“居るだけでプレッシャー”という親になってはいけない(写真:プラナ / PIXTA)

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今年、中学受験をした娘の母親です。4年生から大手進学塾に通わせ、皆様と同じように塾の送迎やお弁当作り、膨大なプリントのファイルなど、全面的に頑張ってきました。娘も頑張りましたが結果は第一志望校は不合格、第二志望校も手応えがあったと喜んでいましたがダメでした。
そして第三志望中学に合格しましたので今春入学します。娘は気持ちを切り替え、入学を楽しみにしていますが、私が立ち直れないでいます。第一志望校以外に決まった子どもの親の気持ちの切り替えとなる、良い切っ掛けや考え方があれば教えてください。
不合格だった2校は親が放っておいても勉強する、自己管理ができている子ばかりが集まっています。わが子は私の過干渉で自己管理が苦手なので、今回の進学先の面倒見の良い中学が合っているようにも思います。本校で上位にいれば国立の医学部もめざせるレベルの学校です。娘も気持ちを切り替え、部活などを楽しみにしています。
私自身も早く気持ちを切り替えないと、6年後の大学受験も同じ結果になってしまうとわかっているのに、不甲斐なくもまだぐずぐずしています。ネット上では、「新中学生のお母さんは後しばらくはお子さんと伴走をしてあげましょう」などとあり、しばらくは私自身も娘の受験勉強から解放されたいと思いつつも焦り、今までの復習をさせたり、英検や漢検の勉強をさせています。
進学先も決まり塾も終わり、塾の春期講習も始まっていないこの時期が、私自身いちばん不安でとてもつらいです。
お受験ママ

3つの心得のチェンジを提言

お受験ママ様、あなたの猛省を促したく、あえて記事のタイトルを厳しめにしました。


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平昌オリンピックでは、たくさんの感動がありました。さすがこの一瞬に懸けて精進してきた選手たちは競技だけでなく、言葉も違いますね。スピードスケート女子500mの金メダリスト・小平奈緒選手は「両親は私がダメだったときも、成績だけでなく私がやっていることをつねに認めてくれた。その感謝を伝えたい」(要約)と会見しています。

挫折を経験した人に魅力的な人が多く、お嬢様の人生は始まったばかりです。お受験ママさんには3つの心得のチェンジを提言します。

どんぐりの背比べから頭一つ抜けるのは、親の力が大きいと言われています。私の友人で、家庭教師のような指導をしている小規模の塾経営者がいます。彼は長年の経験から、塾講師も親も「放っておいても勉強する」上位何パーセントを除いてはどんぐりの背比べで、その合格の成否は親が決め手と言い切っています。子どもの能力や努力差ではないと言います。

彼の説明によると中学入試の試験問題は、基礎をしっかり勉強すれば応用して解ける問題ばかりで、ポイントを押さえればあとは暗記に費やす時間も取りやすいというのです。塾経営初期のころ、講師が軽視したり好きでなかった問題は最後まで、“どんぐりたち”も解けなかったそうです。つまり苦手問題を抱えたままの“どんぐりたち”は本番で、その少しの応用にも引っかかるそうです。

なぜ娘の足を引っ張るのか

お嬢様も “どんぐりグループ”だったと仮定させていただくと、大手進学塾ということですから娘さんの苦手な問題のその都度の克服は、親の手伝いが重要なケースが多いです。たとえば、「膨大なプリントのファイル」の整理は大丈夫でしたか。理解できていない問題を親が把握し、重点的に勉強させたり塾の先生に質問させ、克服していったでしょうか。

放っておいても自主的に勉強する一部の神童たちを除いて、中学受験では、“どんぐりたち”の管理とはここまでする親は少なくありません。生半可ならかえって親の生半可さが成績に現れ、生半可に支配された“どんぐりたち”は受験戦争の被害者です。

わが子がどんぐりグループで、親がここまでできないと悟った私の友人は、塾についていくための家庭教師をつけました。お嬢様のタイプによりけりなので一概には言えませんが、子どもを中学受験に送り出す親には、それ相応の覚悟が必要なのです。

お嬢様は健気にも早々と気持ちを切り替え進学を楽しみにしながらも、この時期に今までの復習に従うなど、お嬢様が母親の機嫌を取っているように思います。“どんぐりの能力に応じた応援”をした親に、厳しい言い方をすれば、あなたが負けたのです。

