ガストの店舗(撮影=編集部)

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「ガスト」や「ジョナサン」を運営する、すかいらーくが正念場を迎えている。

 2月14日発表の2017年12月期連結決算(国際財務報告基準/IFRS)は、本業の儲けを示す営業利益が前年比10.1%減の281億円だった。営業利益はこれまで増加傾向を示し、16年まで2期連続で増加していたが、ここにきて勢いが落ちたかたちだ。

 売上高に占める営業利益の割合を示す売上高営業利益率も低下した。前年比1ポイント減の7.8%となっている。

 今回の決算発表を受けて、すかいらーくの株価は大きく下げた。発表の翌15日は一時、前日比129円(8.3%)安の1424円を付け、年初来安値を更新した。年初来高値1804円(17年5月11日)からは380円(21.1%)下げている。

 売上高に占める販管費の割合を示す売上高販管費率が上昇したことが営業利益率を低下させる要因となった。17年は前年比1ポイント増の62.1%だった。

 特に売上高人件費率が上昇し続けていることが販管費率を押し上げる大きな要因となっている。17年は前年比0.4ポイント増の33.7%だった。直近5年(13〜17年)でいえば、通期ベースの人件費率は一貫して上昇し続けている。

 すかいらーくでは現在、約10万人の従業員が働いている。そのうち毎年約5万人が学校の卒業や家庭の事情などで退職し、毎年同程度を採用しているという。これだけの規模の従業員を維持するのは簡単ではない。外食業界を中心にアルバイトの時給を上げても人が集まらないという声が聞かれるが、すかいらーくも例外ではないだろう。

 そうしたなか、すかいらーくは人手不足の解消やコスト削減を目的として近年、深夜営業の短縮を推し進めている。17年は581店で実施した。しかし、それでも人件費率の上昇が止まらない。時給上昇による人件費の増加をカバーしきれていない状況だ。

 客離れも深刻だ。17年は既存店客数が前年比1.6%減少した。直近5年はすべて前年割れとなっている。それでも13〜15年は客数の減少分よりも客単価の増加分のほうが大きかったため売上高はプラスとなったが、16年は客単価でカバーできず売上高がマイナスとなり、17年はほぼプラスマイナスゼロとなっている。

●すかいらーく成長の歴史

 すかいらーくの前身で食料品を取り扱うスーパー「ことぶき食品」が誕生したのは1962年。その後、西友など大型スーパーの進出で経営が悪化したため、ファミリーレストランの先駆けとなる飲食店「スカイラーク」(のちに「すかいらーく」に変更)1号店を70年に出店した。店名は創業の地である「ひばりが丘団地」にちなんで「スカイラーク」(英語でひばりの意味)にしたという。

 すかいらーくが誕生した70年は「外食産業元年」ともいわれている。同年は、開催された日本万国博覧会に「ケンタッキーフライドチキン」の実験店が出店している。さらに翌71年には「マクドナルド」や「ミスタードーナツ」の第1号店がオープンした。

 以後、外食産業は急成長していく。しかし、91年から始まったとされるバブル崩壊により外食産業は低迷期に入る。そうしたなか、92年にすかいらーくは低価格路線のファミレス「ガスト」の1号店を出店し、それ以降、すかいらーくをガストへと転換を進めていく。

 ガストは誕生から11年後の2003年に1000店を達成するなど大きく成長していった。一方で、競争は激化していく。また、外食産業の市場規模は97年の29兆円をピークに、その後は右肩下がりで低下。合わせるように、すかいらーくの業績も次第に悪化していった。

 そこで、一度は引退した創業者である「横川4兄弟」のひとり、横川竟氏が06年3月に社長に復帰し、投資ファンドの野村プリンシパル・ファイナンスなどと組んでMBO(経営陣が参加する買収)を実施。同年9月に上場廃止となった。

 こうしてすかいらーくは投資ファンドとともに経営再建に取り組むことになった。しかし、経営改革が思うように進まず、業績が上向くこともなかったため、08年に横川氏は解任され、生え抜きで現社長の谷真氏にバトンタッチすることとなった。

 09年にすかいらーくをすべて閉店。11年以降は投資ファンド、ベインキャピタルの出資を受け、さらなる経営改革を進める。業績を改善させるため、新業態を次々と開発していった。そして14年10月に再上場を果たしている。

 すかいらーくの強みは多様な業態の飲食店を展開していることにある。ガストやジョナサンでは洋食を中心にモーニングからディナーまで幅広く対応する。バーミヤンは中華、夢庵では和食を提供。ほかにも、回転ずし店やトンカツ店、イタリアンなども展開する。

 多様な業態を展開することで幅広い層を取り込めるほか、業態転換が容易となるため機動的な経営が可能となる。たとえば、「ガスト利用者の年齢が上がって収益が落ちてきたら夢庵に転換する」といったことができるようになる。確保した土地を手放すことなく店舗経営ができるのだ。

 ベインの出資を受けたことで、すかいらーくの経営再建は進んだ。出資を受けた直後の12年の売上高は3296億円。その後は一貫して上昇し続け、17年は3594億円となっている。営業利益と営業利益率も16年までは上昇傾向にある。

 しかし、ここにきてブレーキがかかってしまった。前述した通り、17年は営業利益と営業利益率は前年比マイナスとなった。売上高は同1.4%増となったものの、外食産業全体が同3.1%増(日本フードサービス協会の調査結果)となっていることを考えると、物足りない状況だ。新たな成長戦略の立案と、より一層の構造改革が求められているといえるだろう。
(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)