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●落合カメラマンを驚かせた「α7 III」

CP+の直前にソニーが発表したフルサイズミラーレス一眼「α7 III」が写真ファンの間で大きな話題になっています。上位機種に迫る撮影性能を備えつつも意欲的な価格設定にしたことが評価され、CP+ではα7 IIIのタッチ&トライに長蛇の列ができるほどでした。フィルム時代からさまざまなカメラを使ってきた落合カメラマンにとっても、相当なインパクトがあったようです。

○α7 IIIは“α9ジュニア”と呼ぶべき存在だ

いや、こりゃマズイでしょ。ソニーは少なくとも、このタイミングでは渾身の作「α9」にメチャクチャ注目し続けていてほしいハズなのに、その目論見をつぶしかねない刺客を自ら次々に投入するという愚行(?)をヤメないのだ。誰かをいじめてんの? 虐められたいの? んん〜そのヘンタイっぷり、キライじゃありません(笑)。

なにゆえそんなことをいっているのかといえば、「α7 III」がけっこうヤバイ仕上がりだから。スペックからすると、α7 IIIは「α7R IIIの24MP版」みたいなモノなのだけど、実際に使ってみると「α9ジュニア」といってもよさそうな“オイシイところ取り”のカメラになっている。前にも増して悩ましいラインアップの一丁上がり!ってワケだ。

●メカシャッターのキレのよさは「α9」をも上回る

これまでの「無印α7」のつもりで手にすると絶対に驚く。まずは、10コマ/秒の連写を担うメカシャッターのキレの良さに。そして、動体に対するAF追従性の高さに。1コマ撮りをしているときやブラケット撮影時の、α9を凌駕するキレの良いレリーズ感触には、驚くというよりも笑ってしまった。α9のメカシャッター時の感触があんまりにもアレだからなのだけど、撮っているときの「写真を撮るためのカメラを使っているという前提における気持ちよさ」は、圧倒的にα7 IIIのほうが上なのである。

似た感触を有するα7R IIIは、α9とともにEマウントαの両翼を担っている存在なので、ある面α9を上回っていても納得できるし実際、海外を含めα9を食ってしまっている面が多々あると聞く。これには、ソニーの中の人も人知れず頭を悩ませているらしいのだが、それにもめげず今度は「無印α7」に常識外れともいえそうな攻撃力を与えてきたのだからナニかがブッ飛んでいる。こういう場面で尻込みしないのが、いま現在のソニーの強さなんだろうな。自社製品を自社が設定したヒエラルキーの中にギチギチに当てはめなければ気が済まないメーカーとは真逆のスタンスが、とても熱いしジツに面白い。

●フルサイズαのなかでもっとも魅力的な1台だ

α7 IIIを手にした瞬間、それまでさんざん頭を悩ませていた「α9にするかα7R IIIにするか」問題が一挙に解決する可能性はきわめて高い。そう、予想だにしなかった「なんだ、これで(これが)いいじゃん」事件が勃発するのである。実際、「いま買うべきフルサイズαを1台だけ選ぶのなら、やっぱりα7R IIIだろうなぁ」などと漠然と考えていた私は、α7 IIIを使った後、お恥ずかしながらアッサリ「コレ買う」に変節。

α9との比較で高感度画質が良かった(「高感度画質の印象が良かった」が正確。ノイズリダクション処理におけるエッジの立て方などに差があるように見受けられ、同一感度におけるノイズ感はほぼ同等も仕上がりを一見したときの鮮鋭感に勝るのはα7 IIIの画質だった)ことにケツを蹴飛ばされての勢い余った結論でもあるのだけど、気軽な普段使いから本気の動体撮影まで過不足なくちょうどよく不満なく使えるフルサイズαは、現状α7 IIIを置いて他にはないと確信するに至ったのだ。EVFの“見え”はα9やα7R IIIと比較しちゃうと明らかに見劣りするのだけれど。

予想される実勢価格を考え合わせると、α7 IIIの存在はフルサイズ陣営のみならず、APS-Cやマイクロフォーサーズのフラッグシップ系モデルをもビビらせることになるに違いない。このインパクト、ひょっとしたらα9デビュー時よりも大きいんじゃなーい?

○著者プロフィール

落合憲弘(おちあいのりひろ)

フリーカメラマンとして独立した3カ月後に昭和が終わり、フリーカメラマンとして息も絶え絶え何とか歩んできた果てに今度は平成が終わる…。子どものころ、なんだか特別な存在に思えていた「明治生まれ」に自分がなってしまうかのような、この果てしなきジジイ感は何!?と人知れず悩んでいる五十路男。花粉症歴45年。2018年カメラグランプリ選考委員。