予選1位の長岡技科大チーム。キャットウォークを登り、チェッカープレートの上を進む

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 熱戦、インフラ・災害対応ロボット。国際ロボット競演会「ワールド・ロボット・サミット」(WRS)災害対応標準性能評価チャレンジのトライアル大会が福島県南相馬市で開かれている。日本全国から大学や企業の8チームが集まり、トンネル事故やプラント災害予防の技を競う。9日の予選を経て10日の決勝に進めたのは4チーム。それぞれ器用さや走破性が強みだ。器用さと走破性、どちらが戦いを制するか。

 WRSは経済産業省と新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が主催し、2020年に本大会、18年10月にプレ大会を計画している。これらの大会に向けて運営ノウハウを蓄積し、競技難易度を調整するためにトライアル大会が開かれている。今回は4シーン10タスクが競技として競われた。レーンごとにパイプラインやトンネルなどの事故を模擬したタスクが出題され、ロボットたちがどこまで対応できるか検証する。

 第1レーンはトンネル事故シーンをテーマにした。天井からケーブルや構造物が垂れ下がる環境を走破し、がれきなどの障害物をどかして作業することを想定する。そこで天井にパイプを固定して垂らし走破性を検証する。ロボットはパイプをかわしたり、いなしたりしながら進む。

 障害物除去はがれきをL字の構造物として簡略化した。L字構造は重心が中心からずれているため、下手に押すと回転してしまう。遠隔操縦のロボットは視野が狭いため扱いづらい。

 作業性は隙間に刺さったL字の鉄パイプを引き抜けるかでテストする。パイプをしっかりと持ち、引っ張りながら、パイプの先がどこにどうひっかかっているか考えながら引き抜く。触覚や力覚を感じられないロボットに非常に難しい課題だ。

 第2レーンはプラントの保守点検シーンをテーマにした。グレーチング(格子状床)やチェッカープレート(縞鋼板)の不整地で走破性をテストする。実際にプラントや工場で使われる足場で滑らず走れるか評価する。

 作業性は圧力メーターの針を読み、バルブハンドルを回すタスクを用意した。合計15個のメーターやハンドルを並べ、順に作業していく。読み取り速度や器用さを競わせる。京都大学と会津大学が得点を伸ばした。

 第3レーンはプラントの高所作業シーンをテーマにした。狭い階段やキャットウォーク(点検用の歩廊)をきちんと移動できるかテストする。階段の角度は45度と急勾配だ。対策をしないとずり落ちたり、転倒してしまう。

 キャットウォークを抜けるとバルブが並ぶ。高さ0.6メートルと1.2メートル、1.8メートルにバルブを配置し、いくつ回せるか競う。バルブハンドルは上を向いているため、上から真っすぐハンドルをつかむ必要がある。ハンドルとハンドの回転軸がずれると、回転に必要な力が3倍、4倍に跳ね上がる。限られた視界でアームの先を正確に操作する必要がある。長岡技術科学大学と会津大が接戦を演じた。

 第4レーンはコンビナートやパイプラインでの点検保守シーンをテーマにした。直径60センチメートルの丸パイプの内側と外側に読み取り用のQRコードを配置した。QRコードは30センチメートルから2センチメートルまで大きさが変わるコードがいくつも貼り付けられている。効率良く読み取るには画角やピント、視認距離調整を自動化できると効率が上がる。実施の現場では汚れやクラックを探す。しっかりと撮影できてしまえば、画像処理でクラックを探すなど応用が利く。

 タンク壁面や煙突壁面、ダクト内部の点検シーンも用意した。タンク壁面は高さが2.4メートルあり、高所を読めると高得点が期待できる。目視点検の自動化は産業界からのニーズが大きく、ロボットが期待されている分野だ。狭い配管や大きなタンクの中を一つの機体で点検できると応用が広がる。