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●「AI-Driven Enterprise Package」とは

DataRobot Japanは3月12日、4月から提供する新機能「AI-Driven Enterprise Package」を説明するとともに、大阪ガスの成功事例を紹介する記者説明会を開催した。

DataRobot Japanは、AI活用のソリューションパッケージ「AI-Driven Enterprise Package」を、2018年4月1日から提供を開始する。

AI-Driven Enterprise Packageは、エンタープライズ機械学習自動化プラットフォーム「DataRobot」を最大50の使用ライセンスを提供するとともに、ビジネスアナリティスト/市民データサイエンティストの育成プログラム、プロジェクト推進に向けたコンサルティングを、パッケージ化したものであり、同社では、「データサイエンティストなどのデータ専門家が不足している企業でも、わずか1年間で、社内の様々な課題を解決できる状態になる」とし、「AIの民主化を推進するための日本初のパッケージ」と位置づけている。

データ専門家ほどの知見はないが、データ分析に長けた「市民データサイエンテティスト」を社内で多数育成することで、ツールの活用を活性化。機械学習を用いた社内の課題解決を短期間に行えるようにするという。

DataRobot チーフデータサイエンティストのシバタ アキラ氏は、「データサイエンティストは、非常に数が少ないのが実態であり、米国では、初任給が3000万円になるという話もあるほどだ。データの価値を出すことができるのは、現場の課題を設定できる人たちである。こうした人たちが、市民データサイエンティストとなることで、事業部門がデータ活用を主導でき、インパクトのあるテーマを実装まで持って行くことができる。分析を主導できる市民データサイエンティストをいかに配置できるかが鍵になり、これによって、課題を解決できるようになる。そのためにも、機械学習を自動化できるDataRobotのようなツールと、市民データサイエンティストの育成が必要になる」とし、「米DataRobotには、Kaggleで世界1位にランキンングされた世界屈指のデータサイエンティストが多数在籍しており、そのノウハウを余すことなく反映した製品がDataRobotである。データサイエンティストが行う予測モデル生成のプロセス全体を自動化し、誰でも素早く、簡単かつ超高精度な予測モデルの生成が可能であり、それを事業に実装するところまでを自動化している点が特徴。さらに、予測モデルをブラックボックス化せずに、なにをもとに結果を出したのかを明確化できる『グレーボックス化』により、深いインサイトを取得できる点も特徴である」とした。

また、「今回のAI-Driven Enterprise Packageには、米国のトップデータサイエンティストのノウハウとともに、日本の企業と進めてきたプロジェクトを通じて得られたノウハウが凝縮されている」としている。

AI戦略策定と組織化コンサルティング、市民データサイエンティストの育成のほか、AI課題開発支援などによる「AI民主化推進」、機械学習基礎トレーニングとDataRobotハンズオン、AIモデル生成可能なユーザーを拡大する「AIプロジェクト推進」、定常化や実装手法のトレーニングや、機械学習運用のベストプラクティスを共有する「AI事業実装推進」をサービスとして提供。

さらに、分析データ作成や予測モデルの生成と評価、モデル精度の向上、実装構成技術の選定、実装プロトタイプ、モデルの組み込み支援を、実際に現場で行う形でサポートするオプションも提供することで、実装までの作業を加速するという。

「当社では、どんな業界で、どんな段階を経て、どんな活用の仕方をすべきかというノウハウを蓄積している。機械学習の導入は、リスクが低く、インパクトがあるものからやっていくべきである。AI-Driven Enterprise Packageの提供を通じて、国内におけるAIビジネスの活用拡大と、実ビジネスにおける企業のAI活用の活性化を支援したい」とした。

2012年に米ボストンで創業したDataRobotは、2016年にはリクルートが出資するとともに、日本で事業を開始。現在、国内では、10社の代理店パートナーおよびSI/コンサルティングパートナーにより展開しており、大阪ガスやトランスコスモス、パナソニック、三井住友カード、リクルートホールディングスなどがDataRobotを導入している。

2017年11月に開催したプライベートカンファレンス「DataRobot AI Experience Tokyo 2017」では、わずか3週間で参加申し込みが1200人を突破。当初予想の500人を大幅に超え、会場を倍増して開催した経緯がある。

「2017年は、米国に続き、世界第2位の営業拠点となった。2018年は、日本における売上高は、前年比3倍を見込む。これまでの成長を考えるとできない数字ではないと考えている」とした。

また、「今後は、DataRobotそのものの利用促進に加えて、業界特化での利用を自動化するソリューション開発を推進するスキームを、近日中に発表したい」とし、製造業における不良品検知などのソリューションを、パートナーとともに提供していく考えを示した。

●なぜ大阪ガスは成功したのか

一方で、DataRobotを導入している大阪ガスの事例を紹介した。

データサイエンティスト・オブ・ザ・ イヤーの初代受賞者である大阪ガス 情報通信部 ビジネスアナリシスセンター所長の河本薫氏は、「2016年にDataRobotに出会ってから導入を即決した。その理由は、ユーザーインターフェースが優れており、マニュアルがなくても利用できるという点。予測精度を究極まであげることができ、不必要に高度な分析手法や大量データを使うことを避けることもできる。また、ボタンひとつで実行できるため、コーディングなどの手間がなく、とりあえずやってみようということができる。データ分析の機会損失がなくなるともいえる」としたほか、「これによって、データサイエンティストの仕事がなくなるのでなく、より高度な仕事に取り組むことができ、むしろ忙しくなるだろう」とした。

大阪ガスでは、製造設備や供給設備のほか、工場に設置している機器や消費者が所有するエネファームなどの家庭用機器などから収集するデータをもとに、異常検知や故障診断、故障予知、異常監視を行っており、そこに、DataRobotを活用している。

「その機器の故障予測が60%の的中率では、予測する理由を明確にしないと現場は動いてくれない。だが、80%の的中率であれば、理由がなくても動いてくれる。DataRobotでは、トップレベルのデータ分析者のノウハウを活用して、シンプルな手法で、説明が容易になるのが特徴である。分析結果に対する理由を説明しやすく、現場に説明責任を果たせる。これによって、機械学習が導入しやすくなった」とした。

また、大阪ガスでは、マーケティング領域や新たなサービスの提供にもDataRobotを活用しているという。

大阪ガスでは、2017年4月から、燃料電池のエネファームをネットワークに接続したのに続き、2017年10月からは、ガス給湯器「エコジョーズ」もネットワークに接続した。

「これによって、遠隔地からの操作が可能になるほか、入浴すると、水位が上昇したことを感知し、入浴時間が長い場合には家族に知らせたり、脱衣所がヒートショックを起こす温度状況ではないかということもわかる。また、水位の変化から、身体の体積がわかり、さらに体脂肪率を計測することができる」とし、「新たなサービスを創出したり、新たな価値を探るという場合にも、とりあえずやってみようということができる」などとした。