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先週の土曜日にカリフォルニア州パロアルトにあるApple直営店 (故Steve Jobs氏の自宅の近くで、よくJobs氏が訪れていたストア)の前で、スタンフォード大学の学生グループ「Stanford Students Against Addictive Devices (SSAAD)」が、Appleにスマートフォン中毒改善を求める活動を行った。彼らが持っていたボードには「iPhone中毒と感じているなら声を上げろ!」というようなメッセージが書かれていた。それって「ユーザーの責任をメーカーに押しつけてるんじゃないの?」と思ってしまうが、よく聞いてみると彼らの主張には一理ある。

SSAADの調査によると、成人のiPhoneユーザーの69%が1時間に1度はiPjhoneをチェックする。またティーンエイジャーのiPhoneユーザーの50%が"スマートフォン中毒"だと感じている。そうなると便利を通り越して、スマートフォンが「ストレス」になり、また「人間関係の悪化」や「生産性の減退」につながっていまうことが、下にリストしたような論文で明らかになっている。

The dark side of smartphone usage: Psychological traits, compulsive behavior and technostress

Recent development on the effect of smartphone usage on psychological behavior

Smartphone addiction, daily interruptions and self-reported productivity

そこでSSAADは、Appleに対して「使用パターンの透明化」「通知コントロールの改善」「エッセンシャルモードの導入」の3つを提案している。

「使用パターンの透明化」は、どのアプリをどのぐらい使用しているか、ユーザーが一目で確認できるツールの導入である。すでにバッテリー消費に関して、消費の激しいアプリをトラッキングできる仕組みが用意されているから、使用時間の透明化の実現はそれほど難しくはないはずだ。

「通知コントロールの改善」は、ユーザーが本当に受け取りたい重要なメッセージやアクションに通知を絞り込めるように、通知の設定やフィルタリングの見直しを求めている。

「エッセンシャルモード」は、飛行機の機内でワイヤレス機能をワンタップでオフにする「プレーンモード」や、バッテリー残量が少なくなってきた時の「省電力モード」と同じように簡単にスマートフォンの状態を切り替えられる機能であり、集中したい時に使う。電話やテキストメッセージ、カメラといった最小限の機能に絞り込んで、Twitterをチェックしたり、YouTubeを見たりといったことができないようにする。

スマートフォンやタブレットを便利に使い込んでいるつもりが、いつの間にか振り回されているというのはよくある話で、私自身うまく使いこなすことに四苦八苦している。最近だと「メッセージ」だ。メッセージを使ったコミュニケーションが増えたことで、重要ではないメッセージが以前に比べてよく送られてくるようになった。でも、緊急の連絡も届くから、メッセージをしばらくチェックしないという扱いにはしにくい。

そこで最近、Kevin Rose氏のプロダクティビティハックを試し始めた。活用しているという声があまり聞こえてこないiOSの「運転中の通知を停止」機能を転用する。ユーザーが車を運転している時にiPhoneが自動的に通知を停止し、送信相手にその旨を知らせる機能だ。まず「自動」から「手動」に切り替え、「今スマートフォンの使用を控えているのですぐにメッセージを返せません」「緊急の要件、重要なメッセージである場合は"緊急"という単語を添えて送信して下さい」という返信メッセージを作成する。そしてコントロールセンターに「運転中の通知を停止」が表示されるように設定し、あとは集中したい時にコントロールセンターから「運転中の通知を停止」をオンにする。すると、メッセージが送られてきたら緊急の要件だけ通知に表示され、他のメッセージにはすぐに返えせないという返信メッセージが送られる。

集中したい時にメッセージの返信を気にせずに済むというだけでも、けっこうストレスフリーになれる。だから、もしエッセンシャルモードがお仕着せではなく、各ユーザーが必要な機能だけ残せるよう柔軟にカスタマイズできなるモードになったら、多くのスマートフォンユーザーの負担を減らしてくれると思う。

iPhoneだけが、ソーシャルネットワークや他のサービスのゲートウエイではない。それはSSAADも認めている。では、なぜApple直営店の前で抗議活動を行ったのかというと、Appleがデバイスの販売から収益を上げる企業であり、GoogleやFacebookのようにより長い使用をユーザーに強いることに執着がないからだ。AppleもApp Storeで配信されているアプリをより多く使ってもらった方がエコシステムの拡大につながる。しかし、同時にユーザーにとって役立つツールになってこそ価値が引き出されると考えている。たとえば、iPhoneを取り出す回数を減らせるようにApple Watchを提供し、Apple Watchは多くの人に使われている。既存の市場を損なっても、ユーザー体験の改善を試みるAppleだから、スマートフォン中毒の解決に向けた旗振り役になってくれるという期待を込めてSSAADはAppleに抗議した。

本物のスマホ中毒はわずか

スマートフォン依存は、タバコの害ようにメーカーに対策を求める問題ではないという議論もある。たしかにタバコとは異なって、正しく使いこなせば、テクノロジーは有益なものになる。だからこそ、メーカーの役割があるという見方もできる。ハンガリーのティーンエイジャー、5961人をサンプルにした調査結果「Problematic social media use: Results from a large-scale mationally representative adolescent sample」によると、ティーンエイジャーのソーシャルメディア中毒が問題になっているものの、本当に深刻な中毒者は非常に少ない。調査で「リスクあり」というグループに分類されたのは4.5%だった。中毒と見られるような状態でも、大半は自制ができていないだけなのだ。やるべき仕事を後回しにするなど時間を管理できなかったり、ネガティブな議論に没頭してのめり込んだり、使い方に問題を抱えており、正しく使いこなすためのサポートによって状況は変わり得る。