日本人は、「金融リテラシー」が低いという。お金に関する知識や情報を正しく読み解く能力のことで、OECD14か国を対象とした調査では1位がドイツ、次いでペルー、イギリス、マレーシア。日本は平均以下だった。(金融広報中央委員会調べ)

日本ではお金の話がタブー視される傾向にあるからだろうか、資産はあっても金融の知識が十分でないのが現状のようだ。そんな中、3月5日放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)では、若い世代への金融教育が活発化している様子を紹介していた。(文:okei)

成人年齢20歳から18歳へ引き下げが背景に


2月18日、六本木ヒルズで全国高校生金融経済クイズ選手権、通称「エコノミクス甲子園」の全国大会が開かれた。経済や金融を楽しみながら学ぶことを目的とした大会で、12回目となる今回は過去最高の1296チームが参加し、盛り上がりを見せた。

全国大会を主催・運営するのは、NPO法人の金融知力普及協会(東京・日本橋)だ。鈴木達郎理事は、

「金融や投資じゃなく、幅広く人生や生活に必要になる知識を押さえられる」

と参加するメリットを語る。「自分である程度のお金を自分の判断で動かす世代なので、案外すぐ近くに(金融の知識が)必要になる局面があるということです」などと、人生の早い段階でお金や経済の知識を身に付ける必要を説いた。

若者への金融教育が注目される背景には、成人年齢を20歳から18歳に引き下げるという政府の方針がある。早ければ2022年には民放が改正され、18歳から親の同意なくクレジットカードを作ったり契約が出来たりする。そのため、10代がトラブルに巻き込まれる危険性も懸念されているのだ。正しい知識を身に付けて、自分で自分を守らなくてはならない。

ツイッターでは、かつての大会参加者からこんなコメントも上がっている。

「TLを見ると暗記ばっかりで本当に身についてるの…?という意見もありましたが、僕はすごく役立ちました。進学を機に一人暮らしを始める時、銀行のこと、家の契約のこと、クレカのことなど… 必須の知識をすぐに応用できました」

中には「まだ早い」というツイートもあったが、大学進学をきっかけに1人暮らしするなら18歳。高校生で学んで早いということはない。

「知っているだけでも自分の進路や将来の考え方も変わる」

学校を出てから学ぶ人たちもいる。社会人向けの株式・不動産投資セミナーなどを開講しているファイナンシャルアカデミー(東京・新宿)には、若い社会人の参加者も複数いた。「利息と金利の違いもわからなかったんですけど」と語った20代の女性は、3年前の社会人なってからお金の勉強を始めたそうだ。こう語る男性もいる。

「知っているだけでも自分の進路や将来の考え方も変わると思う。(勉強を始めるのが)もっと早くてもよかったのかなと思いますよね」

そんな要望を受け、同社は中高生向けの教材を、希望する学校に無償で提供している。クレジットカードの分割払いの仕組みなど、生活に身近な事例をアニメで説明する教材もついていた。

金融関係の仕事に就くわけではないとしても、ローンの仕組みや長期計画などは人生設計にも関わってくる。実は知っておくべきお金や経済の知識はたくさんあるのだ。若いうちから意識して、正しい金融知識を身つける必要があるだろう。