20代の「共働き早婚」はリスクもあるかもしれないが、いろいろ考えるとやっぱりお勧めだ(写真:ふじよ/PIXTA)

最近は「人生100年時代」と言われるようになりました。しかし「長生きしても、おカネがなくて『困った』となるのでは――」。これは、今や、若い世代でも持っている不安です。


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当たり前なのですが、おカネの問題は自分でなんとかするしかありません。一般的には、自分の人生の「持ち時間」を使って計画的に貯蓄をしていくことで解決します。

この当たり前のことに、人生なるべく早い時点で気がつくのが、1つ大きなポイントです。つまり、できれば20代で、「今の収入は今の生活費であると同時に、老後のおカネでもある」と気がつくことです。そして、計画的に効率的におカネを貯めていくことができれば、「人生100年時代の有効な戦略」となるはずです。

20代で結婚する「早婚女子」のおカネの悩みとは?

実は、先日、「東洋経済オンライン」で原田曜平さんの「25歳前後で『早婚する女子』たちの実態と本音」を読んだのですが、確かに、ファイナンシャルプランナーである私のところにも、何組かの「早婚」カップルが相談に来ており、トレンドになっていることを感じます。そこで今回は、主におカネの面から見た「早婚のメリット」をお伝えしたいと思います。

村田純花さん(25歳・会社員、仮名)は、大学時代からお付き合いをしている同い年の会社員の恋人がいます。平日はお互いに忙しくてなかなか会えず、週末にどちらかの家で一緒に過ごすなどして交際を続けています。純花さんの現在の手取り年収は220万円。一人暮らしでなかなか貯蓄ができず、現在貯蓄額は50万円です。

実は、純花さんのご両親は結婚が早く、26歳で純花さんを出産しました。もっとも当時としては、特段早いというわけではなく、今はご自身が同じ年頃になり、結婚を強く意識するようになったと言います。

純花さんのご相談はひとことで言えば、こうです。「もし結婚した場合、どんな基準で『結婚後の家計』を考えると、経済合理的に暮らせるか」。極めて現実的な相談です。「結婚をするメリット」をおカネの面からしっかり考えたいということでした。

私は、若い純花さんが、恋愛の延長で結婚を望んでいるだけではなく、しっかり将来を見据えて結婚を人生の選択肢の1つとして検討していることに感心しました。

純花さんは、仲の良いご両親の下で育ったこともあり、「結婚は自立した男女が家庭経済を共に育んでいくもの」という前向きな意識を持っていることが大きいのではないのではないかと思います。

さっそく、純花さんの現在の「必要貯蓄率」を求めてみましょう。まずは、このまま独身だった場合の家計を考えてみます。

人生設計の基本公式とは、ひとことでいえば老後(通常65歳)に「現役時代の何割の生活水準で暮らすか」(通常は7割)を決め、それまでに「手取り年収の何割を貯めるべきか」(=必要貯蓄率)を計算するものです。誰でも3分で計算できます。計算の仕方は、過去の記事「あなたは65歳までにいくら貯めればいいのか」をご覧ください。初めての読者の方は、このままケーススタディを眺めつつ、読み進めてください。

「独身、年収600万円」で、豊かな老後を送るには?

村田純花さん(25歳・会社員)の家計
家計の今後の平均手取り年収(Y)600万円
(現在の手取り年収ではなく、残りの現役時代の年数も考え、これからもらえそうな年収を考えて記入します)
老後生活比率(x)0.7倍(老後、現役時代の何割程度の生活水準で暮らしたいかを設定します)
年金額(P)180万円(年金受給までに30年以上あるので手取り年収の3割として計算)
現在資産額(A)50万円(現在の貯金額)。教育費などの支出がある場合はその分をマイナスして計算)
老後年数(b)35年(65歳から100歳まで生きると想定した年数)
現役年数(a)40年(65歳まで働くことを予定しているので40年)


このように、純花さんが独身を続ける場合の「必要貯蓄率」(老後は現役時代の7割の水準で暮らす設定)は、21.58%となります。今後収入が増えていけば楽に貯めていける金額でしょうが、まだ手取りの少ない今、21.58%は、なかなか難しい貯蓄率です。

なお、式では、「Y=600万円」×必要貯蓄率としていますが、Yは「将来の平均」なので、毎年の必要貯蓄額は、「現在の手取り収入×必要貯蓄率」として、手取り収入の変化とともに変化していくと考えて構いません。これが、人生設計の基本公式の基本的なアプローチです。純花さんの場合で考えると、現在の手取り年収220万円×21.58%=47万4800円となり、毎月では、約4万円の貯蓄が必要になります。このように考えていただくと、人生設計の基本公式が実行しやすくなるのではないかと思います。

