ウルトラソニックカッターでラク&キレイに切る

 6〜7年前に買った超音波カッター。本多電子の「超音波小型カッター USW-334」(公式ページ)という製品ですが、使った瞬間ビックリしたという記憶があります。スルスルとヌルヌルとラクに切れる。切り口もキレイ。「超音波すっげー!」と感激しました。

本多電子の「超音波小型カッター USW-334」。刃先に超音波振動を与えて対象を切りやすくするカッターで、ネット通販では3万円前後で売られているようです。

 購入理由は、当時の電子工作界隈で「基板を入れるプラケースを切るのに超便利!」と超音波カッターが話題になったこと。それと、調べてみたら超音波カッターは「Ultrasonic Cutter」で「ウルトラソニックカッター」ということで「やっべぇ道具名として超カッケェ!」みたいな中二病観点での魅力があったことです。あと、本多電子の魚群探知機も使っていて非常にイイ感じだったので「本多電子の製品なら大丈夫だろう」と思ったこともあります。

本多電子「HONDEX」ブランドのバス釣り用魚群探知機「HE-57C」。2006年に購入した魚群探知機で、当時で一式4万円弱でした。電池で使えて便利なので、最近でもフツーに使っています。でも近頃ではもっと凄いGPS対応魚群探知機が登場しているようです。

 超音波カッターを買った動機はイロイロですが、でも、まあ、興味本位で衝動買いって感じではあります。しかし、買ってみたらスゴく便利だった。というわけで、頻繁にではありませんが、6〜7年前に買ってから現在まで愛用しております。

 使っていて「いいな〜」と思えるのは、まず「普通のカッターほど力が要らない」ということです。薄めの対象を切る場合は「全然力が要らない」くらいで、むしろ「力を入れるとカッターマットごと切れちゃう」って感じ。

 もうひとつ良い点は、切り口がとてもキレイであること。切れ味の良いカッターナイフでも、対象が少し厚めだったりすると、切り口を強めに押しながら切ることになります。ですので、切り口には反りや潰れができてしまいます。しかし超音波カッターだとそうならず、とてもキレイな切り口になることが多いんです。

手近にあった段ボール紙を超音波カッターで切ってみました。超音波カッターの刃を段ボール紙の上に軽く当てて、手前にスーッと引くだけ。軽く切れて、切り口もほとんど潰れません。段ボール紙の内部構造もちゃーんと見えてキレイ♪

 段ボール紙を美しく切れたからって、普通は大したメリットはありませんが、段ボール以外の対象も軽くキレイに切れてかなり実用的。後述しますが、けっこーイロイロな対象を効率良く切れて「ツカエル」んです。

 そしてさらに、カットするのが気持ちイイ! そうなんです、超音波カッターって使っていて気持ちイイんですっ♪ 軽くスパッとキレイに切れる! とても気持ちイイ!

 そんな魅力がある超音波カッターなので、さらに切れ味が良いし使いやすいとウワサの本多電子「超音波カッター ZO-41」(公式ページ)も買っちゃおうかな〜とか悩み中です。ともあれ以降、超音波カッターについてアレコレ書いてみたいと思います。

どんなシクミ? どう使う?

 まず超音波カッターのしくみですが、基本的にはカッターナイフと同様の刃先を持っていて、その刃で対象物を切ります。ですので、カッターナイフで切れないものは、超音波カッターでも切れません。超音波カッターとかUltrasonic Cutterとか「必殺ッ!! ウルトラソニックカッター!!!!」とか言うとガラスでも金属板でも使徒でもゴジラでも切れそうな気がしますが、そうではありません。

 超音波カッターは、刃先を超音波で振動させながら使います。刃先が振動すると、刃先と対象の接触部に生じる摩擦を低減させることができます。すると、刃先が対象物を刃の両側へ引っ張る力(引張応力;ひっぱりおうりょく)を効率良く伝えられたり、刃を動かすときの摩擦も減って刃の移動がスムーズに行えたりして、「軽い力で切ることができる」ようになるわけです。

 ちなみに「超音波小型カッター USW-334」の発振周波数は40kHz。1秒間に4万回、刃先が振動していることになります。使用時にはその音は聞こえませんが、切断対象などがこの周波数に共振して「キュ〜ン」という音を出すことがあります。

