港区男子は、シビアである。

類まれなる才能で、一般人ではそう簡単に手にできないような大金を稼ぐ彼らは、強いこだわりを持っている。

「高ければ良い」なんて考えは、昔の成金の話だ。

2018年を生きる港区男子は、こだわりが強いからこそ買い物に対してもシビアである。

では一体、彼らはどんなものにお金を払っているのか?その実情を探ってみよう。

前回は40歳までに自社ビルを建てることを目標にしているアレックスさんを紹介した。さて、今回は…?




〈今週の港区男子〉

名前:Tさん(38歳)
職業:パーソナルトレーニングジムを経営
年収:ヒミツ
交際:既婚

余裕のある男には、ひと目をパッと引きつけるオーラがある。

黒Tシャツのうえにジャージー素材のジャケットを羽おり、待ち合わせ場所に現れたTさんには、生活にも心にも余裕のある男にしかないオーラがあった。

180cmの長身にラグビーの五郎丸 歩選手のような、はにかみフェイス。

学生時代はさぞ、モテたに違いない。




がっしりと鍛えられた体の理由を訊ねれば、完全紹介制のパーソナルトレーニングジムを経営しているという。

学生時代にアメリカに留学して培ったトレーニングノウハウを生かしたレッスンは、確実に効果が出ることでも有名で、第一線で活躍するアスリートや芸能人も顧客に持つ。

飄々としているように見えて、じつは熱い。

子どもの頃から同性にも異性にもモテてきた典型的な“人たらし”タイプだ。


人たらしな彼の、独特の考え方とは?


何もかもを手にした男が呟いた「僕、物欲がないんです」


腕にはオーデマ ピゲのロイヤル オーク。嫌味なく、さらりとつけこなしているあたり、ほかにも“雲上時計”をコレクションしているに違いない。




一朝一夕のミーハー成金では、到底叶わないセンスがあるのだ。これは“買い物事情”にも期待ができそうだと、こちらが口を開きかけたとき、彼が発したのは意外な言葉だった。

「僕、物欲がないんです」


38歳で私事を満たす欲とは決別


Tさんは38歳。同世代の男性の多くは大なり小なりの物欲をモチベーションにして生きているはずだ。

だが、Tさんは違う。

「時計も車もどうしてそれを選ぶのか、というところには僕なりの理由はあるんですけど。たとえば、高級時計を持ったことないのに、そのものを語るのって、なんか違うなって思うんです。

機能性でいうなら時間もわかってLINEも取れるし心拍数も分かる、正直に言ってアップルウォッチのほうが僕にとっては便利な部分もあるけど、高級時計を持たずに時計を語るべからずと(笑)。負け惜しみとまでは言わないけど実際に高級車に乗ったことがない人があの車ってさぁ、って言うのはなんの説得力もないですよね。



足元はプラダのエアソール。


個人的にそういう人を否定するつもりはないけれど、何事もやってみないとわからないというのが僕の持論です」

そう話すTさんの表情には、嘘や自己満足がない。

「去年のうちに私事を終わりにしようと計画したんです。その一環としていま乗っているテスラを購入しました」


私事を終わらせる。早すぎる決断の意味とは?



その存在感たるや半端ない、ファルコンウィング!


テスラといえばシリコンバレーを拠点にした自動車会社。

2003年に創業した新進気鋭のメーカーながら、バッテリー式の電気自動車は最先端のテクノロジーを搭載しており、環境への意識が高い外国人富裕層を中心に注目を集めている。

Tさんが乗るモデルXは、人が運転するよりも安全性を向上できるという、自動運転機能対応のハードウェアが搭載されている。



車内には大画面のタッチパネルが。こちらは随時アップデートされるため、常に進化を続けるクルマなのだ。


オール電気だから、ガソリン補給の必要もない。質実剛健なビジュアルながら、走りが優雅で佇まいには品がある。

まだ日本では乗っている人は少ないが、Tさんの友人で、車と人をマッチングさせるのがすごく上手な人がいるのだと語る。

「たとえば、野球選手が車を買うとき、みんな、カイエンかなぁって言ったりするじゃないですか。でも、車も洋服や小物と同じで乗る人の個性を表すものだから、それを大事にしなくちゃいけないですよね。



前進、後進は、アプリを使ってスマホでも操作できる。まるでリアル ラジコンカー。


みんなが乗っているからいい、ではなくて、その人のライフスタイルや性格に合った車を選ぶべき。

あなたは、ボールを投げるときのフォームが猫のようにしなやかだからジャガーがいいとか、きみは仕事も堅めだし、性格も真面目だからレクサスがいいとか。

そういう表面的なことと内面的なことを見抜いて車を選ぶのが本当に上手なので、その人が言う車と人のマッチング率はかなり高い。

僕の場合、T君はいつも最先端の仕事をしなくてはいけないんだから、最先端の車に乗るべきだって言われて。それならテスラしかないじゃないか、と。信用している人のアドバイスは素直に聞くタイプなんです(笑)」




物に対して、愛着はあるが執着はない。

受け継がれてきた物、ストーリーがある物への敬意は払いながら、物には物以上の価値がないことを知っている。

でも、物を購入するときの高揚感は誰でも感じるはずである。いわゆるアドレナリンが出る、というような…。

「それ以上に一番、幸せを感じるのはやっぱり仕事がうまく行っているとき。自分の物を買う幸せって一瞬のものだし、僕以外の家族や友人にとってはどうでもいいことかもしれない。

けど、仕事が成功すればクライアントや取引先はもちろん、家族みんなも喜ぶだろうし、会社の仲間やその家族ともそれを共有すれば、どんどん幸せのサークルが大きくなりますよね。そういう意味でもいまの仕事にはすごくやりがいを感じているんです」




まるで、悟りを開いたかのような発言。

最終的な人間のモチベーションというのは、物欲ではない。これは、自身の肉体を鍛錬してきたTさんだからこそたどり着いた境地なのだろうか。

だが、まわりにいるアッパー層を見て、感じることもあるそうだ。

「本当のお金持ちってじつはあまりお金に執着がない。欲がなければ、シンプルに自分が必要なものや、やるべきことだけが見えると思うんです。欲が深い人こそ、そこにとらわれて失敗してしまうケースが多いんじゃないでしょうか」

物質的な喜びよりも、精神的に満たされることに価値を見出す。

「物欲がない」という言葉の裏側には自己満足以上に、他人との幸せを共有することを大切にするTさんの思いがあるのだった。

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「友達は港区女子だけ」と言い放つ、実業家港区男子が登場。




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