ウォールストリート・ジャーナルやニューヨーク・タイムズなどの米メディアによると、アマゾン・ドットコムは、米国で有料会員プログラム「Prime」の会費が割引になる対象者の層を広げた。

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人口の2割を占めるメディケイド受給者

 メディケイド(Medicaid)と呼ばれる、低所得者向け公的医療保険に加入している人に対し、Primeの月額料金を5.99ドルと、半額以下にすると発表した。

 米国におけるPrimeの料金は年額で99ドル、月額プランでは12.99ドルとなる。しかし、アマゾンは、昨年(2017年)6月、米国で低所得者向け料金プランを開始した。

 これは、連邦政府の栄養補給支援制度(SNAP)や、貧困家族一時扶助制度(TANF)、女性・乳幼児向け特別栄養補給支援制度(WIC)に加入している人に対し、Primeの月額料金を5.99ドルにするというもの。今回、これに、メディケイドの受給者も加え、対象を広げたというわけだ。現在、米国人口の2割がメディケイド受給者だという。

 米国の市場調査会社CIRP(コンシューマー・インテリジェンス・リサーチ・パートナーズ)によると、同国におけるPrimeの会員数は、昨年7〜9月時点で9000万人。一方で、2017年時点における米国人口は3億2500万人。つまり、同国では3.6人に1人がPrime会員になったと推計されている。

(参考・関連記事)「米国では3.6人に1人がPrimeに加入」

状況に変化、最も成長が速い顧客セグメントに

 しかし、米メディアによると、低所得の人々は、あまりeコマースを使わず、実店舗で買い物をする傾向がある。つまり、彼らは、アマゾンへの忠誠心が比較的低い顧客層だとニューヨーク・タイムズは伝えている。また、ウォールストリート・ジャーナルは、彼らにはインターネットへのアクセスが限られ、eコマースで必要となるクレジットカードなどの決済手段がないという障壁がある、とも伝えている。

 ただ、ここ最近は、状況が急速に変化しつつあるようだ。今や低所得者層の多くは携帯電話を所有している。またこの消費者層は、米国のeコマース市場で最も成長が速い顧客セグメントになっているという。

Prime NowやPrime Videoも積極利用

 米国のPrimeには、追加料金なしで商品が2日後に届く「Two-Day Shipping」や、1回の買い物金額が35ドル以上になれば、同じく追加料金なしで商品が即日届く「Same-Day Delivery」といった特典がある。

 さらに、有料や無料の即時配達サービス「Prime Now」、生鮮食料品を配達する「AmazonFresh」、映画・テレビ番組が見放題になるストリーミングビデオサービス「Prime Video」、聴き放題の音楽ストリーミングサービス「Prime Music」、電子書籍を無料でレンタルできる「Prime Reading」、写真を無制限にクラウドストレージに保存できる「Prime Photos」などもある。

 アマゾンによると、低所得者層の人々は、このうち、Prime Nowを頻繁に利用するなど、主にネットショッピングを理由にPrimeに加入する。

 その後は、ストリーミングサービスを積極的に利用するなど、デジタルコンテンツを理由に、Prime会員であり続ける。

 また、彼らは、映像配信端末「Fire TV」や、AIスピーカーの小型モデル「Echo Dot」、タブレット端末「Fire tablet」といったアマゾン製機器も頻繁に購入していると、Primeの担当者は話している。

(参考・関連記事)「アマゾンが金融サービスに参入?」

筆者:小久保 重信