新入社員は入社後、良くも悪くも目立つ。周囲の社員と異なる行動をする場合、その注目度はひときわ高くなる。

3月11日放送の「行列のできる法律相談所」(日本テレビ系)では、自分の仕事だけを終わらせ、上司から残業の指示があっても従わない部下を「モンスター新人」と紹介していた。ネットでは、こうした紹介の仕方を「ただ優秀なだけ」「モンスターでもなんでもない」と批判する人も出ている。

「減給より軽い処分を」「口頭注意の効果がないのは明らか」弁護士の見解は割れる


相談者である45歳の中堅社員によると、この部下は入社から半年間、上司の残業命令を「自分の時間を大切にしたい」などの理由で拒否し続けているという。口頭注意をしても「要領が悪い人に、効率が上がるよう指導してはどうか」と言い返し、従う様子は見られない。仕事のやる気がないわけではなく、業務成績は常にトップだが、とにかく残業が嫌いのようだ。

こうした中、この部下は新商品開発に関する重要な会議を、「定時だから」と抜けようとした。相談者は部下の行動に怒り、チームの和を乱すこの部下を「減給処分にしたいが出来るか」という相談を寄せていた。

スタジオの北村晴男弁護士と本村健太郎弁護士は「減給できない」という見解を示した。

労働基準法では、1日8時間週40時間を超えて働かせる場合、会社と従業員の間に合意がなければ、すべての残業が違法になる。多くの企業は従業員との間に「三六協定」を結び、労基署に届け出ることで、一日一定時間までは残業させられるようにしている。

こうした条件を満たした上での残業命令であれば、従業員が無視し続けることは問題になるため、何らかの処分を下すことはできる。

しかし会社の処分は一般的に「戒告」、始末書などを書かせて戒める「けん責」、給与を減らす「減給処分」のほか、出席停止、降格、懲戒解雇など様々なレベルがある。北村弁護士も本村弁護士も、今回のケースでは、これまで戒告やけん責をしていないため、一足飛びに減給は難しいという見立てだ。

一方、菊地幸夫弁護士は「口頭注意と変わらない戒告やけん責をしても効果がないのは目に見えている」として、

「企業内の秩序には相当なインパクトを与えている。そう考えると減給処分もやむ無し」

という立場を示した。

「『わかってるけど一言くらい言えよ』という周囲の空気もありそう」

しかし、そもそも自分の仕事を終えて定時で帰るだけで「モンスター」扱いはいかがなものか。生産性を高めて長時間労働をなくし、ワークライフバランスを実現しているのだから、現代ではむしろ評価されてもおかしくはない。

スタジオでは、落語家の立川志らくさんが

「明らかに上が悪いですよ。嫌だったら教育すれば良いだけの話だし、この人は立派だと思いますよ」

と、部下を擁護していた。

視聴者の反応も様々だ。番組ではモンスター新人を「敬語が使えない、平気で遅刻するなど、上司を驚かせる新入社員」と定義していたため、同じ文脈でこの社員を扱うことに違和感を覚える人も多い。「モンスター新人って要するに自分の思い通りに動かない駒って意味だろ?」と言う声も出ていた。

「仕事がよくできて意見をしっかり言える優秀な新人が全国テレビで『モンスター新人』って晒されるなんて…働き方改革なんてこの先何十年も実現しないんだろうなあ…」

と嘆く声もあった。一方で、相談者に一定の理解を示す人もいる。残業を称賛するわけではなく、

「"チームが苦境の時でも平気で帰る"というのが一番の困りごとなんだろ。新人に問題はないけど『わかってるけど一言ぐらい言えよ』という周囲の空気もありそう」

と、周囲と協力して進めるための、協調性の欠如を問題視していた。