いを時計に託し、パイロット用の小型懐中クロノグラフを次々と作り出していく。そして、高い評価を得るのである。

息子の時代に移っても、その姿勢は変わらず、クロノグラフを中心とした時計作りを押し進めていく。

そして、1915年には、独立した専用プッシュボタンを備えた世界初の腕時計型クロノグラフを発表するに至る。その後も、23年にはスタート&ストップとリセット機構を分離。34年には、クロノグラフ針をリセットする専用の第2ボタンを開発していく。つまり、現在人々が親しんでいるクロノグラフ機構の多くは、ブライトリングによって開発されたもの、といえるのである。

そんなブライトリングが、航空時計のスペシャリストとして確固たる地位を確立したのが、36年の英国空軍とのコックピット・クロックの供給契約である。このプロジェクトで高い評価を得たブライトリングは、その後、多くの航空機メーカーと契約を結び、さらにその名を高めていった。

現在もブライトリングの代表的モデルである「クロノマット」は、世界初の対数目盛り付きの計算尺を装備したモデルとして42年に登場し、52年には航空用回転計算尺によって大半の航空計測を可能にした「ナビタイマー」が発表された。20世紀中期のこの時代には、すでに現行モデルの原型が出来上がっていたのである。



アイコンモデルの新作がお目見え

上海でのイベントには、そんな歴史を重々承知な時計関係者がアジア各国から約350人招待された。日本からもメディア関係者、ディストリビュータなど約50人が参加。新しいブライトリングの門出を見守ったのである。

そして、29日のガラディナーの会場で華々しく発表されたのは、同社の顔ともいうべき人気コレクション「ナビタイマー」。新作を見た瞬間、”あのナビタイマーが変わってしまったのか”と思ったのだが、この新作は「ナビタイマー 8」であって、これまでの「ナビタイマー」とは違うモデルだという。


新作「ナビタイマー8」

モデル名となった「8」は、軍民両用のコクピット計器やクラシックなパイロットウォッチを製造するために、1938年に設立された8(ユイット)・アビエーション部門に由来するという。つまり、その原型は、現行「ナビタイマー」よりも古いものなのだ。

デザインを手掛けたクリエイティブ・ディレクターのギー・ボーベ氏は、「ブランドの未来を賭けたヴィジョンに沿って、20世紀初頭から中期にかけて創られた偉大なブライトリングの栄誉を称える時計を造り出したいと思い、製作したのが『ナビタイマー 8』なのです」という。

ヘリテージを再解釈する

翌日には、4つのテーマでワークショップを実施。新作の説明とともに、ヴィンテージ・ブライトリングのコレクター、フレッド・マンデルバウム氏の貴重な歴史的コレクションが披露され、ブライトリングがいかに素晴らしい遺産を有しているか、ということを再認識させられた。

新生ブライトリングの新CEOに就任したジョージ・カーン氏も、まずその歴史に目を向けたという。

「私はまずブランドのヘリテージを調べた。すると、ブライトリングは以前から空以外のフィールドにも深くかかわっていたことが分かった。50年代には『スーパーオーシャン』というダイバーズウオッチを発表している。宇宙に初めて行ったクロノグラフもブライトリングのものだ。マイルス・デイビスが愛用していたり、ジェームズ・ボンドの腕にも巻かれている。F1パイロットの愛用者も多い。女性向けのスポーツウォッチでの成功例もある」など、今後ヘリテージの積極的活用を示唆する発言をしている。


ブライトリングの新CEO、ジョージ・カーン氏

ブライトリングは今後、陸海空それぞれのエリアで商品群を再構築し、”クールでありながらインフォーマルといったイメージ”を目指すという。

ジョージ・カーン氏は、IWCのCEOを約15年間務めてきた時計界のビッグネームのひとり。彼のリーダーシップによって切り開かれるブライトリングの未来は果たしてどんなものになるのか。この先の展開が楽しみになる幕開けだった。