単なる商店街の忘年会イベントに外国人観光客が殺到し、地元住民が困惑している。その背景には、観光立国を謳いながら、外国人客に魅力あるイベントを実施できていない日本のお粗末な現状がある

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外国人観光客に集まってほしいイベントには来てもらえない一方、単なる商店街イベントに外国人が5000人も集まるというミスマッチが起きている。この異常事態を詳しく見ていくと、日本の観光業界が抱える問題が透けて見える。(ノンフィクションライター 窪田順生)

外国人に大人気の狐の行列に
消滅の危機が!?

「今年はもうやめよう、と愚痴を言い合って後片付けをしていますよ。やっている我々も負担ばかりが重くなって、自分たちが楽しめなくなっている。こんな調子で続くわけがないですよ」

 そう苦笑いするのは、東京・王子で大晦日におこなわれる「王子 狐の行列」の運営者のひとりだ。

 王子には大晦日に狐が集まり、大きな木の下で装束を整えてから王子稲荷神社に詣でた、という古い伝承が残されており、歌川広重の浮世絵の題材にもなっている。その伝承を再現したのが「狐の行列」である。狐のメイクをして装束を身につけた人々が提灯を持ち、かがり火のともった道を練り歩くのだ。

 そう聞くと、そのような情景をどこかで見たという方も少なくないかもしれない。最近、この「狐の行列」は「外国人観光客人気スポット」のひとつとして、マスコミがこぞって持ち上げているからだ。

 たとえば、今年1月7日の『新報道2001 新春スペシャル』(フジテレビ)では、「年越しの外国人に大人気 キツネに扮し…伝統の行列」として約5000人の外国人が訪れて活況だった大晦日の様子を放映。人気の背景には、外国人向けフリーペーパー「タイムアウト東京」が、「年越しにやるべきこと」と紹介したことが大きいとして、同紙のエディターによる、「江戸時代から続く伝統的行事なのに、寛容な受け入れがあることが外国人から高く評価されているのでは」、という分析コメントも紹介していた。

 文化や考えの異なる外国人を寛容な心で受け入れ、日本古来の伝統の素晴らしさを理解してもらう――。まさしく国が掲げている「観光立国」政策の見本のような話だというわけだ。

 では、そんな「狐の行列」を運営している方たちの間から、なぜ冒頭のような「もうやめよう」という声が聞こえてきてしまうのか。

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