ハリウッドで表面化したセクハラ問題をきっかけに、SNSなどで性暴力被害者に連帯する「#metoo」運動が拡大。そして、あらゆるハラスメントの根絶、マイノリティーの安全、平等を求めるセクハラ撲滅運動「TIME'S UP」も注目されるようになりました。そこで目を向けたいのは、一般人である女性が受けたセクハラ、パワハラについて。彼女たちが、様々なハラスメントにどう向き合ったのかを本連載では紹介していきます。

お話を伺った早智子さん(29歳・仮名)は、「学生時代に磨くのは学力よりコミュ力。私はさらに性格が暗いから会社中から標的にされました」と言います。彼女は名門私立大学の経済系の学部を卒業後、有名な商社に勤務します。

「商社でも支店ではなく、“本社”勤務です。私くらいの大学のレベルだと、配属されるのは営業ではなく本社の中枢部署という人が多かった。私は大学の成績がかなりよかったことと、日商簿記3級、証券アナリスト、FPの資格を持っており、さらにはITスキルもありました。ある不動産事業の開発チームに配属され、始発から終電まで働く忙しい日々がスタートしたのです」

そのチームは、ゼネコン、政府関連、不動産関連会社の人が出入りする男性ばかりのチームだったと言います。

「全員分の雑用を請け負いつつ、自分の仕事もしていましたから、やってもやっても仕事が終わらないんです。仕事の内容が特殊すぎるので、研修で教えてもらったことなど全く役に立ちません。毎週の会議では誰も読まないであろう議事録を作成し、会議の前に30P以上ある資料を50部作る。トナーや紙がなくなれば注文し、手配を忘れると“可愛げがないんだから仕事くらいまともにしろ”と怒られる。どんなに頑張っても怒られて、委縮するところから社会人生活は始まりました」

女性は対等な立場ではない、と何の疑いもなく思っている上司が多かった

女性は仕事のパートナーではなく、恋愛や性の対象でしかないとナチュラルに思っている男性の間で、ひたすら雑用をしていたといいます。

「これは私の偏見かもしれませんが、商社や金融関連の人は、女性は恋愛や性の対象であって、仕事のパートナーではないと根本的に思っている人が多いように記憶しています。私の先輩たちは、私の前で、女性社員の顔面偏差値の査定大会も開いていましたから。仕事がデキて美人の先輩に対し“所詮、あいつも女だから、使えるものをつかっているんだろう”とか、“女の部下になるとキツいよね、毎月イライラするんだから”など勝手なことを言っているんですよ。私はかなり不美人でスタイルも悪い部類なので、“女”というカテゴリーから除外されている。だから男たちは仲間内でしか見せない本音を語っていたように思います」

早智子さんは、男の人は本能的に集団が好きななのだ、と感じたそう。

「学閥作ったり、同期でつるんだり、趣味でつながったり……男同士って“●●会”など名前を付けて集まりたがる。集団になると、そこに属せない人を排除して楽しむようになるんです。この職場では、私の出身大学と対照的なイメージがある大学出身者が多かったので、孤立感もひとしおでした。私の大学は、“こじらせ女子”が多いとされており、陰で私のことを“コジレ”と呼んでいることも知っていました。それに、何かあると男同士でつるむ。といっても誘われても困るんですが、一切声がかからないのも寂しいものです。私がもし美人であり……もしくは不美人でも愛嬌があれば、飲み会やお花見、BBQなどにも誘われたかもしれなかったですね。そもそも美人だったら、新人の女性をたった1人で男ばかりの部署に投入しなかったと思います」

男性上司から「プロジェクトを動かしているのは俺たちなんだから、オマエは黙って言われたことをやっていればいい」と言われ、できていないと「まだか、まだか」とせかされる。そんなに無理難題を言われても、薄ら笑いを浮かべながら「はい」と答えるしかない日々。自分の心に嘘をつき続けないと、会社にはいられない。そんな職場の救いは、ゼネコンなど建築関連の会社の人が来る会議だったといいます。

山のような雑用と、議事録をまとめること、データの整理、お茶出しなどを新人時代はひとりで行なっていた。男性社員はお茶出しをしなくていいという、暗黙の了解があったという。

既婚者の40代男性に片思いをした早智子さんに、上司たちは……〜その2〜に続きます。