2つのサービス統合「新生ラクマ」で攻める

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 個人同士がスマートフォンで多様な商品を売り買いするフリーマーケットアプリケーション(応用ソフト)市場。楽天は、活気づく市場で攻勢をかけている。傘下に持つ二つのフリマアプリを2月に統合し、取り扱い規模を拡大。楽天ポイントとの連携やデータ活用などを強化する構えだ。フリマアプリ市場は「メルカリ」が王者として君臨する。楽天は他のサービスとの連携や、販売手数料が無料という出血覚悟の施策でメルカリを猛追する。

 「積極的なマーケティングを展開し(フリマアプリ事業を)大きくしていく」。楽天の三木谷浩史会長兼社長は力を込める。電子商取引(EC)分野における重要な戦略の一つにフリマアプリ事業を掲げた。

 フリマアプリ市場は2016年時点で3052億円に上った。フリマアプリが初めて登場した12年から、わずか4年で大きく拡大した。

 今後も成長が見込まれており、その需要を取り込むのは当然だ。一方で、楽天としてはフリマアプリの覇権を握りたい理由がもう一つある。若年層の新規顧客を獲得することだ。

 楽天は顧客基盤に対し、ポイントなどで連携する多様なサービスを提供する「楽天経済圏」を推進する。その中でフリマアプリの利用者は10―20代が中心だ。

 「楽天が運営する他のサービスに比べてフリマアプリは若年層を多く集客できるため『楽天経済圏』の顧客を増やす入り口として機能する」(長谷川健一郎楽天ECカンパニーC2C事業部ヴァイスジェネラルマネージャー)というわけだ。

 楽天はフリマアプリ市場で攻勢をかける体制として、フリマアプリの「ラクマ」と「フリル」を統合し、新生ラクマの運営を2月に始めた。

 幅広い商品を扱う「ラクマ」と女性ファッションに強い「フリル」の顧客を集約し、プラットフォーム(基盤)を大きくした。ただ、統合後も利用率ではメルカリに及ばない。

 このため、今後はネット通販モール「楽天市場」などとの連携を強化し、約9300万人に上る楽天会員の流入を加速する。具体的には商品購入時に楽天ポイントがたまる機能を導入する意向だ。

 現状は購入時にポイントが使える機能にとどまっている。また、楽天市場の商品購入履歴などのデータと連動した相互送客の仕組みなども模索しているようだ。

 さらに、旧ラクマに導入していた販売手数料無料の施策を引き継ぐ。販売手数料を10%に設定しているメルカリと差別化する。

 一方、販売手数料が無料のため、現状のラクマは収益を上げる仕組みがない。長谷川ヴァイスジェネラルマネージャーは「当面は集客を優先する。収益化の方法は決まっていない」と説明する。将来の収益化に向けては「手数料や広告モデルを検討する」という。

(文=葭本隆太)