衛星メーカーのSwarm Technologiesが2018年1月にインドから打ち上げた4つの人工衛星が連邦通信委員会(FCC)から認可を棄却されていたにも関わらず、無認可のまま打ち上げられた疑いがあるとして、FCCはSwarm Technologiesを非難しています。

FCC Accuses Stealthy Startup of Launching Rogue Satellites - IEEE Spectrum

https://spectrum.ieee.org/tech-talk/aerospace/satellites/fcc-accuses-stealthy-startup-of-launching-rogue-satellites

2018年1月12日に、インドの東海岸から極軌道打ち上げロケット(PSLV)が打ち上げられました。このPSLVの主要な目的はインドの大型衛星の打ち上げでしたが、その他にも他国の小型衛星も複数搭載されていました。その中にある4基の「SpaceBEE」は、アメリカの衛星メーカーSwarm Technologiesの通信用衛星とみられています。Swarm TechnologiesはNASAのジェット推進研究所・Google Xなどに所属していた航空宇宙技術者のサラ・スパンゲロ氏や、衛星の電気推進システムの開発企業であるApollo Fusionの創設メンバーでもあるベンジャミン・ロングマイヤー氏らが立ち上げたスタートアップです。



Swarm Technologiesの「SpaceBEE」は、各IoT対応端末からWiFi・LoRa・Bluetooth Low Energyによって蓄積したデータを、VHFで受送信できる衛星で、インターネット環境が十分に整っていない地域でもIoT機器を利用できるようにする狙いがあるとのこと。1機のサイズは10センチメートル×10センチメートル×2.8センチメートルと手のひらの上に乗るほどの大きさで、Swarm Technologiesは「世界最小の双方向通信衛星」とアピールしていました。



Swarm TechnologiesはSpaceBEE4基の打ち上げ申請を、2017年4月にFCCへ提出しました。しかし、衛星のサイズがあまりにも小さすぎるため、衛星の位置を正確に追跡することが難しく、他の衛星と十分に連携を取ることができずに衝突してしまう危険性が指摘されました。衛星はものすごい速度で地球を周回しているため、たとえ手のひらサイズでも、衝突した場合のエネルギーは相当なものになると予想されます。Swarm TechnologyはGPS装置とレーダー反射器をSpaceBEEに搭載することで衛星の位置を把握できると考えていましたが、FCCが申請を棄却したため、Swarm TechnologiesはSpaceBEEを正規に打ち上げることができなくなりました。



しかし、PLSVを打ち上げたインド宇宙研究機関(ISRO)が公表している報告書には、SpaceBEEの名前が削除されることなく記載されたままとなっています。また、北アメリカ航空宇宙防衛司令部(NORAD)による衛星追跡サイトでは4基の「SPACEBEE」が軌道に乗っている様子が捕捉されています。「PLSVによって打ち上げられたSpaceBEE」が「FCCに申請を棄却されたSpaceBEE」であるとは確定はしていませんが、状況証拠を見る限り同一の衛星であることは明らかで、Swarm Technologiesはこの件についてまだコメントをしていません。仮に確定した場合、SpaceBEEは「認可がないにも関わらず不正規に打ち上げられてしまった初めての商用衛星」となります。

なお、Swarm Technologiesは2018年4月にニュージーランドから別の衛星を打ち上げる計画も申請していました。ニュージーランドから打ち上げる予定の人工衛星は「小さすぎて正確に追跡できない」という指摘をクリアするために、同じ機能ながらSpaceBEEの約4倍の大きさに設計されていました。しかしFCCはPLSVによるSpaceBEEの無認可打ち上げ疑惑を重く受け止め、4月の打ち上げ申請も棄却しています。



一方で、通信衛星メーカーSpire Globalの打ち上げ責任者であるJenny Barnaさんは「FCCによる認可申請の手続きは面倒で時間がかかります。この面倒な手続きによって新規の企業がなかなか衛星を打ち上げることができないという問題も起こっています。私たちも打ち上げるロケットに衛星を搭載しておいて、打ち上げの直前に認可が下りたことがあります」と、認可申請システムにも問題があることを示唆しています。