トランプの保有資産、大幅減で31億ドルに

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就任から1年以上が過ぎたドナルド・トランプ米大統領の保有資産は、およそ31億ドル(約3276億円)であることが分かった。フォーブスが3月6日に発表した最新の世界長者番付によれば、昨年からおよそ4億ドル減少したことになる。

資産を大幅に減らした一因は、市場の動向だと考えられる。ニューヨークの事業用不動産市場は依然、低迷が続いている。また、トランプの国を分断するような発言やその人柄も、自身のビジネスに影響を及ぼしている。

市場の影響

電子商取引の台頭は、ニューヨークの商業地区の中心である五番街に建つトランプタワーをはじめ、事業用物件の価値を下落させた。トランプが所有する中でも最も広く知られるトランプタワーの価値は昨年、フォーブスの推計によれば4100万ドル減少した。

また、このすぐ近くにあるトランプ・オーガニゼーション所有の6東57丁目の物件は、より大きな問題に直面している。不動産価値の低下に加え、長期にわたって入居していた米スポーツ用品大手ナイキが、移転計画を発表しているのだ。

マンハッタンの不動産仲介業者によれば、ナイキに代わって面積約6040平方メートルのこの物件を必要とするのは、「百貨店くらい」だと見られる。ただ、「店舗を拡大したい百貨店があるとは思えない」という。

政治の影響

一方、大統領が所有するゴルフコースの価値の減少は、ニューヨークの不動産ほど市場の影響を受けていないもようだ。価値を上下させていると考えられるのは、政治の動向だ。

大統領が所有するゴルフ場のうち最大規模の3か所は、トランプ支持派が多い州にある。これらの売上高は合わせて、前年比で5%以上増えたと推計される。だが、対立候補だったヒラリー・クリントンが大統領選で勝利した北東部の州とロサンゼルスのゴルフコースでは、売上高が合わせて約4%減ったと見られている。さらに、トランプが所有する英スコットランドの2つのゴルフ場でも、売上高が減少した。

トランプ・ブランドのライセンス契約や物件の管理を行うトランプ・オーガニゼーションの評価額は昨年、5000万ドル減少したとされる。ニューヨークやカナダのトロントなどでは投資家らが、ホテルから「トランプ」の名前を削除することを要求。市場におけるブランド力の低下が要因となっている。3月5日には、パナマのホテルでトランプの名前が取り外されたと報じられた。

大統領就任の直前、トランプは弁護士を通じて、在任中は外国企業との新規契約は締結しないと明言。トランプ・オーガニゼーションの成長の可能性を、実質的に封じた。その後、同社は「サイオン(Scion)」「アメリカン・アイデア(American Idea)」という2つの国内ブランドを新設する計画を発表したが、新ブランドはこれまでのところ、4件の契約成立を発表するにとどまっている。

一部の不動産価値が上昇

マンハッタンのダウンタウンにあるオフィススペースは、ミッドタウンの商業物件より業績が好調だ。トランプが所有する不動産の中でも最も価値が高いウォール街40番地の建物の価値は、この一年でおよそ3200万ドル増加した。

大統領の資産を増やすことに最も大きく貢献したのは、ボルネード・リアルティー・トラストの最高経営責任者(CEO)、スティーブ・ロスかもしれない。ボルネードはトランプが所有権の30%を持つ2つの物件の運営管理を監督する。2軒のうちニューヨークにあるビルは、利益が前年比15%増加。サンフランシスコにある物件と合わせた価値は、7100万ドル増加している。

トランプの保有資産は、かつて主張していた「100億ドル以上」には遠く及ばない。だが、それでも歴代の米国大統領の中で、最も高額であることは間違いない。