バイオテクノロジーが産んだ、日本一輝くコメ、新之助はコシヒカリを超えたか!? :情熱のミーム 清水亮
もう夢中なのである。

何に夢中なのかというと、コメだ。

何を隠そう、小生は越後長岡の出身。

南魚沼郡浦佐町の高校に電車で片道45分かけて通っていた。

もちろんそこは日本最高峰のコメ、魚沼産コシヒカリの産地である。

日本最高のコメが育つ様を毎日眺めながら高校にかよっていたのだ。今思えば(その頃は単なる田舎風景にしか見えなかったが)。

新潟といえばコシヒカリ王国。

そのコシヒカリ王国で、さらに美味い、いわば魚沼産コシヒカリを超えるコメが誕生したというから尋常ではない。

最初にこの新之助に出会ったのは昨年の長岡まつり。

花火大会の開催に先立って催されたセレモニーで、新之助を使ったおにぎりが振る舞われた。

おにぎりといっても具など一切なし。塩のみのおにぎりである。

しかしこれがなんと美味い。

びっくりするほど美味い。

普段、コメの味など気にしない小生でも思わず三個食べるほど美味い。

あなたは塩だけのおにぎりを三個連続で食べることが出来るだろうか。

新之助にはそれだけの魅力があるのだ。

なぜこんなにも美味いのか。

その裏には、熱い研究者たちの思いと膨大な努力があった。

もともと新潟県はコシヒカリの人気が高いので、作付面積の70%がコシヒカリとなっている。

もちろんコシヒカリは人気食材だからいいのだが、これでは県全体のコメの収穫時期が重なってしまうリスクがある。つまり急な気候変動などでコシヒカリが不作の年は、何もコメが生産できないということになってしまうのだ。

コメの生産タイミングは早生、中生、晩生の三種類に分けられる。コシヒカリは中生だ。

このリスクを回避するため、新潟農業総合研究所が開発したのが早生の「こしいぶき」である。

早生はあまり美味しくないと言われていたが、「こしいぶき」はこの常識を見事に打ち破り、日本全国の作付面積の10位にランクインした。

「こしいぶき」の成功を背景として、ついに満を持して晩生の品種開発がスタートした。

地球温暖化に対応し、稲の実る時期を遅くし、収穫期前の暑さを避けることで味、品質ともに安定した品種の開発である。

2008年、「新之助」はこうして開発がスタートした。

まず、この開発には、500種のコメを交配し、20万株の品種候補を育成。

このあたり、遺伝的プログラミングとかを意識してる側からみるとガチの遺伝的品種改良で面白い。

問題は、「美味しさとはなにか」という基準である。

もちろん「美味しさ」にはいろいろな尺度がある。炊き方によっても変化する。

いろいろな研究から、コメの「美味しさ」は、炊き上がった時の「コメの輝き」と70%程度相関することがわかっていた。

そこで「新之助」は、新潟県独自の手法として、「輝きの一番強い株」を集めて品種改良されることになった。

しかし早ければ半日で学習が終わる人工知能開発と違い、コメはひとつの仮説を試すのにガチで一年かかる。研究者にとっては途方もない時間だ。

そこで一つでも多くの実験をするため、温室を使ったり、石垣島で育てたりして、1年間に2〜3回のイテレーションをまわしていたという。

当然、20万株を植えるのも手作業である。

稲の花が咲く夏に他の品種と交配させ、一つずつ炊いて輝きと味を確かめ、途方もない手間と苦労を繰り返してついにたどり着いた新品種がこの「新之助」なのだ。

要は、美味くないわけがないのである。

美味さ、美しさ、を10年に渡って確認されながら着実に作られてきたコメ。

残念ながらそんじょそこらのスーパーなどには売ってない。

確実に買うならふるさと納税がお勧めである(コシヒカリとのセット販売で食べ比べがお勧め)。

さ、そしていろいろあって我が家に新之助が来た。

相場としては5kgで3000円くらい。

オレはめったに家でコメを炊いたりしないので、「たまの贅沢」と思えばそんなに高くは感じない。大家族では負担大かもしれない。

さて、日本一のコメである新之助を迎えるのに、おかずがマヌケでは仕方ない。

しょうがない。

ここは日本一の熟成肉で迎え撃つとするか。

いわずと知れた格之進である。

最近は格之進でも精肉をやっている。

ちよくるで六本木一丁目までひとっ走りして、赤身肉のカメノコを500g購入



やはり肉は赤身に限る。

これをダッチオーブンで丁寧に火を入れていく



最初に肉の全周に焼き目を付けて肉汁を中に封じ込めるのが格之進流立体焼き。

火が入ってくるとどんどん膨らんでくる。



一方こちらは新之助。

米びつにいれた段階で既になにか只ならぬものを感じる。

コメの形が全体的に丸っこい。また、粒が揃っている。

むしろ美味しんぼのあの話は一体何だったのか



土鍋でふっくらと炊き上げる。

見よこの美しいきらめき。これが日本一輝くコメか!

輝きすぎてカメラに映らないのでわざわざ画像処理をかけたほどの輝き。

まるで食品サンプルのようであるがこれでレッキとしたコメなのである。

そこに先程火を入れた門崎熟成肉に加えて・・・



格之進が世界で初めて開発した牛醤(ぎゅうしょう)

肉を熟成させてアミノ酸密度を高めた上で、さらに肉のアミノ酸を凝縮したという謎すぎる商品。

ところがこれを数滴垂らすだけで、濃厚な肉の旨味「だけ」が怒涛のように押し寄せる。

たぶん普通の牛肉に垂らしても味が変わるレベルの最先端調味料なのだ。

そこにウニをドカッと載せる。


う、美味い!

新之助のもっちり感と独特の甘味。

そこに襲いかかる格之進の放つ熟成肉爆弾と牛醤。それを包み込むウニの甘さ。

「生まれてきてよかった」

新之助、計り知れないポテンシャルを秘めているぜ。

その勢いでカレーも作ってみた。



トレーニングの後だったので肉は鶏むね肉を使用。玉ねぎは新玉ねぎ。

チキンカレーの淡白さが好きなんだよねー。

これもまた美味い。美味いわ。

土鍋炊きっていうのもあるけど、やっぱり新之助の甘味とカレーの辛さのコントラストが抜群。

日本人で良かった。

というわけで新之助、お米好きならぜひ一度お試しあれ