コレを食べずして帰れない!青森駅前の隠れ名物ラーメン&はみ出るすじこ巻き

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魅力も美味しさもはみ出るほどに詰まった、青森名物を発見! 知る人ぞ知る隠れた美味とは?

【青森駅から徒歩で行ける至高のグルメ】


Vol. 3 「味の札幌 浅利」の味噌カレー牛乳ラーメン&「三九鮨」のすじこ巻き


「食べログマガジンって東京のグルメ情報に少々偏りすぎでは?」。そんな疑問を編集部にぶつけてみたところ、「それでは我妻さん、地方グルメを取材してきてください」と仰せつかることに。

今回、筆者が向かった先は青森県。中でも、青森市にはJR青森駅から徒歩圏内で行くことができるエリアに最高に旨いモノが集っているという。地方都市において、中心駅から歩いて最高の食にありつける……言うなれば“至高の徒歩グルメ”を知っておけばこんなに心強いことはない。

最後に紹介するのは、「味の札幌 浅利」の味噌カレー牛乳ラーメンと、「三九鮨」のすじこ巻き。昼と夜の青森市名物を食べて、最高の青森旅を演出してくだされ!

カオソーイを超えるマイルド&スパイシーなラーメン


青森市には“味噌カレー牛乳ラーメン”という何とも聞きなれないラーメンが存在する。

駅から歩いて5分ほどにある「味の札幌 浅利」。

店主・浅利さんは、味噌ラーメン文化のない青森で、「いかにして青森市民に受け入れられるか?」と、札幌ラーメンの味噌味を青森風に改良すべく試行錯誤を重ねてきた一人だ。昭和40年代、味噌、塩、醤油をベースに、カレーまたは牛乳を組み合わせたラーメンを出すや好評となり、“味噌カレー牛乳ラーメン”の原型が完成したという。

昭和50年代になると、主要な客層だった中高生の間で、「いろいろなラーメンの組み合わせを楽しむ」ことがブームとなり、“味噌カレー牛乳ラーメン”が定番化する。当初は隠れメニューだったものの、あまりの人気に正規メニューに格上げ。以来、さらなる研磨を磨き、青森市内を代表するソウルフードとなったのだ。歴史と偶然が織りなした庶民から愛される味、それが“味噌カレー牛乳ラーメン”というわけだ。


味噌カレー牛乳ラーメン800円


 

「味よりも話題を重視した悪ふざけのラーメンと認識して、お店に来る人も少なくない。『物珍しさで食べてみるか』なんて吹聴していたお客さんが目の前で、『あれ? これ美味しい!? うまい……』と“味噌カレー牛乳ラーメン”の魅力にハマり、黙々と食べ続ける姿を見ると、『してやったり』の気分。痛快ですよ」と、浅利さんは笑う。

そう。このラーメン、ウケ狙いでも何でもない。スパイスの利いたカレー味に、マイルドな牛乳が加わり、そこに味噌の味の深さがにじみ出る。ココナッツミルクがカレースープに加わることで超絶美味麺となるタイ北部の料理「カオソーイ」の日本版と形容したくなる美味しさ。「味の札幌 浅利」の“味噌カレー牛乳ラーメン”は、他店のそれに比べスパイシーな味わいが特徴。それゆえラーメン meets カオソーイといった新しい感動がある。


味噌カレーナンバンラーメン(800円)


 

また、「味の札幌 浅利」で昨今人気を博しているのが、“味噌カレーナンバンラーメン”(800円)だ。ナンバン(ナンバとも呼ばれる)とは、青森・津軽地方で唐辛子のこと(なんと津軽地方は400年以上の歴史を誇る唐辛子産地でもある)。味噌の甘みとコク、カレーのスパイシーさ、そして唐辛子のパンチ。上にのった特製の辛味噌は汗が噴き出るほど辛さがあるものの、この刺激がさらにうまさを引き立てる!

“味噌カレー牛乳ラーメン”も“味噌カレーナンバンラーメン”も、ご飯を浸して食べると上質なスープリゾットのような深みが感じられるので、ぜひライスと一緒に食べてほしい。スープがむちゃくちゃ旨い!