2人の手取り年収が増えれば必要貯蓄率は大きく減少する

さて、今度は結婚した場合を想定してみましょう。交際している同じ年の前原智陽さん(25歳・会社員、同)の「今後の平均手取り年収」は600万円、「現在資産額」は30万円、「年金額」は180万円とします。合算して「必要貯蓄率」を求めてみましょう。なお、子どもはこの時点では考えないことにします(生まれた場合は、教育費などとして現在資産額から引いていきます)。

村田純花さん(25歳・会社員)・前原智陽(25歳・会社員)が結婚した場合の家計
家計の今後の平均手取り年収(Y)1200万円
(現在の手取り年収ではなく、残りの現役時代の年数も考え、これからもらえそうな年収を考えて記入します)
老後生活比率(x)0.5倍(老後、現役時代の何割程度の生活水準で暮らしたいかを設定します。年収が多いので5割まで下げることができます)
年金額(P)360万円(2人とも厚生年金を受給するとして、受給までに30年以上あるので手取り年収の3割として計算)
現在資産額(A)80万円(現在の2人の貯金額の合算)
老後年数(b)35年(65歳から100歳まで生きると想定した年数)
現役年数(a)40年(65歳まで働くことを予定しているので40年)

さて、2人の手取り年収は1200万円と豊かです。老後も「その5割の生活水準」とはいえ、600万円は必要なわけですが、必要貯蓄率はどのくらいになるでしょうか。


計算すると、「必要貯蓄率」は12.06%となります。今後、その時々の手取り収入に対してこの貯蓄率を守っていけば、老後の生活費は、たとえ100歳まで生きたとしても、毎月約43万9000円を確保できます。

また、今後の現役時代の生活費にも余裕が生まれます。2人になって収入が2倍になっても、生活費は2倍にはならないので、2人で稼ぐほうがずっと効率的なのです。「ガラス張り家計」にしてちゃんと管理をしていけば、貯蓄も結構速いスピードで増えていきます。

「共働き結婚」は「口説き文句」にもなる

実は、1000万円以上貯蓄をしている若い夫婦に聞いてみると、「結婚して貯金額が大幅に増えました!」と明るくおっしゃる方が多いのです。大きいのは家賃と食費です。独身時代とあまり変わらない家賃であれば、これまでかかっていた1人分に近い家賃を貯蓄できますし、特に男性は外食が減るだけでも、支出が減ります。

結婚をすると面倒なことも確かに多いし、他人と一緒に暮らすわけですから、互いに我慢しなければならないこともあるでしょう。しかし、経済的には断然メリットが大きいのです。もちろん、子どもができれば支出も大きくなります。しかし、妻も正社員のまま、2人で稼げば十分対処できます。もし、恋人が結婚に躊躇しているなら、「結婚して共働きをすれば、今よりずっと経済的に楽に暮らせるよ!」と言って口説いてみましょう。

2016年の国民生活基礎調査(概況)によると、共働き世帯の平均所得は、707万8000円となっています。1000万円以上の世帯も全世帯の約12%います。共働き家計は収入が多い傾向ですが、家庭経済的に気をつけなければならないのは、前回の記事「共働き『ブラックボックス家計』が危険な理由」でも指摘したように「家計をブラックボックス化しない」ことです。

しかし、「若い時の結婚」には、リスクがあることも確かでしょう。その1つが、性格の不一致です。「こんなはずではなかった」ということが起こるかもしれません。でも、もし不幸にも結婚生活がうまくいかなかったとしても、経済力さえあれば、解消して前向きに生きていくことができます。我慢して無理な結婚生活を維持するよりも、新しい人生を生きるほうが幸福度は高いでしょう。仕事を辞めずに経済力を維持することは重要なのです。

最後にぜひお伝えしたいのは、おカネとは、「安心」や「快適」や「便利」などを手に入れる単なる交換手段なので「できるだけシンプルに取り扱う」ということです。若いうちから、おカネの貯まる仕組みをしっかり作り、時間を味方につけて増やしていきましょう。おカネのことで悩むのは、人生の無駄です。時間も知恵も使うべき重要なことが今後の人生にはたくさん生じてきます。大切なあなたの人生を有意義に過ごすためにも、若いうちからのおカネの人生設計が大切なのです。