女子高生たちはなぜわざわざ有料のプリクラで撮影するのでしょうか(筆者撮影)

女子高生はセルフィー(自撮り)が大好き。セルフィーならスマホでも撮れるのに、あえて有料のプリクラを撮る理由はなぜなのでしょうか。女子高生のプリクラに密着したレポートを交えつつ、説明します。

“盛れる”自撮りアプリが人気

かわいい動物の耳や鼻、大きな目、ピンクの頬をした自撮り写真――どうやって撮っているかおわかりですよね。そう、カメラアプリ「SNOW」を使った自撮りです。


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SNOWは2016年5月にApp Store無料総合ランキングで1位を獲得しました。2016年はSNOW以外にも、B612やBeautyPlusなどの“盛れる”自撮りアプリが注目を集め、女子高生のTwitterは動物系フィルターの自撮りだらけ。まさに“自撮り元年”という年でしたね。

約2年後の現在は、写真だけではなく、LINEのビデオ通話、ライブ中継アプリ、リップシンク動画アプリなどでも動物系フィルターをかけられるようになっています。お化粧好きな女子高生でも、気軽にすっぴんの顔を出すことができます。

すでに一般的なアプリのひとつになっているかと思いきや、2017年12月にプリキャンティーンズラボが発表した「2017年に流行ったアプリ」では、1位「Instagram」、2位「どうぶつの森 ポケットキャンプ」に続いて3位に「SNOW」がランクインしています。まだまだSNOW人気は手堅いようです。


もはや見慣れた、動物系フィルターがかけられる「SNOW」(筆者撮影)

ところで、スマホのインカメラで自分自身を撮影することを「自撮り」と言いますが、人に撮影してもらうことを女子高生たちは何と呼ぶかご存じですか? 答えは「他撮り」です。

「自撮りは顔に自信がある子って思われちゃう。他撮りなら反感買わない」「あと、自撮りだと盛れる角度で撮ってるから、他撮りだとイマイチな子っているよね」「いるいるー! あと現実カメラはやめてほしいよね」

「現実カメラ」とは、スマホ標準のカメラアプリのこと。盛れないカメラアプリで撮影されるのは「地獄」だそうです。女子高生の肌にシミやしわなどないのですが、「ほくろが気に入らない」「輪郭が丸い」などの不満があり、そのままSNSにアップするのは耐えられないようです。

Androidのカメラは美しく加工してくれるが…

女子高生に人気のスマホは、言わずもがなiPhoneです。iPhoneのカメラアプリは欧米の美的感覚で設計されているためか、ポートレートモードでも肌の質感は「現実」そのままに描写します。

一方、Androidスマートフォンのカメラアプリは「ビューティモード」の搭載が主流となっています。特に設定を変更しなくても人物の顔を認識し、肌を陶器のように美しく、目を大きく加工して撮影する機種が次々に発売されています。

とはいえ女子高生たちは「とにかくiPhone!」なので、私の所有しているiPhone Xを見ても大騒ぎです。

「これ、もう一眼レフみたいって聞いたよ」「ママに買ってって言ったらダメって言われたー」

つい高価なiPhone Xをねだられた親の気持ちに寄り添ってしまいますが、Androidスマホにはビューティモードがあること、撮影するだけでプリクラのような加工ができることを説明してみました。ところが、反応はイマイチ。

「すごいって思うけど、使わないかも。詐欺ってる感じになりそう」

「詐欺ってる」とは、写真を盛りすぎて「詐欺」レベルにかわいくなっている状態を指します。「自分をかわいく見せたいけど、良く見せようという気持ちがあからさまに出ることは避けたい」という心理は、女子高生に限らず、誰にでもありますよね。

「詐欺」レベルの自撮りといえば、プリクラを思い出します。プリクラで加工された顔は、いったいこれは誰なのかと思うぐらいに変わってしまいますよね。もちろん、加工のかけ方は好みに調整できるのですが、もはやプリクラの顔と現実の顔の2種類があるように感じます。

