【知らぬが仏(2)】日本の安全神話は「作業員の腕前」 軽量化新幹線台車亀裂の現実 

写真拡大

■「品質管理」には「メンタルまで連携」が重要だ

 品質管理には、「組織の作り方」「組織運用」ばかりでなく、「人材」、つまり「工程間の連携」を含めて「溶接・製缶工の腕前を揃える」訓練機構をはじめ、社内体制の整備が必要だ。JRや川崎重工の現在の経営陣にできるとは考えにくい。そう判断するのは、各メディアの記者たちが専門知識を持たないため報道を「ごまかしている」のかもしれないが、「品質保証」に責任を持つ経営者の記者会見での発表が「素人」と見受けられたためだ。

前回は:【知らぬが仏(1)】日本の安全神話は「作業員の腕前」 軽量化新幹線台車亀裂の現実

 先般のオリンピック女子パシュート競技で、韓国チームが1人の選手を置き去りにしてしまったのと同様に、工程間でそれぞれの立場を理解できずに、設計まで含めた手前の工程でひずみをなくしておく処置がとれないのだ。そのため前工程までに積みあがったひずみまで後ろの工程が引き受ける結果となり、大きな負担となるのだ。韓国チームの管理がなされていないのと同じ現実を見せつけている。

 パシュートの日本チームが各人の実力を認識し、役割を自覚して協調できたように、経営者・管理者は全ての工程が連携できるように、「組織運用」をしなければならないのだ。「品質管理」とは、管理者・作業者の「メンタル」まで管理できなければレベルが落ちるのだ。

■軽量化の要求が「溶接欠陥」を生んだ原因か?

 今回の台座の構造において、製缶完了後に「軸ばね座を機械加工で水平を出さない」とすると、「溶接ひずみ」をどの段階(工程)でどの程度「とる(修正する)」のか難しいところだ。ここが、今回の欠陥を出している重要な点だ。削りすぎて「何らかの寸法不足」に対処するため、「軸バネ座の全面に肉盛り溶接」して合わせている。これで「軸ばね座」にもかなりのひずみがたまってしまっている。「ハンマーでたたいて歪をとる」作業も行っていなかったようだ。「熱(あぶり)して歪を均等に逃がす」方法もあるが、いずれにしても「肉盛り溶接」の場所に、「歪」が集中してしまっている。

 どちらにしても「コスト」がかかる作業が増えるのだ。そこで「溶接作業順序」を調整して、部品ごとに歪を逃がす工夫と「あぶり」をどの段階でどこに施すのかを考える設計だ。「あぶり」とは、たたくのではなく「トーチ(炎)とホース(水)で歪をとる」作業を指す。

 溶接手順を工夫して「ひずみ」を出さない作業としても、「回転冶具」の構造、何より「作業指図書」がどのようにして作られているのか?が問題だ。まして「作業指導票?」(作業指図書?)を作業者が無視しているのを見ると、作業者・設計者・管理者との連携が図られておらず、品質管理システムの形骸化が進んでおり、これはJRや川崎重工の経営問題だと言えるだろう。

 このような構造にしたのは、「軽量化」「コストダウン」の「要請がきつかった」ものと推察できる。設計者が、この構造の困難な作業を心得ながら設計したとはとても思えないが、設計後「作業指図書」を作る段階で、どれほど現場作業者の意見を聞いていたのかは、かなりの懸念がある。「軸ばね座」を取り付ける溶接手順は、マスメディアの「欠陥部位スケッチ」からでは「軸ばね座」に4カ所の穴をあけ「肉盛り溶接」している個所と、側面の補強材の溶接と見える。