突然だが、専門店の釜飯を食べたことはあるだろうか?

浅草には釜飯専門店がいくつかある。中でも『麻鳥』の釜飯の出汁へのこだわりは半端じゃない。浅草でたらふくご飯を食べたいなら、向かうべきはここだ!



冬季限定「かき釜めし(¥2,160)」は粒が小さくなったら終了。定番の小柱、活あわびなども含め、釜飯は常時15種ほどを用意するが、限定はほかに春のホッキ貝、夏のサザエなども

釜飯発祥の街・浅草!
熱々のごはんをほおばる口福
『麻鳥』

観光客で賑わう仲見世。すぐ脇にそれると釜飯専門店『麻鳥』はある。観光にも組み込みやすい抜群の立地を誇る。浅草にはほかにも多くの店があるが、それにしても、なぜ浅草は釜飯?

「一説によると、関東大震災の際の炊き出しがヒントになったよう」

ゆくゆくは四代目を襲名する雑賀重昭氏が言う。つまり羽釜で炊き出す様から着想を得て、銘々に釜飯として提供した浅草の老舗があり、それが起源になったのだ。



五目釜めし(竹)¥1,728。才巻エビのほか、カニやホタテ、鶏そぼろなどを具材にした定番。五目はほかに梅¥2,160、松¥1,512もある

今や浅草の釜飯にもさまざまなタイプがあるが、『麻鳥』の釜飯はまず出汁がスゴい。日高など、3種の昆布を使うだけでなく、枕崎産本枯節も併用。具材もきっちり吟味されている。

重昭さんは築地の仲卸で修業していた時代があり、そこで目利きの技術を会得。家族のような信頼関係も築き、「良いものだけ」を仕入れているのだ。

「カキは特大のみを厳選していますが、エビは才巻。こちらの方が大きいものより断然甘みが強い」

注文が入ってから炊く釜飯は完成まで約30分。だから、つい酒も進んでしまう。



串焼¥173〜、野菜の胡麻和え¥648。焼鳥は福島県産伊達鶏を使用。和歌山県産の備長炭で焼き上げる。写真は右から、やきとり(もも)、レバー、ねぎま、手羽、椎茸。鶏のほか、ツブ貝や鮭ハラスなど、魚介の串も用意

アテは焼鳥。紀州備長炭で焼く、それは弾けるような食感で、鉄板の甘辛味。そして、いよいよ釜飯だ。この高揚感!

スピードばかり重視される今の世で、待つ時間がこれほど幸福に思えるのは浅草ならでは。炭水化物をたっぷり食べても今日はいいと自分を許してしまうのも、この街の魔力だ。



昭和47年創業の古参店。2階は座敷で心も和む。昼時には行列ができることも