安熙正氏(資料写真)=(聯合ニュース)

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【ソウル聯合ニュース】韓国与党「共に民主党」(以下民主党)の有力政治家、安熙正(アン・ヒジョン)忠清南道知事(53)の広報秘書が安氏から性的暴行を受けたと告発したことを受け、安氏が6日辞意を表明したことで政界が大混乱に陥っている。

 与党の有力な次期大統領候補の一人だった安氏に最悪のスキャンダルが持ち上がるという、まさに「核爆弾級」の悪材料に見舞われた民主党は、安氏に対する離党および除名措置を決定する厳しい対応を取ったが、事態を収拾するには力不足だった。「自由韓国党」をはじめとする野党は、進歩(革新)系陣営の二面性が現れたとして総攻撃に乗り出した。

 セクハラや性犯罪の被害を告発する「Me too(私も)」運動の広がりを受けて韓国各界で新たな暴露が相次いでいるが、事態が長期化した場合には政局が根幹から揺るがされ、文在寅(ムン・ジェイン)政権発足後初めてとなる統一地方選挙(6月13日投開票)の結果を大きく左右する可能性があるとの指摘も出ている。

 5日夜に緊急最高委員会議を招集し、安氏に対する離党および除名措置を進めることを決めた民主党は、6日午前の公式会議を取りやめ、党執行部のみが集まって対策を話し合った。

 盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領の側近だった安氏は、昨年の大統領選の党内予備選挙で文在寅氏に次いで2位となり、次期大統領の有力候補と目されていた。だが、今回の事件で刑事処罰を受ける可能性もあることから、党内には重い雰囲気が漂っている。

 民主党はこの日午後、安氏の離党および除名措置を取る予定だ。同党の重鎮議員の一人は「道徳的に優位だと主張してきた進歩陣営は相当な傷を負った」とし、「野党も今回の機会を利用し、統一地方選で逆転ムードを作ろうとするだろう」と懸念を示した。

 一方、自由韓国党は攻勢を強めている。同党の張済元(チャン・ジェウォン)首席報道官は「うわべと中身が異なる進歩陣営の二重的な姿をむき出しにした事件であり、民主党の性問題に対するモラルのなさを如実に示している」と述べ、批判の対象を進歩系陣営全体に広げた。