「就職に力を入れている大学」トップ10

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8年連続で「就職に力を入れている大学」のトップとなった明治大学。写真のように出陣式を開催するなど、就活への取り組みには熱心だ (撮影:今井康一)

就活生向けの企業の採用広報活動が3月1日から始まり、2019年卒の大学生の就職活動が本格的にスタートした。近年の就活は大学生の売り手市場が続き、2019年卒の学生も同じ傾向が継続すると見られている。そうした環境を目の当たりにしても、就職に対する受験生の関心は高い。


大学通信は毎年、全国約2000の進学校の進路指導担当教諭に対し、進学に関するさまざまな項目のアンケート調査を実施している。その項目の1つ、「生徒に人気がある大学」について聞くと、「自分のしたい勉強ができる大学」、「社会的評価・イメージがよい大学」などとともに、「就職に有利な大学」が上位に並ぶ。また、「受験生に受け入れられる大学改革」について、最も多い回答は「キャリア教育など就職支援」だった。

大学選びに「就職力」は欠かせない要素

大学生の就職率が右上がりを続けるのと連動して、受験生の学部志望動向も変化が生まれている。不況期には資格取得できる学部や理工系などが人気になるが、今は“サラリーマン養成学部”ともいえる経済や経営など社会科学系を中心とした文系学部に、人気がシフト。そうした学部選びを志向しながらも、大学自体の就職力を意識している。

では進路指導教諭はどういった大学の就職支援を評価しているのだろうか。アンケートでは「就職に力を入れている大学」の具体名を聞いている。5校連記で大学を挙げてもらい、最初の大学を5ポイント、2番目を4ポイント、3番目を3ポイント……として集計、ポイントの多い順に並べたのが「就職に力を入れている大学ランキング」だ。

ランキングのトップは、8年連続の明治大学だ。ポイント数において他大学を大きく引き離している。歴史のある就職出陣式など、就職への取り組みが見えやすいことが、長くトップをキープしている一因だろう。もちろん、就職に力を入れていても、かけ声だけでは評価されない。

明治大学の2017年卒学生の就職者が多い企業を見ると、みずほフィナンシャルグループや損害保険ジャパンなど、金融を中心に大手企業が並ぶ。こうした就職実績も含めた評価になっている。

ランキングの上位には、3位の立命館大学をはじめ、4位の法政大学、7位の中央大学、9位の青山学院大学、10位の近畿大学、11位の日本大学、13位の早稲田大学、15位の立教大学など、伝統的に大企業への就職に強い、大規模総合大学が数多く入っている。就職実績から「就職に力を入れている」と評価されている側面も大きいのだろう。

これらの大学に共通している強みは卒業生の力。リクルーター制を採用するのは大企業に多く、そこに多数の卒業生がいることは大きなアドバンテージだ。リクルート就職みらい研究所の「就職白書2018」の採用活動プロセスごとの実施状況調査によると、「リクルーターによる接触」を実施している企業は、回答企業全体の38.7%。従業員規模が大きくなるとともにその割合は高くなり、300人未満の企業が33.4%なのに対し、5000人以上の大企業は49.5%が実施している。こうした状況下で大企業の就職実績が高い大学が有利になるのは自明なことだ。

大企業OB・OGとのパイプをフル活用

さらに同白書によると、採用活動において「OB・OG訪問を企業として積極的に受け入れる」と回答した企業は、前年を2.2ポイント上回る21.7%。そのうち5000人以上の企業は、前年より5.8ポイント増え18.1%となっている。高い割合ではないものの、大企業では確実に実施率が上がっている。大企業に数多くの人材を輩出している強みが、就職実績において好循環を生むという傾向は、今後も強まりそうだ。

大学側も卒業生とのパイプを積極的に活用している。法政大学は、若手・中堅の卒業生で構成する「法政企業人コミュニティ(法政BPC)」を組織し、学内においてOB・OG訪問を実施するなど、交流の機会を設けている。ロールモデルともいえる卒業生のアドバイスは、実感を伴って在学生に響くものがあるのだろう。

1999年に全国の大学に先がけて就職部をキャリアセンターに改組し、包括的な進路・就職支援に乗り出した立命館大学は、卒業生による「キャリアアドバイザー」が業界・企業研究、面接対策などを行う。立教大学は学内に複数業界の卒業生を招き、「学内OB・OG訪問会」を実施する。

伝統ある総合大学でなくても、学生の育成力と就職支援がリンクしている大学も、上位に顔を出す。2位の金沢工業大学は進路指導教諭対象のアンケートで、「面倒見が良い大学ランキング」で13年連続トップ、「教育力が高い大学ランキング」、「入学後生徒を伸ばしてくれる大学ランキング」でも上位に入っている。就職力のベースとなる優秀な学生を育成する力が、就職支援と相まって「就職に力を入れている」という評価につながっているようだ。

もちろん、就職支援も充実している。金沢工業大学は地方にありながら、大都市圏に本社を置く大企業に強く、2017年卒の学生の6割近くが、大手・上場企業に就職している。そうした実績の背景には、東京や名古屋、大阪、仙台などで就活を行う学生のために運行する、就職支援バスがある。多くの大企業の本社機能が東京や大阪に集中する中、地方の大学ではこうした支援が欠かせない。16位の福岡工業大学も、就活のための交通費支援を行っている。

地方の大学にも就職支援で高い評価

6位の産業能率大学も、金沢工業大学と同様に、「面倒見」、「教育力」、「生徒を伸ばす」の3項目で上位に入っている。アクティブラーニングに先駆的な取り組みをしてきた大学として認知されている面も大きいようだ。日本大学や12位の東京理科大学、28位の武蔵大学も、前述の3項目で上位に入っている大学だ。こうした大学は、優秀な学生を育てて効果的な就職支援を実施していることが、評価されているのだろう。

近年、高い就職実績を残している大学も、就職に力を入れている大学として評価されつつある。5位の九州工業大学は、就職先のトップが本田技研工業で次位が三菱電機と大企業が並び、九州大学と比較しても遜色ない。同大学は、2007年の調査で50位以内に入っていなかったが、就職力の認知が進み、ランクアップを果たした。卒業生が1000人以上の国立大学の中で、9年連続就職率ナンバーワンの福井大学も7位に入っており、同様のことがいえる。女子大では、卒業生1000人以上の女子大の中で、7年連続就職率1位の昭和女子大学が21位に入っている。

大半の大学が入学時からのキャリア支援に力を入れ、実際の就活におけるエントリーシートや面接対策など、ひと通りの支援を行っている。そうした中で、「就職に力を入れている大学」として評価されている大学は、高い就職力という実績の根拠を伴っているのが共通点だ。