 使い方ですが、 USW-334の場合は電源コードをコンセント(ACアウトレット)に挿し、電源をオン。そしてカッター部分を持ち、ボタンを押しながら対象を切るだけです。カッター部分は鉛筆のような感じで持って、軽く対象に当てて切るべし、と説明書にありました。

カッター部の上にはボタンがあり、対象を切るときに押し続けることで、刃先に超音波振動が発生し続けます。刃先自体は、NTカッター製のデザインナイフ用刃先と同等品と思われます。鉛筆を握るような感じで持ちます。

試しにDVDをカットしてみましょう。より薄い対象物を切るときよりも若干力を込め、刃を当てる角度にも注意する必要がありますが、わりとキレイに切れました。ただし、超音波の熱により切断面が少し溶けるため、切断面をよく見るとそーんなにキレイではありません。

 ていうかフツーにDVDが切れるって凄いですネ! 切れるらしいとは聞いていましたが、本日初めて切ってみて少々驚きました。DVDが入った透明樹脂ケースなんかも切れちゃいます。ウルトラソニックカッターすげぇ!!!!

 ちなみに、普通のカッターでは切れにくいものでもスルスル切れちゃう超音波カッターですが、刃先はフツーのカッターナイフと同じようなものですので、刃先がなまれば切れ味も落ちます。超音波カッターで切っていて「あれ重くなった?」「切り口が汚いかも?」みたいに切れ味が落ちたら、迷わず刃先を交換するのがいいと思います。

イロイロ切れるが、切りにくいものもある

 軽い力でイロイロ切れるし、対象によっては切り口もかな〜りキレイに仕上がる超音波カッター。実際にイロイロと切ってみましたので、その「切れ味」などについてザザッと書いてみたいと思います。まずはプラスチック系の対象。

CD等ディスク用の透明ケース

 これらのケースは「ヌルリ、ヌルリ」という感じで切れます。冷蔵庫で冷え冷えになったバターをスプーンで切り出すような感覚。やや力を入れてゆっくり切り進める感じです。ただ、切断面が刃先の振動で発熱するため、いったん切った部分が溶着されてしまうことも多く、切る作業にコツが要ります。また、溶けた部分はバリのように外側に出っぱることが多いので、キレイな切り口とすることは難しいです。

クレジットカードなどのプラスチックカード

 カッターナイフで厚紙を切るような感覚で切れます。切り口はキレイに仕上がりますが、カードによっては熱で溶けて歪んだ部分が切断面丈夫に出っぱったりも。「スウゥ〜イッ」という感じで、わりとラクに切れて気持ちイイです。

ペットボトル

 これはサクッと切れまくりだろう、と思いきや、普通のカッターナイフよりは軽く切れたけど、スパスパ切れるというイメージではありませんでした。切断時にペットボトルが歪むので、刃先の力が伝わりにくいのかもしれません。でもペットボトル側面に四角い窓を容易に開けられたりするのは、さすが超音波カッターです。

フリスクやミンティアのケース

 これらは「ヌルッ、ヌルルッ」という感覚で、バターナイフで常温のバターをカットするような感覚で切れます。ただ、速く切ろうとすると少しバリのような出っ張りができたりも。ともあれ、普通のカッターナイフでは考えられない効率の良さで、こういったケースをカット加工できて愉快。

ポリプロピレンの小物ケース

 小型ツールボックスや釣り具入れとして売られている半透明のポリプロピレン製小物ケースを切ってみましたが、意外なほど切れませんでした。超音波カッターなのに、単なるカッターナイフ程度の切れ味! みたいな残念感。でも逆に、ポリプロピレン製ケースなどの平らな部分は、超音波カッター使用時のカッターマットとして利用すると便利です。

タブレット用のTPU製ケース

 タブレットやスマートフォンのジャケットとして、柔らかめで装着しやすく、端末の保護性もそこそこあるという素材としてTPU(熱可塑性ポリウレタン)があります。これも切ってみましたが、これまた単なるカッターナイフ程度の切れ味しか発揮できませんでした。ただし、ポリプロピレンよりも超音波カッターの刃よる傷が付きにくいようなので、超音波カッター用カッターマットとしてかなりイケます(やや柔らかいのが難点ですが)。

