うつ病以外にも!適応障害、パニック障害、睡眠障害、摂食障害とは

写真拡大 (全3枚)


うつ病によく似た症状のある「適応障害」とは?


気持ちが落ち込んで、前向きな気分になれない。よく眠れないし、時々冷や汗が出たり、動悸が激しくなったりする…。そんなとき、私たちは「もしかして、うつ病?」と疑いますが、一口に「心の病」と言っても、さまざまな病気があるものです。

「働く方に多い病気に、適応障害があります。症状としてはうつ病とよく似ていて、気分の落ち込みやイライラ、集中力の低下など気分の変調や、吐き気や腹痛、動悸など、体の変調など、抑うつ状態になります。

うつ病との違いは『環境変化によって発生したストレス源がはっきりしている』ということです。うつ病の方は、病気となったストレス原因を取り除いてもすぐには治らないのですが、適応障害の場合は環境の変化によって何らかのストレス原が発生し、それに適応できないために抑うつ状態になっています。そのためその環境から離れると、数か月程度で治る場合が多いです。たとえば、異動などにより職場の人間関係が変化して馴染めずに適応障害になった場合、休職することで抑うつ状態がすみやかに軽減していきます」(奥田先生)

働いていない場合でも、たとえば結婚後の家庭環境の変化になじめなかったり、引っ越し後に隣人関係がストレスになったりした場合、適応障害になることもあるそう。

「治療法としては、ストレス原因となっている環境から、できるだけ速やかに離れる、または速やかにストレス環境を改善すること。よく『適応できないのは自分の甘え』と自力で頑張ろうとする方がいますが、適応しようと頑張った結果、心と体に無理が生じたのです。適応障害は悪化するとうつ病に移行することもあります。悪化しないよう、対処法を医師に相談しましょう」(奥田先生)

関連画像をもっと見る

うつ病と併発することも? 睡眠障害とパニック障害


まったく眠れない日々が続けば、私たちは「これは不眠症かも」と思いますが、眠りの浅い日が続いたり、逆に眠りすぎたりする場合、睡眠障害に陥っている場合もあるそうです。

「睡眠障害には2種類あり、ほとんど眠れなかったり、なかなか寝付けなかったり、短時間で起きてしまったり、眠りが浅かったりする『不眠症』と、睡眠時間は取れているのに日中にも強い眠けが生じる『過眠症』があります。

多いのは不眠症で、うつ病が絡んでいることがあります。うつ病になると眠れなくなる人は多く、眠れないことで抑うつ状態が悪化し、併発してしまいます。うつ病とセットになっているときは、病院で抗うつ剤の治療をする前に、まずは睡眠薬を導入して眠りのリズムを整え、それからうつ病の治療に入るという段階が必要になることもあります」(奥田先生)

さらに、ある特定の場所に身を置くとパニック症状が起きる「パニック障害」を抱えている方も多いそうです。

「パニック障害といえば、電車や人ごみなどでパニック症状に陥り、動悸や過呼吸、めまい、冷や汗などが出てしまうイメージがあると思います。しかし、人が多い場所だけとは限りません。なかには、家のなかでパニック症状を起こす方もいます。

発祥の原因はさまざまですが、体調が悪かったり、自律神経のバランスが乱れたりしているときに、ふとしたきっかけで症状が出てしまい、それが恐怖心として残るケースが多いです。『あの場所に行って、また同じようになったらどうしよう』という不安が芽生え、勇気を出してトライしたものの、やはり症状が出て、癖になってしまうのです。

パニック障害は、うつ病とは定義的に異なるものですが、併発する場合があります。気になるときは医師に相談してください」(奥田先生)

結果的に抑うつ状態にも…女性に多い摂食障害


ストレスが原因とは言い切れないものの、とくに女性に多いのが摂食障害です。

「なんらかのストレスが引き金になっていることはありますが、『やせていることが素晴らしい』『太っていると自分には価値がない』といった極端な思い込みやこだわりによって過激なダイエットをすることで、摂食障害に陥る方もいます。拒食症と過食症の2種類があり、極端な飢餓状態が続くことでまず拒食状態になり、そのあとに過食に転じる場合が多いです。

極端に食べない拒食症と、極端に無茶食いを繰り返す過食症とでは症状は異なりますが、いずれの場合も、嘔吐などの代償行為を伴うことも少なくありません。嘔吐が習慣化すると肌や歯、喉に悪影響を及ぼします。拒食症に伴う極端な体重の減少は、時には重大な健康状態の悪化につながります。過食症で体重が一見正常範囲であったとしても、度重なる嘔吐によって体の機能に異常が起きて、生活することが困難になってしまうことも。体の健康はもちろんですが、自己嫌悪や憂うつな気分など、心も乱れてしまいます」(奥田先生)

「痩せてキレイになりたい」と願って始めたダイエットが、つい行き過ぎてしまう…その気持ちがわかる、という女性は多いはず。もしも「ちょっと最近、極端になってしまって辛い」というときは、医師に相談してみてもよいでしょう。

心の病気は他人事ではありません。ふと気づいたらかかっていた、という人がほとんどのはず。気になるときはひとりで抱え込まず、精神科・心療内科の扉を叩いてみましょう。

■監修
奥田 弘美 先生
精神科医・精神保健指定医
ドクタープロフィール