「Thinkstock」より

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●妬むことは、たしなめられ……

 子どもの頃、友だちと自分を比較して残念に思ったことはありませんか? たとえば自分よりいいオモチャやゲームを持っていた、あるいは自分の家よりいいところに旅行やレジャーに行った、などが「ありがち」なようです。

 そんなとき、親に妬ましい思いを訴えると、親はどのように反応したでしょうか? ほとんどの場合で子どもをたしなめるようです。「人を妬んでもいいことはない」と妬ましい気持ちを否定することがほとんどでしょう。

●妬みは何も生み出さないのか?

 実際、多くの場合で人を妬んでも何も生まれません。自分より業績を上げた人や異性にモテる人を妬んでも、業績は上がりませんし、異性にもモテません。妬みは脳内で「心の痛み」を生み出すネガティブ感情のひとつなので、苦痛を生むだけで終わることがほとんどです。親が子どもの妬みをたしなめるのはある意味で正しいことです。

 ですが、心理学的には人の心にムダなものは一切ありません。使い方が難しいこともありますが、人が持つあらゆる感情は何かを生み出すためのものなのです。妬みもそのような感情のひとつです。では、妬みを上手に使えば何を生み出せるのでしょうか。

●妬みが生み出すものは成功だが、その反動で失うものも

 妬みが生み出すもの、それは社会的な成功です。妬みは「私たちが欲しいもの」を教えてくれる感情なのです。そして、欲しいものを手に入れるモチベーションも私たちに与えてくれます。ただ、ひとつ残念なことは「欲しいものの合法的な獲得法」は教えてくれないのです。

 そして現代社会のなかで何かを手に入れるには時間がかかります。多くの人は手に入れるまでの長い間、心の痛みを抱え続けることを嫌がります。心の痛みは心の余裕を奪うので、人を思いやることも日々を楽しむことも難しくなってしまいます。ここで欲しいものを諦める、または妬みを忘れてしまえば、妬みによる苦痛もなくなり心の余裕も取り戻せます。要は、妬みの向こうにある成功よりも、諦めることの快適さに流されてしまうのです。

●妬みを成功に変えるたったひとつの条件とは?

 しかし、あなたが成功したいのであれば、妬みを上手に使うたったひとつの条件をお教えしましょう。それは「妬みをときどき思い出して、欲しいものを確認する」、たったこれだけのことです。社会はあなたの都合のいいように動きませんが、確実に動くものです。今できる準備を積み重ねていれば、あなたが誰かを妬むほどに欲しくて仕方がないものを手に入れるチャンスは必ず巡ってきます。そのタイミングがいつかはわかりませんが、チャンスを掴むためには、心に余裕を持って今できることに集中することが必要です。そのためには、普段は忘れている必要があります。

 ただ、本当に忘れてしまったらダメです。ときどき思い出して、心の痛みを味わいましょう。痛みが強いほど無意識に深く求める気持ちが刻み込まれます。こうすると、無意識的にチャンスを掴むきっかけに繋がる仕事には力が入ります。チャンスが来たときに、見逃さずにキャッチできます。

 よく「流れ星が流れる間に願いごとを唱えたら……」と言われますが、これは無意識でいつも求めていれば上記のようなことが起こるという意味なのです。妬みを上手に使って、あなたが欲しいものを心に深く刻み込みましょう。そして、成功を掴みましょう。あなたに数々のチャンスが訪れることを願っています!
(文=杉山崇/神奈川大学心理相談センター所長、人間科学部教授、臨床心理士)