「リファレンスデザイン」(Reference design)とは、「参照設計図」のことです。

 特に電子機器向けの半導体チップを手がけるメーカーが、そうした半導体チップを用いてスマートフォンなどの最終製品に仕上げる企業に対して提供するケースが多くあります。場合によっては、リファレンスデザインでほぼそのまま、量産・製造できるところまで作り込んで提供する場合すらあります。

 電子機器の開発・設計は難易度が高く複雑で、非常に時間のかかる作業です。

 素材となるLSIを選定、その周辺も含めて回路を設計して、基板の試作やデバイスを実装してから、きちんと動作するか評価――というような作業で進められます。しかし、評価上、何か問題が見つかると、原因を究明した結果、回路設計の段階で誤りがあった、といったこともあり得ます。

 最近の電子回路は非常に複雑化・高度化しています。たとえばチップセットメーカーにとって顧客にあるスマートフォンメーカーに向けて、「こうすればチップセットが目的通り、正しく動きますよ」とリファレンスデザインを提供するようになりました。

 リファレンスデザインには、回路設計やレイアウト、推奨の周辺LSI・ICなどが含まれています。その通りに引き写せば確実に動作することがわかっている、検証済みの設計ということになりますので、スマートフォンメーカーにとっては開発プロセスの一部を大幅に省略できます。

 最近では、たとえばスマートフォンなどでは、中心となるSoC、RFなどのアナログ回路なども含めてリファレンスデザインが提供されていて、これらのLSIを素材提供メーカーがリリースしてから、実際にそれを使用した製品が市場に登場するまでの時間を短くすることができています。

 これにより、開発スタッフの作業工数を削減でき、ひいては、リファレンスデザインの積極的な利用が価格面でも有利になる……という側面も期待できます。

 一方、リファレンスデザインをそのまま取り入れることは、性能や機能の面で、一定の枠組みに閉じ込められかねません。そこで、メーカーによっては、ある程度の工数がかけても、チューニングして、独自性を追加したり、より良い性能の製品に仕上げるところもあります。その分、価格も上がってしまうわけですが、スマートフォンメーカーにとってはそうした要素を付加価値にして、競争力を高めるという選択肢を採れます。