「N700S」確認試験車の先頭車両

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 JR東海は、2020年度に東海道新幹線の新型車両「N700S」の運行を始める。営業運転に向け、20日には確認試験車での走行試験を始める。床下の駆動システムに炭化ケイ素(SiC)素子を採用したのが特徴で、駆動システムをN700系より2割軽量化した。高速鉄道での採用は世界初だ。

 駆動システムには、モーターを制御するコンバーター・インバーター(CI)があり、半導体素子が制御役を担う。N700系は絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)素子を採用したが、発熱を抑え、高温でも動作できるSiC素子への変更を決めた。

 変更に伴い、SiC素子の冷却方法を検討することになった。N700系で採用実績が拡大していた、走行中の風を取り込む方法を引き継ぐことは決まった。ただ、半導体素子が変わるため、走行条件ごとの冷却状況のシミュレーションが必要になった。

 15―16年に約2年間かけ、コンピューターによるシミュレーションを実施し、めどを付けた。佐藤賢司車両制御チームチームマネージャーは「予想通りの結果を得られるかどうかにつき、時間をかけて調査した」と振り返る。

 SiC素子採用はCIだけでなく、モーターの小型・軽量化を実現した。モーターを構成する電磁石を薄くし、四つから六つに増やすことができた。6極駆動モーターは新幹線では初だ。

 小型・軽量化で、床下機器の配置の自由度が高まった。CIと変圧器を同じ車両に搭載できるため、機器配置パターンを半分の4種類に減らせる。車両編成が16両だけでなく、12両、8両にも対応でき、柔軟性が高まる。

 小型・軽量化でリチウムイオン電池も搭載できる。災害時に電力供給が途絶えても、車両だけで走行できる。