送別会のシーズン。幹事を任されたらどうすればよいか? (写真:Fast&Slow / PIXTA)

3月は、定年退職や転職・異動などの送別会の季節。社会人になって数年経つと、そうした送別会の幹事に任命されることがある。

ただでさえ仕事が忙しいのに、幹事なんて面倒くさい……と、思うかもしれない。しかし、打診されたら快く引き受けたほうがいいと勧めるのは、『シティバンク人事部で私が学んだ一生使える「気づかいの基本」が身につく本』(大和出版)著者で、亜細亜大学非常勤講師の関下昌代さんだ。


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「自分より年齢が上の世代の人たちとコミュニケーションをとることや、多くの人と連携しながら会の準備をすることは、必ず仕事にも生きてきます。また、余興などのために、他の部署の人に協力を仰ぐと、社内のキーマンとの人間関係を築けることもあります。経験して損はありません」(関下さん)

送別会の開催ノウハウは、先輩たちが持っているはずだが、教えてもらった内容が不十分なこともある。そこで、専門家や現役ビジネスパーソンへの取材を基に、若手幹事向けに、送別会をするときに注意しておきたいポイントをまとめた。

主役と親しい人を「代表幹事」にし、自分は裏方で活躍

1. 幹事は主役と関係の深い人・親しい人がする

送別会の幹事は、送別される主役と関係の深い人がなるのが鉄則。関係が薄い人だと、主役の好みや人間関係などがよくわからず、呼ぶ人や適切な贈り物やサプライズなどを用意するのが難しいからだ。

ただ、現実には、あまりかかわり合いの少ない主役の送別会の幹事に指名されることがある。その場合は、なるべく主役と親しい人を巻き込み、相談に乗ってもらおう。そうした人を「代表幹事」という役職に置き、表向きの音頭取り役を担ってもらえば、いろんな人が参加しやすくなる。そして実務的な幹事業務をすべて引き受ける形にするのがベストだ。

2. 主役と上司の他、確実に参加すべき人の予定も聞いておく

開催日時は、主役と上司の予定を聞いて決める。予定を聞いた後、部のメンバーに候補日をいくつか提示し、参加者が最も多い日に設定すると、スムーズに日取りが決まる。もし、ほかにも確実に参加したほうがいい人がいるのであれば、その人の予定も事前に聞き、候補日を絞っておいたほうが確実だろう。

3.参加者のアレルギーや宗教にまで気を配る

会場の店を選ぶときは、さまざまな要素に気を配る必要がある。料理に関しては、和食かイタリアンが無難だが、幹事の一存で決めずに、主役が食べたいものを聞いたほうがいいだろう。

意外と忘れがちなのは、食物アレルギー。たとえば、甲殻類アレルギーの人がいるのに、カニ料理の店に行ったら楽しめなくなる。主役はもちろん、参加者にもアレルギーがないかどうか尋ねておこう。また、外国人社員のなかには、宗教上の理由で牛や豚などを食べることができない人もいるので、そこにも気を使うべきだ。

個室か貸し切りにするのがいい

送別会は騒がしくなるので、個室か貸し切りが鉄則。正座ができない人もいるので、座敷は避け、テーブルか掘りごたつの席にする。「参加人数が多い場合は、多くの人が主役と話せるよう、あえて立食にする手もあります」(関下さん)。

予算に関しては、異動による送別会か、退職による送別会かで違ってくる。異動であれば、社内でまた会える可能性があるので、多少フランクな会になってもいいだろう。逆に定年退職など長年会社にいた人の送別会は、できるだけ盛大に執り行いたい。また、会社から補助が出る場合もある。そうしたことを確認した上で設定するといいだろう。

4.席次はあらかじめ決めておく

席次は、主役が最も上座に座り、その両横に、参加者で最も役職が上の人が座る。あとは、役職や年齢などに応じて、上座と下座に振り分ける。あらかじめ席次表を作っておけば、当日、参加者がどこに座っていいかわからない、という状況を防げる。幹事は、注文など素早くできるように、最も入口近くの下座に座ること。

5.あいさつの基本的な担当分けを知っておく

乾杯や締めのあいさつを誰がするかは、職場によっても異なるが、迷ったときのために、基本的な担当分けを知っておきたい。はじめのあいさつは、参加者で最も役職が上位の人、締めのあいさつは、2番目に役職が高い人、乾杯のあいさつは3番目に役職が高い人がするのがセオリー。締めのあいさつがない場合は、2番目の役職の人が乾杯のあいさつをする。贈り物や花束を渡すのは、主役と関係の深い人が行うのが一般的だ。

ただ送別会なので、最後のあいさつは、主役本人にしてもらうのがいいだろう。逆に自分が送別される立場になったなら、「一言あいさつを」と言われるので、事前に考えておいたほうがいい。開会・閉会のあいさつは司会者がすればOKだ。

6.贈り物は、商品券でも良い

主役が退職する場合は、記念品を贈ることが多い。寄せ書きをした色紙に、何かもう一品贈るのが定番だ。ただ、何にするか悩むケースが少なくない。趣味の品やお酒がオーソドックスだが、趣味がなく、酒も好きではないとなると、悩んでしまう。使わないものを贈ったらジャマになるだけだ。

それに対し、『やわらかい人間関係をつくる すごい挨拶力』(新講社ワイド新書)をはじめ、マナー関連の著書を持つ、現代礼法研究所主宰の岩下宣子さんは、「何が欲しいか、本人に聞いてもよいのですが、どうしてもわからないということであれば、商品券を贈っても問題ありません」とアドバイスする。

目上の人に現金を贈るのはタブーだが、商品券なら問題ないという。好きなものを自分で選んで買えるので、意外と喜ばれるそうだ。金額は、職場の人数によるが、1人1000円程度集めて1万〜2万円にもなれば十分だ。商品券に抵抗があれば、カタログの中から商品を選べるカタログギフトを贈るというのも手だろう。

贈り物の、のしの表書きは、「(定年)退職祝」と書くと、主役がさびしい思いをするかもしれないので、「感謝をこめて」と書くといい。

大切なのは、「主役を引き立たせる」意識

7.花束は相手のキャラクターに合わせて

送別会で花束を贈るのは定番だが、女性は喜ぶ人が多いのに対し、男性の場合、花束を持って帰るのがおっくうという人もいる。前出の岩下さんは、「主役が男性の場合は、花束は品物に添える程度の大きさでかまいません。相手のキャラクターによっては、渡さなくてもいいぐらいです」という。女性に渡すにしても、金額は5000円ぐらいの花束で十分だ。

8.余興やサプライズに労力をかける

定年退職者を送り出すときは、長年勤め上げた会社の思い出に触れられるような余興やサプライズを用意するとよい。

現役ビジネスパーソンに話を聞くと、「家族からのビデオメッセージがいいと思う。今度、単身赴任中の上司が退職するので、自宅をこっそり訪れて家族にインタビューしようと検討中」(43歳・IT会社勤務)、「お世話になった取引先の担当者からのメッセージをとってきたら、非常に喜ばれた」(38歳・広告会社勤務)というように、ビデオメッセージが好評だったと語る。社内の元同僚などから、若い頃のエピソードをもらってくるのもいいだろう。手間はかかるが、そうやって一汗かくことで、心に響くサプライズになる。

簡単にポイントをまとめたが、最も大切なのは、「主役を引き立たせる」意識を持つことだ。そうでないと、主役が埋もれてしまい、単なる会社の飲み会になりかねない。逆に、その意識さえ持っておけば、多少の不手際があっても、主役を喜ばせることができるはずだ。