昨今、新聞社たちは、消費者からの収益に重点を置くようになっている。そんななか、その多くが、よりロイヤルティが高い読者を指向するだけでなく、彼らをサブスクライバーに転換するメトリクスを優先し、ページビューには重きを置かなくなっている。

ハースト・ニュースペーパーズ(Hearst Newspapers)の2大アドサポートサイト、SF GateとChron.comでは、ユニーク訪問者よりも、ひと月に少なくとも10回サイトを訪れる読者のシェアを拡大することに焦点を移している。2017年夏の時点で、ボストン・グローブ(The Boston Globe)は、単にオーディエンスの規模を高水準に保つことを重視するのではなく、購読者を増やすニュースの種類、そして購読者基盤が興味を持つものに一層注意を払うようにしている。

ページビューを追わない



「重要業績評価指標としてページビューを扱わない動きがでてきている。それらは、虚栄の指標として評価されることがよくある」と、ボストン・グローブのオーディエンス開発担当責任者であるデバイン・スミス氏は語る。

デジタルの歴史の大半において、パブリッシャーは、たとえ自身の中心的な専門分野とはまったくかけはなれた分野の出来事のニュースを追跡し、まとめることになっても、広告維持のため規模拡大に重点を置いてきた。しかし、デジタルディスプレイ広告がシステム的に減少し、GoogleやFacebookに新たなデジタル広告収益をパブリッシャーたちが奪われているなか、パブリッシャーたちは購読者数の拡大と、人々を購読者に変えていくメトリクスの検討に注目している。たとえば、ダラス・モーニングニュース(The Dallas Morning News)は現在、リピート訪問者や読者のサイト滞在時間にもっと注目するようになっている(モーニングニュースは、2016年春にメーター制ペイウォールを導入した後、ページビュー拡大を優先事項として追うことを中止した)。

「パブリッシャーは現在、より意図的な焦点を持ってコンテンツを検討している。彼らは、コンテンツマーケターが何年も行ってきていることをもっと模倣しようとしている」と、オーディエンス開発コンサルティング会社、トゥエンティ・ファーストデジタル(Twenty-First Digital)の創設者、メリッサ・チョウイング氏は述べる。

報道でコンバージョンを推進



メトリクス変更の意味合いは、編集戦略に波及している。シアトル・タイムズ(The Seattle Times)などのパブリッシャーは、もっとも多く新規購読者を獲得できるニュースがどのようなものかを特定し、それに応じて編集戦略を調整している。

シアトル・タイムズでは、ページビューは広告という面では重要性があるが、ニュース編集室はその活動を結果に結びつけることにより重点を置いていると、シアトル・タイムズのイノベーション、プロダクト、開発のバイスプレジデント、シャロン・チャン氏は語る。地方政治やスポーツは過去に強力なコンバージョンを生み出し、2017年の春には、エディターたちはコンシューマーマーケティングに取り組み、テストを実施した。ホームページにより多くのコンテンツを掲載、投稿の頻度を上げ、動画を追加、削除するなどして、どれが購読者コンバージョン率向上に寄与したかを確認した。

タイムズ(The Times)は最近、どの記事がデジタルサブスクリプションコンバージョンにもっともつながっているかを示す社内ダッシュボードを更新している。いまでは、ニュース編集室全体がその内容にアクセスできるようになり、同紙のエディターたちは彼らの報道でコンバージョンを推進していく責任を負うよう奨励されている。ダッシュボードは、2017年に55%の増加をみせ、3万3000を超えるデジタルサブスクライバーの拡大につながった重点施策におけるタイムズの最新ステップとなっている。

パブリッシャーの価値を凝縮



2017年の夏、サンフランシスコ・クロニクル(the San Francisco Chronicle)のペイウォールサイトのアドサポートを補完するハースト所有のSF Gateは、ページビューよりも、ひと月に10回同サイトを訪問した読者のシェア拡大に注目するようになった。というのも、こうした人々は、そうしない人々よりもサブスクライバーになる可能性が25倍も高いからだと、ハースト・ニュースペーパーズのデジタルプレジデント、ロブ・バレット氏は述べた。また、忠実な読者層の拡大が全体的なページビュー数の増加につながった。

「計算によると、こうした訪問者数の増加は、1回きりの訪問者数の増加を目指す場合よりも、より大きなページビュー拡大ももたらしてくれる。これは、ページビュー拡大を進めていく将来性のある方法であり、同時に、将来のサブスクライバー予備軍も育てると我々は考えている」と、バレット氏は語る。

トゥエンティ・ファーストデジタル創設者のチョウイング氏は、ロイヤルティを優先することにより、ローカルパブリッシャーはFacebook上で多くのリーチを獲得する可能性がある全国ニュースコンテンツから離れ、パブリッシャーの価値を明確に凝縮させたコンテンツに向き合うようになっていると述べた。たとえば、シアトル・タイムズは、ニュースレターを介して自社サイトにアクセスした読者を購読者に変えるよりも、Facebookからの訪問者が購読者になることが25倍高いと結論づけている。「我々はFacebookをやめるつもりはない。しかし、スマートにやっていきたい」と、チャン氏は述べた。

Max Willens(原文 / 訳:Conyac)