グループディスカッションやグループワークは大企業で実施する確率が高い(写真:kikuo / PIXTA)

面接にはさまざまな形式がある。HR総研では企業に対し、実施した面接の種類を毎年調査しているが、もっとも多いのは「個人面接」で9割以上。続いて多いのが「グループ面接」の3割だ。この2つには個人と集団という違いがあり、グループ面接では割り当てられた短時間で、”自分を売り込む”能力が必要になる。しかし、質問は定型的なものが多いので、キャリアセンターでの模擬面接で練習しておけばいい。


面倒なのは、企業の「お題」によって行われる、「グループワーク」だ。どういうお題が出るかを知っているのと知らないのとでは大違い。そこで2018年の就職活動で先輩が体験したグループワークを紹介したい。

HR総研では昨年6月に楽天「みん就(みんなの就職活動日記)」と共同で行ったアンケート調査の中で、「最も印象に残っているグループディスカッション、グループワークのテーマ」を聞いている。その回答を見ていこう。

先輩たちの経験から傾向を読み取る

そもそも「グループワーク」とは、学生を5〜6人の小グループに分け、30〜60分程度の時間で課題(企業が課すお題)に挑戦させるものだ。社員の教育研修でも使われる手法で、似たような形式には、「グループディスカッション」や「ディベート」がある。グループワークは「GW」、グループディスカッションは「GD」とも略される。

グループワークにおいては、学生同士が課題を議論して方向性を導き、成果物をLEGOブロックや粘土を使って成果物を作ることもあるし、文書にまとめてホワイトボードに書き出し発表することもある。

グループディスカッションでは、課題について協力して議論するが、共同で成果物を作ることはない。さらに、ディベートでは課題について討論し、成果物は作らない。

整理すると、(1)グループワークは成果物を作る。グループディスカッションとディベートでは成果物を作らない。(2)グループワークとグループディスカッションでは学生たちは協力関係にあるが、ディベートでは競い合う。

個人面接やグループ面接と比べ、グループワークを実施する企業は少ない。グループディスカッションを実施する企業は約1割、グループワークは3%、ディベートは1%にとどまる。

ただ、企業規模によって、グループワークの実施率は変わる。中小や中堅企業では実施する企業が少ないが、大企業になると4割程度が実施しており、比較的高い。

企業規模が大きいと、グループワークの実施率が高い理由は、「効率的に選考が行える」から。個人面接は選考の王道だが、多数の応募学生を1人ひとり面接するのは、時間がかかる。志望動機や学生時代のエピソード、得意なこと・不得手なこと、挫折経験などが定番の質問だが、1つひとつを質問していくには時間がかかる。また、話を作ってくる学生がいて、見抜くのはけっこう難しい。逆に、おどおどして話せない学生もおり、手を焼くことも多い。

判定や進め方については、面接官の技量が問われることになるが、多数の学生を比較して優劣を判断するのはなかなか難しい。なぜなら質問は同一でも、回答(内容)が別々だからだ。

グループワークは性格や能力が読み取りやすい

一方、グループワークのやり方は、全く違う。5〜6人の学生にお題を示して、議論させる。1人ひとりのこれまでの履歴は問わず、お題を与えるのだ。回答の仕方を通して、企業は学生の課題理解力と他人の話を聴く能力(傾聴力)、自分の意見を話す能力(発信力)を測る。

広い会場にたくさんの学生を集めてグループに分け、同時進行でワークさせることもできる。司会役、タイムキーパーなどの役割を、学生にやらせれば、ワークに立ち合う社員は観察役に徹することができ、容易に学生の性格や能力を見て取ることができる。

ではグループワークにいかにして勝ち残るか。方法は単純。出されるお題の傾向を事前に知っておくことだ。

「最も印象に残っている、グループディスカッション、グループワークテーマ」の回答を読むと、大きく「まじめなお題」と「惑わすお題」の2つに分かれる。真面目なお題は自社業務や企業理念について質問し、自社に対する理解を深めようとしているように見える。

<出題の一例>
「お客様に支持してもらえる会社になるための要素を3つ挙げる」(首都大学東京・理系)
「新しいビジネスモデルを地域創生のために考える」(慶應義塾大学・理系)
「弊社の新商品のコンセプトをグループごとに1つ考えて下さい」(神奈川大学・文系)
「その企業の商品がランダムに配られ、それをPRし合う」(東京大学・文系)
「2つの絵から1つを選び、その企業の営業職としてできることは何かを話し合う」(関西学院大学・文系)

このようなお題を出す企業は、グループワークを通じて学生の気づきを促進し、自社理解を深めたいと考えているのだろう。この手のグループワークに対する対策は、正統的な企業研究と職種研究である。

正統的なお題の欠点は、議論が予定調和的になりがちで、学生間の違いが際立たないことだ。そこで学生を惑わす、意表を突くお題が登場する。コンサル系企業では「フェルミ推定」という設問が多いと言われる。

典型的なフェルミ推定の質問は、「東京都のマンホールの数は?」や「日本の猫の数は?」などだ。今回も、「2027年に開通するリニアモーターカーの東京―大阪間の最適運賃を求めよ」(上智大学・文系)、「全国の塾の数を予想する」(鹿児島大学・理系)、「1日に新幹線を利用する外国人観光客の数を推定する問題」(名城大学・理系)などが、お題として登場している。

