男女の仲を深めるのに欠かせない、デート。

完璧だったと思ったのに、うまくいかないときもある。私たちはそんなとき、こう考える。

―あの時の、何がいけなかったのだろうか?

あなたはその答えに、気づけるだろうか。

失敗の少ないはずの映画デートで勝負を挑んだ宏光。しかし、2回目のデートで香澄の態度は急変する。

その答えや、いかに。




宏光さんと出会ったのは、彼が主催している「恵比寿会」だった。

恵比寿界隈に住む人たちが集って飲む会があるー。そう友人に誘われて、私は軽い気持ちで参加した。

『えびす坂 鳥幸』の個室で開催された会で、隣に座った宏光さんと自然と仲良くなった。

「宏光さん、今日は呼んでいただいてありがとうございます。」

「いえいえ。不定期にこうやって集まっているから、いつでもまた参加してね。」

笑うと目がくしゃっとなる宏光さん。その人懐っこい笑顔と優しい雰囲気に、私は徐々に惹かれていた。

「香澄ちゃんの好きな店は?」

「そうですね...最近行って美味しかったのは神楽坂にある『リストランテ ラストリカート』。あとは『霞町 すゑとみ』さんとか好きですね。」

「...すごいね。美味しいお店、色々教えて欲しいなぁ。」

綺麗な夜景を見ながら、会話も弾む。その場では何もなく終わったが、後日宏光さんから誘いのLINEが来た。

しかし、私は2回目のデートで“彼とは価値観が合わない”と判断することになる。


安全牌だからこそ気をつけたい。男が気づかぬデート中のミスとは


初デートは宏光さんが行きつけだという、広尾の会員制レストラン『ロースト ホース』だった。

ずっと行ってみたかったが、会員制のためになかなか行ける機会がなかったのだ。入り口も分かりづらく、それが選民意識を刺激する。

「実は『ロースト ホース』、初めてなんです...嬉しい!」

初めて口にするような部位や珍しい料理の数々を、私は一品一品、味わって食べた。

「そんなに喜んでくれて良かったよ。香澄ちゃんって、男性からするとレストランに連れて行く甲斐があるね(笑)」

そう褒められながら、宏光さんは毎回この店にはデートで来るのだろうかという疑問が湧く。

「最近宏光さんは、デートしてますか?」

「全くだよ(笑)今日が久しぶりのデートかなぁ。香澄ちゃんは? 」

意外だった。明らかにモテそうな宏光さんなのに、デートは久しぶりだなんて。

「私も宏光さんと同じく、全然ですよ。Instagramの友人の投稿で、“今日は彼と昼からドライブデート♡”なんて見ちゃったときには、羨ましいなぁって思います。」

「そうなの?そしたら今度、日中デートする?車出すよ。」

意外なオファーが嬉しくて、私のテンションはぐっと上がっていた。ドライブデートなんて、久しぶりだったのだ。

「え?いいんですか?是非! 」

こうして次回のデートを約束し、私たちは解散した。




A1:ドライブデート。女は車内の細部を注視している


2回目のデート当日、迎えに来てくれた宏光さんの車で向かった先は、豊洲の映画館だった。

“私って性格が悪いなぁ...”と思いながらも、さりげなく車種と車内をチェックしてしまう。

タバコを吸わない宏光さん。車内は綺麗に整頓されており、清潔さを感じることができたので合格だ。

しかし少し時間が経つと、あることに気がついた。流れてくる音楽から、どうもセンスを感じられないのだ。

J-POPばかりで、特に某アイドルグループの曲が多過ぎる。

「このグループ、好きなんですか?」
「カラオケ行った時によく歌わされるから。」

ちょっと音楽のセンスがないかも?そんな不安を胸に抱いたまま、私たちは映画館へと到着した。

「ちょっとチケット買うから待ってて。」
「あ、はい!ありがとうございます。」

そのとき、私は少し驚いていた。このデート、結構前に日程が決まっていたし、昨日も何を観る?という連絡が来ていたのに。

-チケット、買っていなかったんだ...。

たまたま空いていたから良かったものの、満席だったらどうするつもりだったのだろうか。もし時間がなかったなら、言ってくれれば先に私がオンラインで席を取っておいたのに。

少しだけ段取りの悪さが垣間見られ、私はちょっとヤキモキしてしまった。


無難な映画デートだからこそ気をつけたい。男が犯していた致命的なミス


A2:定番のデートコースだからこそ、色々と見えてしまう


土曜の豊洲の映画館は、子供連れで賑わっていた。私たちは、小さい子供達が走り回る売店でチュロスとコーラ、そして紅茶を買って映画館内へと入っていく。

既に館内は、照明が落ちて暗くなり始めていた。

足元がおぼつかないまま歩いていくが、宏光さんはこちらのことを気にも留めぬ様子で先に階段を上がっていく。

-過去の男性で、こんなにスタスタ歩いて行った人はいなかったかも。

暗闇の中、気を使ってくれる男性はポイントが高い。そう思いながら、なんとか席に着いた。

「このシリーズ、好きなんだよねぇ。香澄ちゃんは?」

戦闘モノがあまり好きではないこともあり、正直、観ていない。そもそも映画を決めるときも「これでいいよね?」と尋ねられ、宏光さんに合わせて頷いたというのが本音だ。

しかし出鼻をくじくようなことはしたくなくて、曖昧な返事をする。

「前作を見たような、見ていないような...たくさんありますもんね。どういう話でしたっけ?」
「ほら、前回は最後に主人公が...」
「あぁ〜そうでしたね。そんな話だった!」

そう相槌を打ってはいたが、本当は、まだ概要がよくわかっていなかった。




「香澄ちゃんは、どのシーンが面白かった?」

帰り際、女性ボーカルの甘ったるい歌声が再び流れる車内で、早速感想を求められた。

「そうですね〜。やっぱりエンディングかなぁ。ただ、ちょっとストーリーが複雑だったかも?」

キャラクターが沢山出てきて途中から混乱していたが、この映画シリーズのファンである宏光さんの前で下手なことは言えない。

無難な答えを返しておいたが、特にそれ以上のコメントも見つからなかった。

「面白かったよね!ただ、女性には戦闘シーンが多すぎたかな。あの主人公とかどう思った?」

-面白かったのだろうか…?

映画の感想で、その人との相性が分かることがある。私と宏光さんでは、面白いと思うポイントが大きく異なっていた。

-この人とは、趣味が合わないみたい...。

「この後は忙しいんだよね?」

お茶をしながら、この後の予定を尋ねられた。

「そうなんです、ちょっと予定があって...すみません。」

予定は、特にない。しかし私の心は、既に別の所にある。

車内の音楽に始まり、映画の感想など小さな価値観の違いが浮き彫りになってしまった今、彼への興味はすっかりなくなっていた。

「先約があるなら仕方ないね。そしたら今度は、さっき予告編で出ていたあの映画、見に行こうよ。」

「いいですね。行きましょう!」

しかし、多分次はないだろう。

「次の約束の場所じゃなくてもいいの?送っていくよ。」

「大丈夫です!今夜会う友人がお誕生日で、プレゼントを取りに帰りたいので。今日は色々とありがとうございました。」

本当は何の予定もないのに、無駄な言い訳をして家まで送ってもらい、デートは終了した。

映画デートも、ドライブデートも、学生時代から何十回と経験している。

何度も経験してきたデートだからこそ、他の男性と比較してしまうし、悪いところがつい見えてしまう。男性のちょっとした気遣いやセンスが、露呈するのだ。

-基本的なデートこそ、一番難しいのかも。

そんなことを考えながら、私は笑顔で車を見送った。

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