クリアファイル

 書類などを挟んで保存するクリアファイルですが、も〜の凄く気持ち良くスイスイスパスパと切れまくりです。対象が薄いためか、切り口も十分キレイ。超音波カッターは定規を当てながらでも使えますので、こういった薄い樹脂を効率良くキレイに切りたいなら超音波カッターがサイコーかもしれません。

不織布

 ポリプロピレン製の不織布を切ってみましたが、これも非常に気持ち良く切れました。前述のポリプロピレン製小物ケースは「切れ味大したことナイ」でしたが、不織布だとキレッキレ! やはり切る対象の厚みが切れ味に大きく影響しているんですね。

 プラスチック系の対象ですと、総じて硬質なもののほうが超音波カッターの切れ味が「発揮される・感じられる」ような印象です。じつはアクリル製のキューブの角をカットしてもみましたが、スパッと角が落ちてびっくり。硬い対象ほど、超音波による切れやすさ的メリットが生まれやすいのかもしれません。

 続いて、プラスチック系以外のものを。カッターナイフで切れるものをアレコレ、超音波カッターで試し切りしてみました。

 超音波カッターで紙を切ると「うわっナニこの切れ味!」と驚けます。コピー用紙などなら超音波カッターの自重だけでスルスルスル〜ッと切れちゃう感覚。切っている途中で超音波カッターのボタンを離すと、急に抵抗感が。ペーパークラフトなどなさる方がこの感覚を味わうと、急激に超音波カッターを買いたくなるのではないでしょうか。

ダンボール

 前出のカット例で出ましたが、非常に軽い力で切ることができ、切断面が潰れずキレイにカットできます。厚みがあるぶん、紙よりは少し力を入れる必要があります。力の込め具合がわかると、「スパッ、スパッ、スパッ」とテンポ良く段ボール紙をカットしていけます。

鉛筆

 鉛筆も削れるかな? と思って試してみましたが、非常に軽い力で鉛筆を削れます。ただし、カッターで鉛筆を削るよりもずっと軽い力でも、刃先が鉛筆の木材や芯に食い込んでいきますので、少しずつキレイに削って仕上げていくという作業は逆に難しいかも。超音波カッターで木を削っている感覚は「軽く握り固めた雪の塊をナイフで整形している」ような不思議な感じです。

 布全般はスーッと小気味良くカットできます。慣れれば曲線もカットできます。帆布のような厚め硬めの布は? と思って試しましたが、帆布もスパスパ切れました。超音波カッターは手芸にも向いているかも。

 牛のぬめ革をカットしてみましたが、カッターナイフで厚紙をサーッと切るような感覚でカットできました。とてもラクにカットでき、切り口もキレイ。レザークラフトにも向く超音波カッターなのかもしれません。

ゴムやシリコン

 ゴムのシートとシリコンのシートを切ってみましたが、どちらもスーッと切れました。カッターナイフで切ろうとすると、ゴムもシリコンも刃との抵抗が大きいので切りにくい(というか途中で対象が歪んで真っ直ぐ切れなかったりする)感じですが、超音波カッターだとそういった抵抗感がほぼナシ。スムーズに切れます。

ロウソク

 何となくロウソクを削ってみました。鉛筆を削ったときと似て、非常に軽い力でサクサクと削っていけます。柔らかいチョークをカッターで削る感覚をさらに軽くしたような、シャリシャリした独特の切削感です。ロウソクに彫刻するなら便利?

 といった感じです。ポリプロピレン製の小物ケースやTPU製の端末ケースが切れにくかったのは意外ですが、ほかは楽しげな切れ味♪ やっぱり超音波カッターってイイな〜と思いました。

 一般では主にプラモデル作り界隈で人気で、モデラーの方々に重宝がられていたりする超音波カッター。カッターナイフの使用頻度があまり高くない一般用途においては、あ〜んまり必要にならない「凄い切れ味」かもしれません。でも、ホントに気持ちイイ切れ味なので、機会があればぜひ、超音波カッターでナニカを試し切りしてみてください。