m-flo ☆Takuのare you Apple holic ?



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音楽界きってのガジェットマニアと称される☆Taku Takahashiが、アップルの話題をディープに語る連載。3月にリリースするm-floの新曲は、一風変わったプロモーションを展開し話題に。そこにはガジェットエンタメの今旬な関係性があった。

スマホとエンタテインメントが繋がる2018



──今回のテーマは、ずばり「スマホとエンタテインメント」の最新事情。まずは、その見事な成功例と言える、m‐floの新曲プロモーション(☆1)について聞かせてください。

実はこういった取り組みは今回が初めてではありません。例えば昨年11月にはSpotifyの公式プレイリストにm‐flo再結成を示唆するメッセージを仕込みましたし、今年もリミックスアルバムに参加するリミキサー陣を紹介するプレイリストをなんの告知と説明もなしに電撃公開しています。このご時世、ただアルバムをリリースしただけでは注目されませんから、思い付いたことはどんどん試していきたいな、と。今回のプロモーションもそうした流れの一環となります。

☆1 m-floの新曲プロモーション



m-floが3月7日にリリースする「the tripod e.p.2」に収録されている「No Question」を、ボーカル(LISA)、ラップ(VERBAL)、ドラム、シンセの4パートを別々にしてSpotfy、Apple Musicなどで配信する試みを展開。4台のスマホを持ち寄って同時に再生させることで完成型として聴取することができる。Twitterでは本人らが実際にそれを試している動画も公開(写真)。

──こういったアイデアってどうやって思い付くんですか?

チームで活発に意見交換していくなかで、次はこれをやってみようという形で自然とまとまっていくんです。ちなみに今回の元ネタはNIPPSが98年にリリースした「ISLAND」というアナログ盤。A面にインストが、B面にアカペラが収録されていて、同時再生しないと完成型を聴くことができないんです。つまり、2枚使ってターンテーブルを回せ、と(笑)。これをスマホでやってみたら面白いんじゃないかって考えたのがきっかけです。再結成を契機に久しぶりに集まったm‐floファンの皆さんが、これで遊んでくれるとうれしいなと思いました。

──ファンの反応はいかがでしたか?

「(タイミングを合わせるのが)難しい」って声もありましたが、そういうことも含めて楽しんでくれているようです。SNSに僕らが再生している動画をアップしたのですが、たくさんの人がお気に入りに入れてくれるなど、大きな反響がありました。

──☆Takuさんは、今後のデジタルエンタテインメントがどのように進化していくと考えていますか?

“デジタルとフィジカルの融合”が重要になっていくと思います。たとえば、今、米国で話題になっている音楽玩具『DROPMIX』(☆2)などはその好例。カードゲームと音楽を結びつける発想は既にいくつかのアプリで見られますが、これをアプリ内の仮想カードではなく、紙製のカードでやろうとしたのが面白い。

☆2 DROPMIX





スマホアプリと連携させた本体ボードに、ブルーノ・マーズやエド・シーランといった実際の楽曲を認識するカードを置いていくことで、ミックス曲作りが簡単にできる玩具。カードはボーカル、ギターやドラムなどのパートごとに分かれており、いろんな楽曲を驚くほど見事に自動マッシュアップしてくれる。

──実際のカードを使うことで何が変わるんですか? ただデジタルがフィジカルに置き換わるだけですよね?

やってみるとわかりますが、“体験”が大きく変わります。紙のカードを本体ボードに置くと、スマホから音楽が再生されるって、思った以上に楽しいんです。画面内だけで完結しているアプリとは根本的に違っています。

──なるほど! m‐floの新曲プロモーションもそうですが、デジタルにフィジカル的要素を追加することで、これまでになかったプリミティブな喜びが生まれるんですね。

それは、先日発表された『Nintendo Labo』(☆3)も同様。知育ツールとして素晴らしい発想だと思います。何より気に入っているのが、段ボールなどを使って自分でパーツを作ったり、直せたりすること。フィジカルなものは、あれもこれもと高くついてしまいがちですが、それを“アフォーダブル”(「手頃な価格の」「入手可能な」の意)なものにしています。これもまた、最新のデジタルエンタテインメントを語るうえでの重要キーワードと言えるでしょう。『DROPMIX』もゲームセンターのトレーディングカードゲームをアフォーダブルなものにしたという側面があります。

☆3 Nintendo Labo



大人気『Nintendo Switch』が前代未聞の楽しみ方を提案する、ダンボールとソフトがセットになったキット(4月20日発売)。付属のダンボールを組み立て、本体・コントローラーを組み合わせることで、新たな“あそび”の発明を促す。

──今後は、こうしたものが主流になっていくとお考えですか?

正直、これが「主流」になるかは、まだわかりません。ただ、個人的にはとても期待しています。今後の動向に注目していましょう。

☆Taku Takahashi(m-flo,block.fm)/音楽家、DJ。1998年にVERBALとm-floを結成。m-floデビュー20周年となる2018年は、オリジナルメンバーのLISAが復帰となり、「the tripod e.p.2」を3月7日にリリースする。個人では加藤ミリヤ、MINMIなどのプロデュースを務め、テレビドラマ『信長協奏曲』『人は見た目が100パーセント』などの劇伴を担当するなど、その活動は多岐に渡っている。自身が運営するダンスミュージック専門インターネットラジオ「block.fm」は開局から6年目の今も、音楽の新たなムーブメントを発信し続けている。

※『デジモノステーション』2018年4月号より抜粋。

text山下達也(ジアスワークス)