モノクロの僕の世界が彩られていく。下野 紘がひとりでは表現できなかった「色」

2016年、声優デビュー15周年の節目にソロアーティストとしてデビューし、本人の言葉を借りるなら「ゆっくりゆっくり」前へ進んできた。そして3年目の今年、初のミニアルバム『Color of Life』がリリースとなる。色をテーマとした6つの楽曲を、これまでの基調だったギターロックを中心にさまざまな音楽スタイルで表現する本作は、間違いなく下野 紘の新機軸。これまで黒のイメージが強かったソロアーティストとしての活動に、彩りが添えられていく過程についてインタビューをおこなった。

撮影/後藤倫人 取材・文/照沼健太
スタイリング/SUGI ヘアメイク/中島康平(UNVICIOUS)

一歩ずつ、着実に。「徐々に成長したい」という思い

このミニアルバム『Color of Life』の存在が、最初に明らかにされたのは2016年。そのあとも自身のブログで「鋭意製作中」と言及されてはいたが、リリースまで1年と半年もの時間がかけられている。声優デビューからソロアーティストとしての活動開始まで15年の歳月をかけたように、下野 紘のアーティスト活動への慎重さが見てとれるようだ。
ミニアルバムの制作はいつ頃から?
じつはミニアルバム制作の話が出はじめたのは、2016年8月にまでさかのぼります。それが、ここまでかかってしまいました(笑)。というのも、ミニアルバムに着手しようと思ったタイミングでタイアップのお話をいただいて、2016年末から年始にかけて急遽、3rdシングル『Running High』を制作することになったんです。
フルアルバムではなく「ミニ」なのには理由が?
最初から「ミニアルバムを作ろう」という感じでした。僕としては、アーティストとして徐々に成長していきたいという思いがあるので、全曲新曲のミニアルバムがちょうどいいのではないかと。
ソロアーティストとしてのデビューの決断にも15年かけたように、やはりひとつひとつ慎重に積み重ねていきたいという思いが強いのですね。
そうですね。ゆっくりゆっくり成長していっている感じだと思います。デビューにあたっては、アニメキャラや作品の助けもなく「下野 紘」としてソロで歌うことがなかなかイメージできませんでした。そして、デビューしてみたらこれが思った以上に大変で、成長しないといけないと実感することばかりで。レコーディングやライブの経験を積み重ねてきたことで、ようやく自分なりに、アーティストとして少しずつ歩めるようになってきたなと。
今回のミニアルバム『Color of Life』のコンセプトはその名の通り「カラー」ですが、これは下野さんの提案によるものですか?
そうです。もともと『colors』という曲があったので、色に絡めたテーマでミニアルバムを作れたらいいなと思ったんです。
下野さんは、ソロアーティストとしては「黒」というイメージが強いので、今回のカラフルな世界観は意外に感じました。
自分でも、「黒」というイメージがありましたね。でも徐々にいろいろなことができるようになってきて、いろいろな形で「下野 紘」をお届けしたいと考えたんです。3rdシングルが今までと違う路線の曲だったので、そこでの経験も大きいですね。そして、僕だけではなくスタッフ陣からも「もっとこういう感じでライブを盛り上げたら面白そう」とか、アイデアがいろいろ出てきていたので、みんなの思いが詰まったミニアルバムになった気がします。
「下野さんがやりたかったこと」が表現されている箇所というのは?
たとえば『Violet Phantom』ですね。ずっとジャズがやりたかったんです! じつはジャズが昔から好きで、今までキャラソンでもそういった曲は歌ったことがなかったので、自分からリクエストしました。
ジャズがお好きだったんですね。
父親が持っていたジャズのアルバムをこっそり拝借したこともあります(笑)。うちの父親は音楽へのこだわりが強くて、リビングの一角を全部音楽スペースにしているほどなんです。「このスピーカー買ったんだよ」とかいろいろ教えてくれるんですが、何を言ってるのかよくわからないくらい(笑)。
下野さんの音楽活動については何か?
昔、アマチュアでフォークのライブをしたりしていたので、「お前、この曲ではもっとこういうふうに歌ったほうがよかったんじゃないか?」と言われたことがあります(笑)。
2016年のデビューシングル『リアル-REAL-』において、RUCCAとの共作で作詞に初挑戦。当時のインタビューではその苦労を語ってくれた。その後の作品においても作詞を続け、本作収録曲『Blue Moon』では二度目の単独での作詞をおこなっている。作詞への向き合い方はどう変わったのだろうか?
今回『Blue Moon』では2ndシングル『beyond...』に続き、二度目の単独での作詞をされていますが、いかがでしたか?
これまでとは心構えが全然違いました。というのも、『beyond...』のときは僕が作ったものに対してRUCCAさんにアドバイスをもらい、さらに僕が手を入れるという形で進めたので、今回もその形で進むだろうと思っていたんです。でも、そのまま全部自分の詞が使われていました。
そうだったんですか!
『beyond...』のときは、作詞に即興ソングのメロディラインを曲にしてもらったのもあって、「えっ、これでいいの? 大丈夫なんですか?」ってドギマギしていましたよ(笑)。それに対して今回の『Blue Moon』は、スタッフ陣に前もって「自分で歌詞を書く」と宣言しました。だから前回の『beyond...』とは違い、強い思いで作った一曲になっています。今回はドギマギしていません(笑)。
こうしてさまざまな楽曲が集まったミニアルバムができたわけですが、全体を通して聴いてみて、どのような作品になったと感じられましたか?
率直に、バラエティーに富んだ作品になったと感じました。僕自身、一曲一曲に対するテーマやこだわりが強く、ややヘヴィな表現が含まれている部分もありますが、全体としては聴いていて楽しい作品になったのではないかと思います。

