「高校生ワーキングプア」が増加している

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 子どもの7人に1人が相対的貧困の状態にある日本。「相対的貧困」とは、その社会において当たり前とされる生活をするのが困難な生活水準に置かれた状態のことを指す。子どもの生活にたとえれば、友達と遊んだり、学校に行ったり、家族と休日に出かけたりといった、ごく当たり前のことができていない状態である。そんな状態に置かれた結果、家計を支えたり、自分の進学費用を貯めるためにアルバイトをせざるを得ない「高校生ワーキングプア」が増えているという。

 では、貧困は子どもたちの心に、どのような影響を与えるのだろうか。10年以上に亘り貧困の実像を取材し、放送してきたNHKスペシャルの取材班に聞いた。(以下、『高校生ワーキングプア 「見えない貧困」の真実』より引用)

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子どもの貧困がもたらす心への影響

 経済的に厳しい家庭に育つ子どもは様々な場面で我慢を強いられることが多い。

「高校生ワーキングプア」が増加している

「うちはお金がないから我慢しなさい」

 度々、そう言われ続けると子どもが事情を敏感に察知して、様々なことを諦めてしまうようになってしまう。自分で自分の可能性を狭めてしまうようなケースが生じるのは、こうした子どもの「遠慮」にも起因する。さらに、生活が苦しい余り、子どもに対して言ってはいけないことを口走ってしまう親もいる。

「お前なんか産まなきゃよかった」

「お前さえいなければもっと楽できるのに」

 日々、存在さえ否定するような言葉を言われ続けると、子どもたちは自己肯定感を失ってしまう。やがて自尊心さえ抱けなくなっていくのだ。

働かなければ学べない。進学や就職、未来を奪われた子どもたちの叫び!『高校生ワーキングプア―「見えない貧困」の真実―』

「自分は生きる価値がない人間だ」

「どうせお金がないから努力しても無駄だ」

 貧困が親を苦しめ、苦しんだ親たちの言葉が子どもたちに将来にわたって深い傷を負わせてしまうのは、こうしたケースだ。

 こうして自己肯定感が失われてしまうと、失敗を恐れて挑戦する意欲が削(そ)がれていく。つまり「頑張ること」ができなくなってしまうのだ。その結果、夢をもたなくなる。貧困家庭の子どもがどう成長するのかを追跡調査したアメリカの例では、大人になっても、自分に自信をもてずにいることで、就職や結婚にまで深刻な影響を及ぼしてしまうケースが少なくないことも実証されている。

社会的な経験の欠如

 子どもの相対的貧困は、「物」だけでなく「社会的な経験」を得る機会をも奪ってしまう。さらに深刻なのは、子どもたちの「教育の機会」が奪われてしまうことだ。

「教育の機会」が具体的に何を表すのか──ひとつは、学習塾や習い事に通えないことだ。彰くん(仮名・中3)は、学習塾の費用が高すぎるため、通信教材で学んでいる。

「学校では、僕以外、ほとんど全員塾に行っているんじゃないですかね。お母さんには行きたいって言いましたけど、お姉ちゃんの進学とかいろいろ大変だから難しいって。もう、自力で頑張るしかないです」

 勉強が好きな彰くんは、高校卒業後は大学に進学したいと考えていた。しかし、すでに大学への進学は難しいと思い始めている。

「できれば僕も大学行って勉強したいなって思っています。でも、家の状況を考えると、すごく厳しいです。だから無理やったら、もう諦めようと思っています」

 今年、中学校を卒業する彰くんが、もうすでに家の経済的なことが原因で進路を諦めようとしている。将来の夢ややりたいことを考えようとしても、お金がないことが常に頭にあり、具体的なイメージが描けないという。

「夢とか目標みたいなのは、まだ全然見えないです。どういう道で行きたいのか、全然決められないです」

 高校に進学したら、アルバイトをして少しでも家計を支えたいと考えている。

「お母さんにはできるだけ早く楽をして欲しいと思っています。仕事もすごく大変そうですし、なるべく支えられたらと思っています。そのために今できることは、勉強をすることなんで、とりあえず自分のできることをしっかりやっていこうと思います」

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 NHK取材班は、「このように、家庭の経済的な厳しさは子どもの人生に大きく影響する。本来、受けられるはずの教育の機会が奪われたり、家族で旅行や食事などの思い出を作ったりすることもできなかったり……子どもが当たり前に経験しておくべきことが、経験できないまま放置されてしまう」と警鐘を鳴らす。

 こうした「機会や経験の欠如」が重なると、コミュニケーション能力や自我の発達など、現代社会で生きて行くために必要な能力が身につかず、生涯にわたって影響を及ぼす可能性がある。だからこそ、子どもの貧困は、対策が急がれるのだ。

デイリー新潮編集部

2018年3月8日 掲載