パナソニックの「おいしい7days」

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 大容量や保冷機能、省エネなどの性能競争に終始しがちな冷蔵庫の提案で、これまでになかった視点から切り込んでいるのがパナソニックの「おいしい7days」だ。

 「2015年の秋からスタートした『ふだんプレミアム』から、商品軸ではなくお客様の生活シーンに合わせた提案を展開している。冷蔵庫も、単なる保冷庫ではなく、つくり置きや常備菜という視点から提案できないかと話し合って『おいしい7days』がはじまった」と、パナソニックのメジャーアプライアンス商品部 冷蔵庫商品課の太田邦仁課長は語る。

 突出しているのは、あえて夫婦共働きにターゲットを絞っている点だ。100%に近い世帯普及率の冷蔵庫は、あらゆる年代や家族構成の世帯で使われることもあり、アピールするときは総花的になりがち。しかし、「おいしい7days」は夫婦共働きの子育て世代に絞ることで、週末に1週間分の夕食の下ごしらえをして、仕事や子育てで忙しい平日の家事負担を減らそうという新提案だ。

 しかも、単につくり置きするだけでなく、簡単でおいしくできることから生まれる時間的な余裕や、プレミアムな時間の過ごし方につなげる。つまり、耐久消費財の代表格である冷蔵庫を、時短家電でもあり食卓を豊かに彩る嗜好品でもある製品として仕立て上げたのだ。

 「おいしい7days」を実現する機能も、マイナス3度で1週間分を微凍結で保存できるパーシャルと、野菜をフレッシュなまま1週間新鮮に保存できる野菜室の2点に絞った。とりわけパーシャルは、30年以上も前から同社の冷蔵庫に搭載されている機能だが、「おいしい7days」で再びよみがえらせた。

 「従来のパーシャルは、ファミリー層のほか、買いだめをしないお年寄りにも解凍しなくていいとか、解凍時のドリップがもれないからおいしいなど、3点で訴求していた。『おいしい7days』では、後半の2点はいったん置いておき、夫婦共働き世帯にフォーカスをあてた」と、太田課長は機能を訴える上でもポイントを絞ったと明かす。

 日曜日にまとめ買いした食材は、シューマイや鯛のカルパッチョ、ハンバーグ、カレー、しゃぶしゃぶなど曜日ごとのメニュー例を参考にしながら下ごしらえしてパーシャル室に保存する。調理する際は、解凍いらずで、素早く簡単においしくできる。野菜室は、保湿を高める「モイスチャーコントールフィルター」と湿度センサで保湿を自動コントロールするので新鮮だ。

 もちろん、細かくみていけば本体の壁の厚さを薄くしたことで、本体の幅や高さは変えずに庫内の容量を50L増やしたとか、下段の野菜室の奥にあったコンプレッサーを女性の手が届きにくくデッドスペースだった最上段の奥にレイアウトにして冷蔵室の取り出しやすくしたなど、製品開発した事業部としては訴えたいことが山ほどあるだろうが、消費者の視点では焦点がぼけてしまう。

 「実際に生のタラコをお客様に触ってもらって、硬くならないことで実感してもらっている」(家電量販店の店員)など、「おいしい7days」の訴求は、販売する店員にとっても売りやすさにつながっているようだ。(BCN・細田 立圭志)