つねに感謝を忘れない。下野 紘が「人」を大切にする理由

ソロアーティストだからこその姿勢なのだろうか。作品やライブの制作のみならず、撮影も含めた取材現場においてもスタッフとコミュニケーションをとり、意見を求める姿が印象的だった。その姿からは、映画監督が各スタッフと雑談を交わしながらアイデアをまとめていく様子や、海外の大物ソロアーティストが信頼できるパートナーとソングライティングをおこなう姿勢を連想させられる。話を聞くと、こうしたチームワークを重視しているのだという。
下野さんのブログにはボイスコーチや、周囲のスタッフへの感謝が綴られていることが多いように思います。
そうですね。僕たちは持ちつ持たれつなんです。僕は優柔不断なところもあり、いろいろな人の意見や、自分とは違った見方をしてくれる人の手助けがないと、何かを作り上げていける自信がない。だからこそ彼らに頼りますし、感謝もしています。
作品の制作においても、スタッフの方々の意見を取り入れている姿が印象的です。
いろいろな人の意見を取り入れようとしているというのは、何も特別なことではないんです。「みんなで楽曲やイベントを作っている」という感じですね。もちろん“自分の世界”は大切ですけど“自分だけの世界”はちっぽけな気がするし、それだけだと面白くないなと僕は思ってしまうので。
より面白いものを作るためには、いろんな人の考えが必要だと。
みんなで作れば、自分では想像できなかった発想が出てくる。それって単純に面白いですよね。今回ミニアルバムのタイトルも『Color of Life』にたどり着くまで、たくさんの案を出したのですが、その中には「十人十色」というのもありました。ひとりの人間の中にはいろいろな色の感情があるけど、それが10人集まったらもっと広がる。人って面白いよなと思いますよね。だからこそ僕は、人を大切にしていきたいと思っています。
人が集まって面白いものが生まれる可能性を知っているからこそ、人を大切にしている。その姿勢を体現するように、ブログには定期的に「ファンレターを読んで」というタイトルで記事を投稿するなど、ファンとのコミュニケーションを大切にしているように感じる。
下野さんは、自分のもとに届くたくさんのファンレターすべてに目を通しているんですね。
はい。いただくファンレターを読めば読むほど、いろいろな人がいるなと思います。もちろん「その考え方、賛成です」というものから、「それは違うと思う」というものまでさまざまですが、そうしたところから多少なりとも活動に影響を受けたり、ちょっとしたヒントを得たりすることはありますね。
ヒントというと?
完全にそれをモチーフにしているということではないんですけど、今回僕が作詞した『Blue Moon』に関しては、いただくファンレターの中に綴られているファンのみんなが抱えている日々の悩みに対して、「少しでも癒やしが与えられたらいいな」という思いが片隅にありました。
なるほど。その一方で下野さんのファンは、下野さんを心配されている方が多いのかなとも思いました。2017年2月のブログでは「オレの幸せを心配してくれてありがとう」と(笑)。
そうなんです! すごく心配されているんですよ(笑)。そこまで大変な目にあっているつもりはないんですけど、気にかけてくださることが多いですね。ブログでも意味ありげな書き方をして心配させてしまったりして。「違う違う! 今、飲み会で目の前に繰り広げられてる光景を『大変だな〜』と思っただけなんだよ」ということもありました(笑)。

