電子製品が故障した場合に修理できるのは高額な費用が必要なメーカーだけ、という状況は、ユーザーに高額な支出を強いたり、場合によっては製品の買い換えを余儀なくさたりするなど、一般消費者にとって不利益であり、いたずらに電子廃棄物を増やすとういう側面もあり不当だとして、近年「修理する権利」を求める声がアメリカで上がっています。これに真っ向反対する代表格がiPhoneを販売するAppleですが、ついにAppleのお膝元のカリフォルニア州で修理する権利を求める法案が議会に提出される見込みになりました。

Eggman Introduces Legislation to Create a “Right to Repair” for Electronics | Official Website - Assemblymember Susan Eggman Representing the 13th California Assembly District

https://a13.asmdc.org/press-releases/20180307-eggman-introduces-legislation-create-right-repair-electronics

The Right to Repair Battle Has Come to Silicon Valley - Motherboard

https://motherboard.vice.com/en_us/article/8xdp94/right-to-repair-california-bill

カリフォルニア州のスーザン・エッグマン議員は、修理する権利を認める法令「California Right to Repair Act(CRRA)」の法案を議会に提出すると表明しました。エッグマン議員は法案の趣旨について、「CRRAは、消費者は自分の電化製品を自ら選んだ修理店やサービス提供者に修理してもらえる自由をもたらすものです。数世代前まで当たり前だと考えられていたことは、今や『計画的陳腐化』によって極めて希になってしまっています」と述べています。

すでに、ハワイ、イリノイ、アイオワ、カンザス、マサチューセッツ、ミネソタ、ミズーリ、ノースカロライナ、ネブラスカ、ニューハンプシャー、ニュージャージー、ニューヨーク、オクラホマ、テネシー、バージニア、バーモント、ワシントンの17州で修理する権利法案は議会に提出され立法活動が進んでいますが、カリフォルニアが18番目の州としてリストに加わることになります。

この修理する権利を法令化する動きに対して、iPhoneを販売するAppleは真っ向から反対していることで知られています。Appleによると、修理する権利を認めることはスマートフォンなどの端末の安全性やセキュリティを損ね、知的財産権を毀損しかねないため不当だというわけです。Appleは巨額を投じて修理する権利法案を廃案にすべく積極的にロビー活動を行っているといわれています。

しかし、修理する権利の法令化の流れを決定的にしたのはApple自身だという指摘もあります。Appleはバッテリーの劣化した古いiPhoneの性能を意図的に下げるソフトウェアアップデートをユーザーに知らせることなく実行していたことが明るみになり、謝罪&バッテリー交換の割引き対応を余儀なくされましたが、このAppleの行為がいわゆる計画的陳腐化を目的としていたのではないかという批判が相次ぎ、修理する権利の必要性が改めて見直されたといえます。

Appleが古いiPhoneの性能低下問題を正式に謝罪しバッテリー交換費用を60%以上値引きすると発表 - GIGAZINE



エッグマン議員によるCRRA法案提出の発表の中で、「スマートフォンや家電製品の交換修理可能な部品が壊れる度に最新モデルにアップグレードする必要はありません」とカリフォルニア州の廃棄物担当責任者のマーク・ムレイ氏は述べていますが、この発言がAppleのiPhoneのバッテリー問題を示唆しているのは明らかです。

Appleに限らずMicrosoftなど修理する権利の法令化に反対するハイテク企業の多くが拠点を置くカリフォルニア州で法案が提出されたことは大きな出来事だといえます。そのハイテク企業の象徴的な土地での修理する権利の法令化を巡っては、ますますロビー活動が激しくなるだろうと指摘されています。