女子高生たちは、スマホを使って美しい顔に加工できるにもかかわらず、おカネを払ってプリクラを撮っています。LINEやTwitterのプロフィール画像も友人とのプリクラ写真が使われることが多いのです。

なぜわざわざ有料のプリクラで撮影するのでしょうか。その理由を知りたくて、女子高生たちのプリクラについていきました。

“事故ってる顔”はペンやスタンプで加工

出かけたのは、彼女たちがよく行くというゲームセンター。プリクラ機がずらりと並んでいます。みんなが認める人気のプリクラ機があるのかと思いきや、一緒に行った4人の中でも好みが分かれるとのこと。それは、どのように盛られるかという好みの問題で、加工機能の使い勝手ではないそうです。


“これは事故ってる”という写真はペンで塗りつぶしたり、スタンプで口を隠したりする(筆者撮影)

プリクラは1回400円。今回は4人組だったので、100円ずつの割り勘です。「100円ならいいかなって思う。2人だと1人200円になるから、そうなるとやめとこうって」と、ある女子高生。100円と200円では大きな差があるようです。

ブースの中に入り、慣れた調子で次々とポーズをとります。ゲラゲラ笑いながら、とにかく楽しそうです。撮影が終わると、加工のコーナーに移動します。タッチペンで目の大きさ、美白効果などを1枚ずつに施していきます。タッチペンは2本なので4人で交代しながら、自分の顔を修整します。“これは事故ってる”という写真は、片目をペンで塗りつぶしたり、スタンプで口を隠したりと次々に加工が進んでいきます。あまりの手早さについていけず、途中で手を止めてもらって説明してもらいましたが、早くしないと次の画面に進んでしまうので、彼女たちの楽しそうな様子を見守ることにしました。

撮影したプリクラ画像はデータでも受け取ることができ、これを友達とシェアします。どういうときにプリクラを撮るの?と尋ねてみました。


プリクラで素早い操作で加工していく(筆者撮影)

「遊んだ記念。仲良しの4人で集まったときとか」「体育祭で髪の毛を盛って仮装をするんだけど、その帰りに来たりする。その格好にもう一度着替えて撮るの。やっぱり記念だよね」「なんとなく時間が余ったときも撮るけど(笑)」

他の女子高生にも聞いたところ、彼氏とプリクラを撮ることが一番幸せなのだそう。

「プリ撮ろうって言ってくれる彼氏は最高。2人の思い出になる」

また、プリクラの期間限定企画も、プリクラに来るきっかけのひとつだそうです。取材時は、梅沢富美男さんとのコラボ企画があり、フレームやスタンプに梅沢富美男さんが入るプリクラ機がありました。大人の感覚でいうと、女子高生が梅沢富美男さんと撮りたいとは意外ですが、とても人気なのだそうです。

また、スマホのアプリにはないプリクラの魅力として、「引きの写真が多いので、四角くトリミングしやすく、SNSのプロフィール画像に設定しやすい」「その日着ている洋服のコーデも撮影できる」といった点も挙げていました。

「自撮りは日常、プリクラは記念」

前述したように、女子高生たちは“詐欺ってる”感じになりたくないと言います。しかし、大人の感覚では、プリクラこそ別人並みに盛れてしまい、それこそ“詐欺”です。

「プリクラは自然に盛れてるし、詐欺という感じはない。SNOWは鼻とか隠しててずるい。いかにもかわいくしたいって感じであざとさが出る」「プリクラはプリクラだから、原型がないとかいう考え方はない」

彼女たちは高校2年生。小学校の高学年からプリクラを撮り始めたそうです。プリクラの進化は早く、1年違うと盛れ方も画質も全然違うそう。参考にと2年前のプリクラを見せてもらいましたが、2年前は目が不自然に大きく、唇の赤さも、肌の質感もまったく異なっていました。

「自撮りは日常、プリクラは記念」という彼女たち。スマホやアプリのセルフィー技術が進化しても、プリクラを忘れることはないようです。