「変態」の自覚あり。自分で自分を追い込んでいく1年に

『リアル-REAL-』リリース時のインタビューで、アーティスト活動開始に伴い忙しくなり「飲み会の回数が減った」「気兼ねなくお酒が飲みたい」と話していたので、最近のプライベート事情についても聞いてみた。お酒の話になると、それまで真剣だった顔つきが一転、ほころんだ表情に。何ともチャーミングな瞬間だった。
飲み会の回数が減ったことによりお酒に弱くなり、1杯目でほろ酔いになってしまうとお話されていたのが印象に残っています。最近はいかがですか?
相変わらず飲みの回数は減ったままですね。お酒もさらに弱くなりました。昨年末に何回か飲みに行きましたけど、ことごとくやられていました(笑)。おかげさまで今年はさらに飲みに行けなくなりそうですよ。「飲みに行こうぜ」「ごめん」というやりとりを繰り返す1年になりそうです。
今年も忙しくなりそうですね。リラックスやストレス解消などはどのようにされていますか?
お酒を飲む以外だとゲームですね。それと睡眠が大切だと感じるようになりました。今まではそうでもなかったんですけど、寝たくないのに眠くなるんですよ。飲んでいて眠くなる時間も早まっていますしね。でも、本当に睡眠って大切なんですよ。ダイエットにも寝たほうがいいらしいですし。
枕など快眠グッズにこだわりが?
グッズを揃えてはいないんですけど、電気を消して真っ暗にするようにしています。豆電球もつけず、真っ暗にすると熟睡度が変わってくるらしいです。
前回のインタビュー時に、「まとまった休みが取れたら旅行に行きたい」と教えてくれましたが、どこか行かれましたか?
最後にいつ行ったかな……? 仕事では、年末に谷山紀章さんと旅行に行きました(笑)。でも、温泉じゃなかったんですよね。温泉に行きたいです。30歳すぎたくらいから、温泉が本格的に好きになってきたんです(笑)。
趣味のお酒を飲む時間も取れないほどのスケジュールをこなしながら、2018年はさらに仕事に打ち込む予定だとか。しかし、そうした挑戦こそが楽しみであり、むしろ自分で自分を追い込んでいくのだという。そんな自分自身を「変態」と笑っていたが、その笑顔は何よりも楽しそうだった。
アーティスト活動のほかにもいろいろなお仕事に携わり、活躍された37歳。どんな1年でしたか?
いろいろな可能性を試しつつ、分析や反省をした1年でした。これまではがむしゃらにやってきたのですが、2017年は自分自身を見つめ直す年にしたかったんです。その結果、自分の可能性を感じられたので、いい1年だったなと思います。
ルックスも声も若々しいので、実年齢を聞くと驚いてしまうんですが……もうすぐ38歳の誕生日を迎えられますよね。
だんだん自分の年齢がおぼろげになってきていますね(笑)。だって気がついたらもう40歳になるんですよ? 意味がわからないです……もっと時間があったはずなんですけどね(笑)。
どんなときに“実年齢”を意識されますか?
実感はほとんどないです。お酒がいっぱい飲めなくなったのと、すぐ眠くなるようになってきたときくらいですかね(笑)。
現場にも、後輩の声優がだいぶ増えたのではないでしょうか?
そうですね。先輩の言うことすべてが正しいわけじゃないように、逆に若い子に納得させられることも多くて、そういう経験が増えてきたと感じます。後輩たちに、自分から「ウェーイ」と寄っていっても余計に緊張させちゃうだろうから、あえてそこまではしませんけど。でも萎縮されて「いや、そんな大した者じゃないんだけど」ってなってしまうときも少なくなくて。僕としてはウェルカムなんですけどね(笑)。
最後に、次のステップをどのように歩もうと考えているか教えてください。
2017年に自分を見つめ直した結果、いろいろなやりたいことが出てきたので、そういうものを爆発させつつ、再びがむしゃらにやってみたいです。すでにアーティスト活動以外でもチャレンジしようと思っていることがいくつかあります。「また自分で自分の首をしめたな」という感じがしますけどね。もう変態ですよね(笑)。でも、がむしゃらにやって見つめ直してというサイクルを繰り返し、自分自身を大きくしていけたらいいなと思います。
さらに多忙を極める1年に。下野さんの活躍する姿をうれしく思う反面、心配してしまうファンの方もいるかもしれませんね(笑)。
あははは。心配しないで大丈夫ですよ! 自分が好きでやっていることなので!
下野 紘(しもの・ひろ)
4月21日生まれ。東京都出身。声優としてのキャリアを積む一方で、 本人主催のトークイベント開催、写真集や DVD などをリリースしたりと幅広く活動中。2016年にソロアーティストとしてデビューし、これまでに3枚のシングルをリリース。夏には、名古屋・大阪・東京の3都市をまわる、自身初のライヴハウスツアーを開催予定。

CD情報

1stミニアルバム『Color of Life』
3月14日(水)リリース!


左から初回限定盤、通常盤、きゃにめ限定盤

【初回限定盤】(CD+DVD)
3,000円+税
【通常盤】(CD)
2,500円+税
【きゃにめ限定盤】(CD+DVD)
3,000円+税

サイン入りポラプレゼント

今回インタビューをさせていただいた、下野 紘さんのサイン入りポラを抽選で2名様にプレゼント。ご希望の方は、下記の項目をご確認いただいたうえ、奮ってご応募ください。

応募方法
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受付期間
2018年3月13日(火)12:00〜3月19日(月)12:00
当選者確定フロー
  • 当選者発表日/3月20日(火)
  • 当選者発表方法/応募受付終了後、厳正なる抽選を行い、個人情報の安全な受け渡しのため、運営スタッフから個別にご連絡をさせていただく形で発表とさせていただきます。
  • 当選者発表後の流れ/当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから3月20日(火)中に、ダイレクトメッセージでご連絡させていただき3月23日(金)までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。
キャンペーン規約
  • 複数回応募されても当選確率は上がりません。
  • 賞品発送先は日本国内のみです。
  • 応募にかかる通信料・通話料などはお客様のご負担となります。
  • 応募内容、方法に虚偽の記載がある場合や、当方が不正と判断した場合、応募資格を取り消します。
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