「SCiB」セル(写真:東芝の発表資料より)

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 東芝インフラシステムズは10日、リチウムイオン二次電池「SCiB」がJR東海の次期新幹線車両「N700S」の確認試験車にて、補助電源用バッテリーに採用されたと発表した。

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 補助電源用バッテリーは、架線停電時に最寄りの駅まで自走するのに必要な電力源だ。また利便性の面では、架線停電時でも全てのトイレが使用可能になり、長時間の停電にも対応できる。「SCiB」の高速鉄道車両への適用は、今回が初めてであり、確認試験車に次ぐ、量産車両への採用を目指す。

 次期新幹線「N700S」は、更なる安全性、安定性の向上と省エネルギー化に加え、徹底した装置の小型・軽量化を実現する車両だ。従来の新幹線「N700A」では、二次電池として実績のある鉛蓄電池を採用。JR東海は2016年6月、「N700S」では小型・軽量化のために、鉛蓄電池に代えて、リチウムイオン二次電池を確認試験車両に採用すると発表していた。

 東芝とJR東海は、「SCiB」を用いたバッテリー自走システムを共同開発。単に二次電池の販売ではなく、システム開発までを受注。地震などによる長時間の架線停電時には、自力走行により安全な場所まで新幹線を移動。「N700S」確認試験車では、バッテリー自走システムを用いた自力走行を検証。異常時における乗客の安全性を確保する。

●「SCiB」の特長

 「SCiB」は安全性の高いチタン酸リチウムを採用。外力などで内部短絡が生じても発火や異常発熱を起こし難い構造だ。新幹線車両への採用においては、特に重要な特長である。

 加えて、1万回以上の充放電が可能なサイクル寿命を持ち、マイナス30度という寒冷地でも動作可能な低温特性を持つ。また、発表資料には記載がないが6分の急速充電も特長の一つだ。

●リチウムイオン二次電池(東芝、「SCiB」)のテクノロジー

 リチウムイオン二次電池は日進月歩で進化している。先頭を走るのはパナソニックやサムスンだが、それを支えるのは部材メーカーという構図だ。目指すはスマートフォンなどの携帯機器と高成長が期待されるEVなどの巨大市場であり、覇者は確定していない。

 東芝は高い安全性と自走システムの共同開発で、新幹線の量産車両への「SCiB」採用を目指す。そして、新幹線で培った技術を武器に、今後高い安全性が必要とされる鉄道車両の市場を切り拓けるかがキーとなる。