息子がボスママの子供とトラブルに。「これだから片親は」と責められて…

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 悪質なクレーマーと化すモンスターペアレント(モンペ)は、学校の先生たちだけではなく保護者にとっても迷惑極まりない存在です。

 中学1年の男の子を持つシングルマザーの逢沢香苗さん(40歳・仮名・美容メーカー社員)は、「息子が小学校5〜6年のときのクラスのボスママが典型的なモンペ。

 彼女は自分の息子(T君)がクラスの中心じゃないと気が済まないらしく、足が速いわけじゃないのに『運動会のクラス対抗リレーのメンバーにしろ!』と担任に言い寄るような人でした」とうんざりした様子で振り返ります。

 このとき逢沢さんの子供がリレーのメンバーに選ばれたと知るや否や「ウチの子に譲って。ねっ、いいでしょ?」とさも当然ように言われたといいます。

◆モンスターペアレントの子供から息子がいじめに……

「先生が決めたことですから、とやんわり拒否しました。でも、後で知ったのですがボスママが自分の子供に私や息子の悪口を吹き込んだらしく、これを機に息子がT君を中心としたグループにいじめを受けるようになったんです」

 教科書やノートに落書きされたり、体操着を盗まれるなど古典的な手口でしたが、母親に隠していたこともあって逢沢さんは気づかなかったとか。

 けれども、息子さんは日常的に小突かれたり、蹴られるなどの暴力を受けるようになるなど、いじめがエスカレート。そんな状況に耐えかねた彼は、ある日いじめっ子グループに反撃します。

「それを学校からの連絡で知ったんです。『お子さんがクラスメイトに暴力を振るってケガをさせた』って。

 会社を早退して学校に駆けつけると、般若のような顔したボスママから『あなた、一体どういう教育をしてるの!』と怒鳴られました。この時点ではいじめの被害者だったことは知らなかったので、ひたすら謝り続けました」

 ちなみにボスママの子供は逢沢さんの息子に突き飛ばされて転んだ際に手首を骨折。実は、隠れていじめを行っていたことは担任の先生も把握しておらず、大人しかった生徒の突然の暴力に困惑していたようです。

◆ボスママは「これだから片親は」と責め、退学を要求!

「怒りが覚めないボスママは、『これだから片親は』と私がシングルマザーであるせいと言われました。子供に迷惑をかけまいと思っていたから自分の至らなさを感じたのと同時に、本当に悔しかったです」

 しかも、ボスママは追い打ちをかけるように暴力行為に対する処分を要求。私立だったこともあり、「即刻、退学にすべき!」と担任だけでなく、同席していた教頭先生に迫ります。ところが、ここで事態は急展開を迎えます。

「突然、私たちがいた応接室に息子のクラスメイトたちが『先生、逢沢君は悪くありません!』となだれ込んで来たんです。このときみんなの口から息子がいじめられてきたことを知ったんです」

◆母子を窮地から救った1本の動画

 とはいえ、ボスママもこの程度では怯(ひる)まず、「口裏を合わせているに違いない。あなたたちもウチの子をいじめていたんでしょ」とあくまで被害者の立場を貫きます。

 ただし、そんな状況にトドメをさしたのが「先生、これを見てください!」とある男の子が差し出したスマホの動画。そこには逢沢さんの息子をボスママの子供グループが囲んでいじめている様子が隠し撮りされていたのです。

「これが決定的な証拠となりました。男の子は『先生に見せなきゃと思っていたけど、自分がいじめられたらと思うと怖くて……』と泣きながら謝られましたが、彼の勇気のおかげで息子も私も救われました」

 ただし、けじめは必要と逢沢さん母子はケガを負わせたことについてはボスママに謝罪。真実を突き付けられたボスママ母子も渋々ですが謝りましたが、学校側はこれで解決とはしませんでした。

「ほかの子をいじめていた事実も発覚し、結局ボスママの子やいじめに加担したほかの子たちは学校側の判断で中学校への持ち上がりは見送られました。いじめ問題に対しては非常に厳しい学校でもあったのですが、毅然とした対応を取ってくれたことにはホント感謝しかありません」

 まさかのどんでん返し! 自業自得とはいえ、結果的にモンスターペアレントを追い出すことができたのは学校や保護者たちにとってはよかったのかもしれません。

―シリーズ“モンスターペアレント” vol.5―

<TEXT/トシタカマサ イラスト/あらいぴろよ>