製紙各社にとっては板紙の需要は堅調だが、洋紙市況の低迷も足かせとなり、再値上げに踏み切るのはなかなか難しい。段ボール原紙を購入して加工する製段・製函業者は中小企業がほとんどで、薄利多売の事業を強いられている実情もある。

王子・三菱紙が提携拡大。生き残り“待ったなし”
 こうした状況が製紙各社の設備集約による効率化や、設備改造で生産品目を変える転抄といった自助努力を超え、業界を再編へ突き動かした。王子ホールディングス(HD)は2月上旬、三菱製紙の第三者割当増資を引き受けて持ち分法適用会社にすることを決めた。

 両社は07年に資本・業務提携し、王子HDが三菱紙に2%余り出資して情報用紙のOEM(相手先ブランド)供給を受けている。王子HDは三菱グループ5社からの株式取得を含めて約100億円を投じ、持ち株比率を33%まで高めて提携範囲を業務全般に広げて、厳しさを増す製紙業界の経営環境に対処する狙いだ。

 原燃料や資材の共同調達、物流の共同化などにより営業利益で21年度に両社それぞれ25億円以上、合わせて50億円超の収益改善効果を見込んでいる。

 鈴木邦男三菱紙社長は「17年を迎えて洋紙市況が一段と悪化し、アライアンスを深めるために資本関係を強化することにした」と背景を語る。

(文=青柳一弘)