予選を突破したのは愛知工業大学と東北大学、京大、長岡技科大の4チーム。愛知工業大は第一レーンの吊りパイプ道と第四レーンダクトやタンクの点検で点数を伸ばした。吊りパイプ道は機体を小さくしてパイプを回避した。目視点検は今後、ダクトの内部地図を自動で作成し、傷や汚れの位置をマーキングする予定だ。愛知工業大はサンリツオートメイション(東京都町田市)などと連携し、事業化を進めている。

 東北大は第一レーンの障害物除去と第4レーンパイプライン点検で点数を伸ばした。9日の予選会では新作のアームが不調だった。アームに頼らない範囲で確実に目視点検の点を積み上げた。新作アームは6自由度をもち器用な操作が可能だ。決勝までに修正できれば、目視点検などのカバーエリアが広がり得点を大きく伸ばせる。

 京大は8チームの中では機体が大きい。そのため第3レーンのキャットウォークなどの狭い道を苦手とする。強みは器用さだ。第2レーンのメーター読みとバルブ操作、第3レーンの目視点検で点を伸ばした。

 予選ではトラブルに見舞われた。ハンドが動かなくなり、競技の合間にハンドを解体しては組み立て、換装を3回繰り返して修正した。この対応力は決勝でも生きてくる。

 会津大は僅差で決勝進出を逃した。機体は2本のアームを持つ双腕タイプで走破性も悪くはなかった。器用に腕を使いメーター・バルブ操作でトップの成績を出した。ただ得点のバランス面で損をした。初参加ならでは落とし穴にはまってしまった。

 最後に、長岡技科大は2位に倍以上の大差をつけて予選1位になった。走破性と器用さの両方で実力を見せつけた。第1レーンのL字パイプの引き抜きを成功させたのは長岡技科大だけだ。アームは可搬重量に余裕があり、鉄パイプをきちんと操作できた。他にも第2レーンのプラント不整地、第3レーンのキャットウォークなど、10タスク中5タスクで最高成績をたたき出した。

(文・小寺貴之、撮影・北山哲也)