株式相場は依然、不安定。だが「日本株は下がりにくくなってきた」との予想も(撮影:尾形文繁)

日経平均株価は今年の安値圏でもたついています。6日の日経平均株価は前日比375円高の2万1417円で引けたものの、後場は伸び悩みました。

ジェレミー・パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の下院議会証言の前には、日米株式市場ともに「市場に親和的な発言をしてくれるのではないか」との期待もありました。しかし、議会証言では米国経済への楽観的な見方が示され、市場は年4回の利上げを意識するようになりました。

これを受け、米長期金利(米10年債利回り)が上昇し、ダウ平均は急反落。さらに、ドナルド・トランプ大統領が、鉄鋼とアルミにそれぞれ25%と10%の追加輸入関税を導入すると発表したことから貿易摩擦懸念が高まり、3月1日のダウ平均は420ドル安と大幅下落。5日の日経平均は円高も悪材料視され、2月14日に付けた安値(2万0950円)を割り込む場面がありました。

市場は9日の雇用統計の結果をどう受け止めるか

さて、9日に発表される米2月雇用統計では、今回の株価急落のきっかけになったといわれている賃金の上昇率に再び注目が集まります。1月はインフレ率に影響を与える平均賃金が2.9%増(前年比)となり、2009年6月以来の高い伸びとなりました。

この1月分の発表直後のように、今回も米10年債利回りや株式市場が同じ反応をする可能性がないとはいえません。しかし、私は前回と同じ反応はしないような気がします。パウエルFRB議長の議会証言によって、市場は年4回の利上げをいったん織り込んでいますので、今回は少し違うような気がします。

たとえ、雇用統計がそこそこ強い結果となっても、米10年債利回りは意表を突かれたといった上昇はぜず、やや水準を切り上げる程度ではないでしょうか。前回の記事でも書いたように、トレンドは上昇基調を維持しているため、いずれ10年債の利回りは3.0%を超えていく可能性は高いと思われます。なので、雇用統計の強い結果で米10年債利回りが上昇したとしても、今度は円安要因となり、日経平均は米国株の上昇に追随する展開になることが予想されます。

また、9日は3月限の先物・オプションの決済期日を迎えます。それが通過したあとは、相場の上げ下げに対するいろいろな思惑の売買がいったん減少します。決算月ということで益出しの売りや持ち合い解消売りなどが上値を押さえる要因となりますが、ここまで短期間で売り込まれると、期末の配当・優待取りを目的とした買いが下支え要因になるとみています。

さて、7日以降の相場はどうなるでしょうか。日経平均株価に関して言えば、カギを握るのは為替市場です。3月のドル円に関していえることは、アノマリー(理論や法則では必ずしも説明できない事象)です。ドル円の2009年以降の3月相場を振り返ると、2009年〜2015年まではすべての年で月足は陽線(月初よりも月末の方が円安が進んでいること)でした。2016年と2017年は陰線でしたが、月の前半は少なくとも円高にはならなかったという経緯があります。

日経平均はドル高や需給改善で上昇へ?

また、2012年以降、2017年を除いて、1月か2月に年間の安値を付けている点なども。前回、ドル円について、2月中旬に付けた1ドル=105.50円で、いったん円高にブレーキがかかることを予想しました。3月に入って割り込む場面はありましたが、ロスカットの円買いを交えて一段と円高が進む雰囲気ではなく、どちらかというと円買いに飽きたムードに変わってきていると思います。ゴールデンウィーク(GW)前後に向けて、概ね大企業の想定レートである109.50円〜110円程度まで円安が進むことを予想しています。

あとは、ユーロドルが弱くなりかけていることです。欧州ではイタリアで政局不安が台頭してきました。8日はECB(欧州中央銀行)理事会終了後にマリオ・ドラギ総裁の会見があります。ドイツではユーロ高による業績悪化懸念でDAX指数が軟調に推移しており、ユーロ高に対するけん制発言が出てくるか注目どころです。

最後に、日経平均株価のチャート分析と需給の話をします。日経平均は2月14日に付けた安値(2万0950円)からの反発局面で、25日線に上値を押さえられました。一般的には株価が25日線を下回っていると弱気、上回っていると強気という見方がありますが、3月相場を通じて上回れるかが焦点となります。しかし、現状のように25日線が下向きだと、上値をとりにくいのです。

違う側面からも、そう言えます。東証1部の累積売買代金をみても、2万2000円以上〜2万2500円未満には57兆円程度、2万2500円以上〜2万3000円未満には84兆円程度も膨らんでおり、これだけでも戻り待ちの売りが強いことを示唆しています。そのため、今のように2兆円半ば程度の売買代金では、25日線はすぐには超えられない壁として意識されそうです。

一方、2月の急落の一つの要因だった、裁定取引に伴う現物株の解消売り圧力が和らいでいます。裁定取引とは割高な先物を売ると同時に現物株を買うことです。そのポジションが解消されるとき、大量の現物株の売りが出ることによって、株価急落の要因となります。その裁定取引に伴う現物株の買い残高は2月16日現在、金額ベースで1兆5708億円と昨年9月4日(1兆3742億円)以来の水準まで減少しました。

それ以前の直近の2週間分と合わせると、1兆円超の現物株の解消売りがでたことがわかります。直近ピークは年初の3兆4000億円程度なので、大幅に売り圧力が減少したことになります。昨年9月前半といえば、日経平均が16連騰する上昇の起点となったタイミングです。昨年4月に安値を付けたときも、1兆4238億円まで減少していた経緯があります。先週の下げ相場も、その現物株の解消売りが原因と思われ、過去の経験則では需給改善が一段と進んでいる可能性が高いのです。5日の日経平均は2月14日安値を若干割り込みましたが、2月上旬のような売りが売りを呼ぶような展開は想定しづらいと思われます。

つまり、短期的には2月の急落の影響が和らぐまでの間は日柄調整で、下げないけど、上にもなかなか行けない、モミ合いが予想されます。ただし、海外投資家による日本株買いは、4月に増える傾向(1〜3月は買いが続かない)があることを踏まえると、もしここから「ダメ押しの下げ」があっても、GWあたりまでのリバウンドを見越した押し目買いを考えたいところです。