Facebookがアルゴリズムを変更してから約2カ月。当初は多くの関係者が広告価格の急騰を予測していたが、実際はほとんどがこれまでと変わっていないようだ。この事実には3月第1週、米DIGIDAY主催のメディア・バイイング・サミットのためにニューオーリンズへ集まったトップクラスのメディアバイヤーたちが同意した。

マークル(Merkle)の最高マーケティング責任者であるアダム・ラヴェール氏は、「今回の変更が原因の変化は、まったく何も起きていない」と述べる。

ニュースフィードに関するアルゴリズムの変更によって、広告の値段が上がることを予測していた業界人は多い。エージェンシーのバイヤーたちは、それまでと同じ数のビュー数を得るために必要な広告費用が上がると考えていた。ニュースフィード上に表示される広告が減ることで、「在庫」も減り、それによって値段が上がるという考えだ。しかしエージェンシーたちはこのような変化はまだ起きていないと語っている。世界最大の広告代理店グループWPPが抱えるウェーブメーカー(Wavemaker)のソーシャル部門責任者であるノア・モーリン氏も、「標準的なブランド広告に関して、大きな値段の変化は感じていない」と語った。

バイヤーたちが感じた変化



OMDのソーシャル部門の責任者であるテリー・パース氏にとっては、むしろユーザーとしての方が大きな違いを実感していると語った。ニュースフィード上に表示されるパブリッシャーが減った、ということだ。彼女の推測では、いまのところ値段が上がっていないのは、パブリッシャーたちがこれまで以上の資金を投入してFacebook上に残ろうとしているからだ。こういった資金投入はFacebookにとっては収益となっている。広告収益は上がっているかもしれないが、CPMは上がっていない。

いくつかの例では、Facebook広告の値段は下がってすらいる。これはCPMが上がることを予想したブランドたちがすぐにソーシャルの予算をほかに再配分したことによって、需要が減り、その結果価格が比較的低くなっているからかもしれない、とエピックシグナル(Epic Signal)のファウンダーであるブレンダン・ガーハン氏は言う。

バイヤーたちが予測したもうひとつの大きな変化は、彼らが「本物の(authentic)コンテンツ」と呼ぶ、友人や家族たちの投稿がさらに重要になるだろうということだった。重要なのはここにインフルエンサーが含まれることだ。というのも、インフルエンサーが単独で投稿した場合、彼らのコンテンツは友人や家族が投稿したものと基本的には同じとみなされるからだ。しかしFacebookは、アルゴリズム変更に先駆けて、インフルエンサーと彼らのスポンサーであるブランドの関係を明確にするために、「ハンドシェイク」ツール(ビジネスパートナーであることを示す機能)を使うことを求めてきた。これがポイントとなっていると、パース氏は指摘する。このツールのおかげで、ブランドから金銭を受け取って広告行為をしているインフルエンサーは、その存在を特定しやすくなっている。ニュースフィードが変更され、投稿が持つオーガニックリーチが減少するなか、Facebookはインフルエンサーコンテンツに関しても料金を支払ってもらうというシナリオを描いているようだ。

バイヤーたちが指摘したもうひとつの変化は、リトル・シングス(Little Things)のようなFacebookを配信チャンネルとして使っていたパブリッシャーたちを、Facebookが敬遠しはじめたというものだ。こういったパブリッシャーたちは、急いでプラットフォームを多様化させるか、ナウディス(NowThis)が行ったように、ウェブサイトを刷新しなければいけない。

オーガニックリーチへの影響



「パブリッシャーにとってFacebookが誰も使わない不毛の地となるとは思えない。しかしFacebookを上手に使いこなすパブリッシャーと、コンテンツをFacebookの環境に合わせてデザインできていない平凡な中間層との格差は大きくなるだろう。また、オーガニックはビュー数という点では小さいため、ブランデッドコンテンツのコストは高くなるかもしれない。現時点ではとりあえずこのコストを負担しようとするパブリッシャーもいるかもしれない」と、モーリン氏は言った。

最大の影響を受けているのはもちろん、オーガニックリーチだろう。エピックシグナルは自らのクライアントベースにおける数字を計算したところ、ブランドたちはFacebookにおけるオーガニックリーチにおいて、60%から70%の減少を経験しているという。これはニュースフィード変更以降のことだ。

オーガニックリーチが減少したことで、CPMが若干高くなっているような状況でも、通常のビジネスが続いているようだ。というのも、彼らが「ダークポスト」と呼ぶ、ニュースフィードに現れない投稿は影響を受けないからだ。クロスメディア(Crossmedia)のソーシャルメディア部門責任者であるマイケル・ドブソン氏は、Facebookの変更は入札デリバリーやオーディエンスターゲティングには影響を与えていないため、大きな影響には至っていないという。

「今回の変更はFacebookから遠ざかっていたユーザーたちに、再度プラットフォームでアクティブになってもらうために行われている。友人や家族によるコンテンツが優先表示されることでユーザー同士がつながることを可能にしている。友人や家族からの投稿をユーザーたちがもっとも見たいと思っていると、Facebookは感じているわけだ。広告のデリバリーは変わっていない」と、ドブソン氏は語った。

Shareen Pathak(原文 / 訳:塚本 紺)