多くのパブリッシャーと同じように、英紙ガーディアン(Guardian)もインスタグラム(Instagram)を利用している。目的は、同社のメインサイトにアクセスすることのない若いオーディエンスを、ロイヤルティの高いユーザーに育てあげることだ。

インスタグラムのフォロワー数は着実に増え、いまでは86万人に迫っている。これは、1年前に比べて57%の増加だ。しかし、さらに興味深いのは、リンクをたどってガーディアンのサイトにやって来た人の60%が、はじめてガーディアンのサイトを訪れた人だということだ。ゆくゆくは、このような人たちをガーディアンのサイトやアプリの常連ユーザーにし、可能であれば有料購読者にしたいとガーディアンは目論んでいる。

ガーディアンは1年前から、インスタグラムの「ストーリー」を定期的に投稿して、人々の関心をつなぎとめようとしている。そのひとつが、毎週公開している「フェイク・オア・フォー・リアル(Fake or for real?)」だ。これは、ガーディアンのジャーナリストがその週に大きな話題となったニュースをピックアップして、それが真実なのかフェイクなのかを視聴者に尋ね、答えを明かすというものだ。この1分間のストーリーは毎週およそ5万ビューを獲得し、英国外の人々の人気を集めていると、ガーディアンのソーシャルプロデューサー、エレニ・ステファノウ氏はいう。ガーディアンはまた、「ブレグジット・バイツ(Brexit Bites)」と呼ばれるストーリーも定期的に公開している。これは、ニュースで報じられるブレグジットの刻々と変化する状況をわかりやすくまとめたものだ。さらに、「ラマダン・ダイアリーズ(Ramadan Diaries)」というストーリーでは、ガーディアンのジャーナリストであるイマン・アムラーニ氏が、イスラムの聖月などイスラム関連のトピックについて解説している。

ふたつのチームで連携



ガーディアンでは、3名のスタッフから成るチームが、インスタグラムとFacebookグループ(「ガーディアン・カルチャー(Guardian culture)」など)を専門に担当している。また、配信の拡大に取り組む「リーチ担当チーム」が別にあり、Facebookでのパブリッシングや検索エンジン向けの最適化を行っているが、このふたつのチームは緊密に連携している。

インスタグラムのコンテンツの作成には、ガーディアンのメインのマルチメディアチームにいるデザイナー、ジャーナリスト、動画プロデューサーの誰もが関わっており、1日あたり平均で3件のコンテンツをインスタグラムに投稿している。これらのコンテンツは、インスタグラム用に作成したオリジナルのコンテンツと既存の素材を組み合わせたものだ。その多くは、主要なニュース記事から画像をピックアップしてギャラリー形式にまとめ、記事の内容を画像で伝えようとしている。

マルチメディアチームで動画を担当するスタッフにとっては、通常のニュース以外のネタを探すことも仕事の一部だ。ときには、ガーディアン以外の映像制作者にコンタクトを取り、彼らの動画の一部を利用する許可を得て、インスタグラムのストーリーとして公開することもある。ガーディアン以外の素材を使った例のひとつが、バレンタインデー向けのストーリーだ。これは、バラク・オバマ氏とミッシェル・オバマ氏、オスカー・ワイルド氏と「ボジー」の愛称で呼ばれたロード・アルフレッド・ダグラス氏、アーティストのフリーダ・カーロ氏とディエゴ・リベラ氏など、著名なカップルがやり取りしたラブレターを紹介したものだ。

トーンの調整が課題



当然ながら、利用する素材は多い方が便利だが、そのために新たな問題が生じることもある。関わる人があまりに多くなると、インスタグラムの投稿でスタイルや文体を統一するのが難しくなる場合があるのだ。ガーディアンでは、環境、人権問題、動物保護など、インスタグラムを利用する若い世代に適したトピックのコンテンツを作成することを原則としている。ただし、単に悲観的な話を伝えるのではなく、解決に向けた対策が採られていることを強調し、希望を抱かせる内容にしなければならない。

「我々は、インスタグラムを使って若いオーディエンスにリーチし、彼らを長年の読者に変えたいと考えている」と、ステファノウ氏はいう。「また、共通のテーマに関するコミュニティを作りたいと考えている。しかも、サブアカウントではなくメインのアカウントでだ。そうすれば、たとえばプラスチックの利用といったテーマに関心を持つオーディエンスをインスタグラムで開拓したうえで、そのテーマを(編集)プロジェクトとして大々的に展開できるようになる」とステファノウ氏は語った。

Jessica Davies(原文 / 訳:ガリレオ)