その自覚がないから、将来ある健気な娘の前で、人生の決着がついたような顔をして娘の足を引っ張ることができるのです。これが一点。私は今回、目覚めていただくために、傷心のあなたに塩を塗るような言葉をあえて使っています。

時節柄、有名校に入れなかった子息を罵倒したり、授業料は払わないと怒る親との接し方に悩む学生さんからのご相談が何通か来ています。これらの親御さんたちは、子どもは有名校に入ればかわいくて、そうでなければどうでもいい子なのでしょうか。子どもが逆境にあったり首尾よくいかなかったときにこそ励ますのが、親の役割ではないでしょうか。

私の友人のお子さんも昔、第一志望中学校に入れませんでした。第二志望校の2次試験は近隣県から、たまたま運か体調悪く第一志望校に入れなかった優秀な子が集まり、1000人中数十名しか入れない狭き門です。友人は確実視していた第一志望校の不合格がショックで寝込んだのに、子どもは不合格を知ったその日から、1週間後の受験勉強を再開したそうです。

4日目、半分はふて寝だった母親の目に、ずっと二人三脚で勉強してきた“どんぐり”の息子の、一人で勉強している背中が見えました。第二志望校は門が狭すぎるので期待もしていなかった母親でしたが、その背中の小ささに、敵前逃亡し味方も裏切っている自分の卑怯さに気づいたそうです。母親を信じて付いてきた子を、関ヶ原を前に一人で放り出しています。

親のエゴ丸出しの態度

母親が何げなく子どもを覗くと、これまで見たことがないその学校特有の数学の統計問題に引っ掛かっていたそうです。“どんぐり”一人では到底解けないその問題を見て母親の目が覚めました。その克服に残りの日を費やしたそうです。その応用が本番の1番か2番に出たときは、あちこちですすり泣きが聞こえたとか。初めて見る子には手も足も出ない問題で、その動揺が後の問題にも響く出題順だったそうです。

受験に協力するとは、子どもによってはここまでするべきだというエピソードですが、さてその友人は、たった3日間の「半分ふて寝」で、今も胸を痛めています。100%信じて付いてきた母親のふて寝を、子どもが一人で格闘しながらどのように見ていたかと思うと、20年後の今もかわいそうで恥ずかしくて胸うずくそうです。この親のエゴ丸出しの態度が長引いて、それが裏目に出る場合を考えれば、恐ろしくてそんな態度はとれないはずです。

お嬢様はいつまでも今のように母親に従順とは限りません。子どもの進路をめぐって親子断絶や事件が少なくないことも考えてください。子どもが不調なときこそ子どもを信じ、励ますことができる親であるべきです。これが2点目です。

私がいちばん強調したかったのは、この期間を思いっきり親子の気分転換期間にするべきだということです。さまざまな体験を楽しむことに重点を置くべきです。気分転換が楽しく充実するほど、新生活も良いスタートが切れるはずです。これが3点目で最も力を込めたい点です。

拙著『一流の育て方』では、成人した子どもからも感謝されている家庭教育について、200以上の実例を挙げて詳細に紹介させていただきました。

子どもの自立心を促し自主性を尊重する教育は、人生の岐路における選択権も含めてあらゆる決定権が子どもにあり、親から尊重されていました。そのような子に育つための知的好奇心を刺激し視野が広まるさまざまな体験をさせてくれた親に、実に多くのお子さんが感謝し責任を感じています。ぜひお受験ママ様も、そのような親御さんたちを参考になさってください。

思いっきり友達と遊ばせよう

受験が終わったこの時期、もし私が同じ立場ならば、すべてを捨てさせ、思いっきり友達と遊ばせます。家族旅行よし映画やビデオ、古典や名作の読書で心を感動でいっぱいにするもよし。親が子離れした生き甲斐や楽しみを持ち、生き生きし充実していることも大切です。いつも輝いている親が目標だったという学生さんも多かったです。“居るだけでプレッシャー”という親になってはいけません。

そのうち子どもさんと夢や可能性を語り合い、いろいろな世界を共に調べ、このような進路にはこのような勉強がいるなどと情報提供の手伝いができればすてきですね。