スマホ動画をプロ化する安価な「手持ちジンバル」登場で国内メーカーはチャンスを逃すのか

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デジタルカメラやスマートフォンの写真(静止画)の画質は、イメージセンサーの画素数やレンズによって左右される。
スマートフォンでも、一時期ほど高画素化にシフトすることは少なくなり、画素数が1200万画素程度で落ち着いてきた。
最近では、暗所撮影にも強い明るいレンズを搭載することが一つの「解答」のように思える。

では、今、SNSなどでも撮影者が増えている動画の場合はどうだろうか?

もともとTV放送をDVDなどの媒体に記録することを前提に、解像度や記録形式を定めてきたため、静止画ほどイメージセンサーの要求度は高くない。
例えは、
Blu-rayやBS放送などのフルHD(1920×1080ドット)と、記録するだけなら200万画素もあれば良い。4K(3840×2160ドット)なら800万画素程度でたりる。

出力するフォーマットがあらかじめ決まっているため、ビデオカメラやデジタルカメラによる動画撮影では、画質以外の部分に重きを置いている。

それが「手ブレ補正」だ。

動画の場合は、写真のような静止画とはことなり、大きな揺れや持つ手の微妙な回転など、複雑な揺れが発生する。
静止画ならその一瞬を止めて撮影すれば済む話しなのだが、動画の場合は一瞬を止めても、その前後の撮影している間が、ずっと揺れた状態として記録されてしまうからだ。

そこで、様々なセンサーを駆使して、カメラの揺れを打ち消す対策がとられてきた。
動く方向にレンズやカメラユニットを動かすなど、複雑な構造を持つものもある。

こうした手ブレを打ち消す技術を向上させることで、まるで三脚に設置して撮影しているかのような揺れの少ない動画撮影が可能となると言うわけである。

現在のスマートフォンでは、静止画だけではなく、動画撮影の機能も大きく進化している。今や4K撮影も当たり前となりつつある。

しかしながら、スマートフォンの手持ち動画撮影は、手ブレが酷く、あまり本格的には使えないと言う動画ユーザーも多いだろう。

一方で、SNSに積極的に動画を投稿するユーザーも増えている。
SNSで動画を投稿、視聴するユーザーは、動画の画質ではなく
「何を写したのか」
「何をみたいか」
が重要であり、画質よりも内容重視で納得している。

しかし、YouTuberやYouTuberを目指すといったユーザーになると、ほかの人との違いを出すためにあれこれ試行錯誤しだす。

・セルカ棒、いわゆる自撮り棒
・様々なシーンで撮影できる「GoPro」などのアクションカム
といった撮影アイテムを駆使して撮影される動画は、既存の決まり切った動画撮影とは、一線画し、新鮮でエキサイティングな動画を作りだしている。
こう撮るべきと考えがちな古い発想やセオリーを飛び越えており、痛快ですらある。

こうした新時代の動画制作、動画撮影を大きく変革するのが、
プロ用のドローンや手持ちジンバルを手がけるDJIの1万円台で購入できるスマートフォン向けジンバル「OSMO Mobile 2」だ。

自撮りでも揺れの少ない”観れられる”動画への進化が動き出したのだ。

前モデル「OSMO Mobile」は、ドローンに搭載する専用のカメラとジンバルを手持ち用にカスタマイズしたモデルを、スマートフォン用にした製品だ。
販売価格も、37,800円と高価であったため、一般層まで普及はせず、一部のガジェット好きやYouTuber向けのアイテムとなった。

ここで、少々ジンバルについて説明をしておこう。
前述した通り、手持ち動画の撮影時では、手の僅かな揺れがそのまま記録されてしまう。OSMO Mobile 2は、手の傾きを3つのモーターで打ち消すことでスマートフォンを常に水平に保ち続ける。


<手首が動いてしまっても水平・垂直がたもたれる>


ただし、手の回転に起因する揺れを補正するものであるため、
歩いた際に発生する
・振動
・上下動
これらは防ぐことはできなかった。
したがって、上下動の少ない歩き方をする必要があった。
それでも、ただスマートフォンを手持ちで撮影するより、映像が大きく安定する。
ジンバルを利用した動画と、未使用の動画では、大違いなのだ。

OSMO Mobile 2は、スマートフォン向けに、筐体を設計し直すことで、コストダウンを実現した。
一部の機能は省略されたが、ジンバルとしては一通りの機能を備えているので、前機種よりも多くのユーザーのニーズに応えることができそうだ。




例えば、
本体のコントローラーで、カメラの向きを上下・左右に動かすことができる。
このため、
・滑らかなパン(水平)
・ティルト(垂直)
などのカメラワークも本体を握ったままで撮影可能なのである。




新機能としては、スマートフォンを縦に固定できるようになった。
縦動画はスマートフォンならではの撮り方だ。
自撮りでは当たり前の”フォーマット”であるとも言える。
視聴する側も、スマートフォンを縦にしたままフルスクリーン表示されるので、無駄がなく、見やすい。

DJIが提供するコントロールアプリは、ドローン用と共通ということもあり、最新の操作性や機能といったテクノロジーがOSMO Mobile 2でも利用できる。

特に便利なのが、被写体を認識して自動でOSMO Mobile 2が追従する「アクティブトラック」だ。
例えば、
自撮りする際に自分の顔を選択しておくことで、OSMO Mobile 2が常に被写体が中央に来るようカメラをコントロールしてくれるのだ。

これなら会話や取材などで夢中になり、カメラ操作が疎かになっても、カメラが自動で自分をセンターにフレーミングしてくれるので、カメラやジンバルの操作を気にすることなく簡単に自然な動画が撮影できる。

これまでマニア向けだったジンバルが、低価格になった意味と影響は大きい。

今後は誰でもマニアやプロなみのブレや揺れのない画質の動画が制作できるからだ。

その結果、多くの人が利用することで、
これまでの常識にとらわれない新しい利用法や、自由な発想によるテクニックが生まれるだろう。そうしたテクニックを真似したいというユーザーもさらに生まれてくるに違いない。


すでにOSMO Mobile 2だけではなく、安価な中国製のジンバルも日本に上陸しており、選択肢は確実に増えてきている。

ただ残念なのが、こうした海外の急速な変化や動向に対して、日本の企業の動きや対応宇が緩慢なことだ。
家電メーカーでなくても、自動車やバイク、スポーツサイクルなどのメーカーは参入し、独自の技術で製品開発を進めれば、世界市場で海外メーカーとも闘え、面白くなりそうなのだが。


執筆  mi2_303