 

「三九鮨」の巻物は、具材も魅力もはみ出ている!


さて、駅周辺の数多くの美味なグルメが集う青森市にあって、フィナーレを飾るにふさわしい名店が青森県庁からほど近い「三九鮨」だろう。何はともあれ、こちらの写真を見ていただきたい。


すじこ巻き(一人前三本 1500円)


 

はみ出ているッ! もう、はみ出てますよ、すじこが!

青森市(を含む青函圏)ではすじこを食べる文化が根付いており、藩政時代からその歴史は続いているという。ちなみに、「すじこ」は未成熟の卵を使用して作られ、その名のとおり筋のまま、ほぐさず1 本ずつ、主に塩分濃度4〜7% の塩で漬け込まれたものを指す。対して、「いくら」は成熟し、卵膜がしっかりとした卵を使用し、それらをほぐして、主に醤油で味付けしたものとなる。

言わばすじこは、冷蔵機能などがない時代の保存食としての名残であり、その熟成された美味しさはいくらにはない魅力といえよう。それにしてもこの量は半端ではない。「おかしいよ! こんなの反則だよォ!」と松木安太郎ばりの口調でテンションが上がってしまう。


左からサバ巻ワサビの花(一人前三本850円〜)、うに巻き(一人前一本1000円)


 

「三九鮨」では、ぜひとも巻物を食べてみてほしい。もちろん、握りも美味しい。しかし、写真が物語るように、巻物の美味しさと魅力が突出、というか“はみ出て”いるのだ!

写真の「サバ巻ワサビの花」を見て、「おいおい、ワサビまではみ出ているじゃない!」と目を丸くする人もいるだろう。ところが、 サバ巻ワサビの花を横に寝かさずこのまま口の中に入れ、舌の上の部分(硬口蓋)でわさびをつぶすように食べると、驚くほどに旨い。わさびを(味覚に敏感な)舌につけてしまうと、まるで罰ゲームのようになってしまうのだが、 硬口蓋でつぶすように咀嚼することで、ほどよい刺激が口の中を包み、甘くて脂がのったとろサバと最強にマッチする。

スズキ、ウスメバル、クロメバル、マコガレイ、スナガレイ、ウマヅラハギ、ヒガンフグ、シマソイ、クロソイ、 真ソイ、ホッキ貝……圧巻の白身盛り。この量で三人前!

刺身の盛り合わせ(1人前1000円〜)もオススメの一品。白身魚を愛する店主・小野さん選りすぐりの白身がズラーッと勢ぞろいする「三九鮨」の白身の刺し盛りは、他店では味わえない珍しい絶品刺身が味わえる。

青森は日本海、津軽海峡、陸奥湾、太平洋といった具合にそれぞれ性質の異なる海を擁する日本屈指のおさかな大国だ。多彩な魚介類が集う中で、特選の白身魚に特化した三九鮨の刺し盛りは、まさに白眉の刺身。年間を通して、「できる限り白身魚を提供している」とのことなので、春夏秋冬、それぞれの季節にしか食すことができない極上の白身魚を堪能してほしい。

ちなみに、「三九鮨」のビールの生は、これまた小野さんが好きだという「レーベンブロイ」。フルーティーでさっぱりとした味わいと、白身魚との相性が抜群で、「白身魚には白ワインよりもレーベンブロイのほうが合うんじゃないのか!?」という新鮮な発見をもたらしてくれる。レーベンブロイと スナガレイ、ウマヅラハギなんて、もう旨いに決まってるじゃないですか……お値段も良心的だし、とんでもないお店です、「三九鮨」。



 

気高さと質の高さに舌を巻く、いや、舌鼓をするしかない青森駅前周辺の食と文化。そして、気軽に誇り高き青森の食に触れさせてくれる青森の人懐っこさも大きな魅力。

青森駅前は、食への慣習や歴史がはみ出るほどに詰まっています。

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取材・文・写真:我妻弘崇(アジョンス・ドゥ・原生林)