フェルミ推定で見ているのは、解答の正しさではなく、仮説の立て方だ。素早く前提を整理して推論する能力が測られる。マンホール問題では、マンホールが設置されている間隔などを仮定して、数を導く。グループワークでは学生間で仮説の優劣を競うことになるが、慣れていないとフェルミ推定に対応できない。いくつかの問題を解いておいてほしい。

砂漠、無人島…極限状態での判断力を問う

惑わせるお題の類であるが、回答を見ていると、「極限状態でどうするか」という設問も目立つ。いろんな極限状態があるが、砂漠、無人島、宇宙などが多い。まず砂漠から。

「砂漠に取り残された状況で、自分・友達3人・案内人のうち、だれをラクダに乗せて確実に生き残らせるか」(一橋大学・文系)
「あなたは友達と砂漠に来ていて迷子になりました、誰をラクダに乗せて、町に助けを呼びに行かせますか」(金沢大学・文系)
「飛行機に乗っていたら砂漠に不時着しました。持っているもののリストを渡されて、これらを使って助かるにはどうしたらいいか、そのものの優先順位をつけてください」(広島大学・文系)

​砂漠のサバイバル問題では、極限状態における優先順位の判断が見られている。

次に無人島。砂漠問題では「脱出」が問題だったが、無人島問題では「生き残りのための道具」が問われている。また地図の謎解きやマーケティングを取り入れたお題もある。

「無人島に持っていく3つのアイテムを話し合いでまとめなさい」(名古屋市立大学・理系)
「無人島に1つだけ持っていけるなら何を持って行く」(和歌山大学・文系)
「島に漂着して遭難した場合、船にある何を持って行くか、順位をつける課題」(宮城大学・理系)
「5人ほどのチームで、1人3枚ほどある島の地図の断片をもらって、それをメンバーに見せず口だけで説明して、その島の地図を完成させるというグループワーク」(広島大学・文系)
「1年間で無人島に1000人を集めるためにはどうするか」(名城大学・理系)

​宇宙問題では、「宇宙船の脱出」(西南学院大学・文系)や「遭難した宇宙船の船員として、母船にたどり着くために必要な物資を選ぶ」(筑波大学・文系)のように、脱出やサバイバルを問うものもあるが、地球と異なる宇宙環境に対する推察力、想像力を問うお題が多い。

「宇宙で売れる玩具を企画せよ」(早稲田大学・文系)
「このリストの誰を宇宙ステーションに連れていくか?」(法政大学・文系)
「宇宙人に商品を売るときにどのような商品をつくるか?」(近畿大学・文系)
「宇宙に研究所を建てるとしたら、どういうことに気を使わなければいけないか?」(東北大学・理系)
「宇宙人に紹介する新しい地球のお土産を考える」(筑波大学・理系)

​テレビ番組からのお題も多い。アンパンマンはその代表例の1つ。登場キャラクターは個性的なので、採用するキャラについては、さまざまな仮説が考えられる。​​​​​​​​


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「アンパンマンのキャラクターの中で採用するなら誰か」(関西学院大学・文系)というお題があったが、毛色の変わったお題として「アンパンマンを知らない外国の方にアンパンマンについてどのように説明するか」(鳥取大学・文系)というものがある。当たり前のことだが、アンパンは日本独自の菓子パン。さてどう説明するのか?

アンパンマン以上に人気が高いのがドラえもんだ。

「病気を快復させるようなドラえもんの道具を考えてください」(東京理科大学・理系)
「ドラえもんの道具を使うなら、どこでもドアかタケコプターか」(上智大学・文系)
「ドラえもんのひみつ道具のうち、最初に実用化されるのはどの道具がよいか」(玉川大学・文系)
「ドラえもんの道具をのび太君に使うならどれですか」(産業能率大学・文系)

​おとぎ話の中では「桃太郎」が多い。主従関係があり、チームで動くことから、題材にしやすいのだろう。クマと相撲を取るだけの金太郎では、お題にならないのかもしれない。

「桃太郎の中でクビにするなら誰」(上智大学・文系)
「桃太郎の連れていく3匹の動物でM最高の布陣を考えて下さい」(東京理科大学・文系)
「鬼ヶ島から持ち帰るなら何を選ぶ(いくつかの選択肢から1つだけ選ぶ)」(埼玉学園大学・文系)

SPI対策で改めて一般常識を洗い直す

2018年就活で、先輩が遭遇したグループワークのお題を紹介してきたが、これはごく一部だ。

「20年後の社会は?」(九州工業大学・理系)のように未来をお題とする企業は多く、また、間近に迫った東京オリンピック開催年をテーマにする企業は多い。

AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)といったテクノロジーの進化にどう対応するかというお題も目立つ。高齢化や医療、介護もある。新聞を読んでいれば、こういうお題への対応は容易だと思うが、自分で新聞を購読する学生はきわめて少ない。キャリアセンターでも新聞は読めるはずだが、そんな学生の姿もあまり見ない。

お題が多岐にわたることから、万全のグループワーク対策をするのは難しいだろう。だが、傾向から見ると一般常識を絡めた問いも多く、SPI対策で学んだ社会常識は役立つ。面接が始まる前にもう1度自分の知識を洗い直し、足りない部分を補ってから面接に臨んでも損はない。