女子ゴルファーという職業は毎年がサバイバルだ。賞金女王、メジャー制覇など一部の資格を除けば、優勝しても付与される出場権は翌年一年間だけだ。賞金ランクで与えられるシードの年数は翌年一年間で男女変わらないが(男子は別に第二シードがある)、優勝すればその年と翌年から二年間付与される男子ツアーよりも女子は一年間少なく、何勝も挙げている実力者であっても毎年のように来年の職場への不安との戦いとなる。シーズン終盤ともなれば、毎週のように「誰が初シードを獲りそうだ、誰々がシード落ちしそうだ」という話が会場で挨拶のように交わされる。
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そんな生存競争が、今年は春から展開される。要因は今季から導入されたリランキング制度(※)だ。前年のファイナルQT上位者は、今まではシーズンフル出場権が与えられたが、今シーズンから前半戦への出場権しか与えられない。前年賞金ランク51〜55位、前年ステップ・アップ・ツアー賞金ランク1位も同様。すなわち、彼女たちは来年のシード獲得の前に、まず“後半戦の出場権”を得なければならないのだ。
※リランキング制度とは、2018年から導入された開幕当初の出場優先順位をシーズン中に見直すシステムで、「アース・モンダミンカップ」、「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」の終了後に、賞金シード以外の女子プロゴルフ協会会員全員の中で、その時点での獲得賞金に応じて順位をつけて、それ以降の試合への出場順位が決まる
選手によってこの制度変更の感じ方は違うだろうが、見る側からすると新たな視点が加わり、楽しみが増えたといっていい。それは“誰がこのサバイバルから抜け出すのか”を見届けることだ。シード権を取るか、逃すかという一発サバイバルだったのが、3段階サバイバルに分かれることになる。リランキングで次の出場権を得られるのは、その時点の賞金ランク40位までと見られ、昨年の数字で見ると、ボーダーラインは以下のとおりだ。
・第一次サバイバル:第一回リランキング(6月4週アース・モンダミンカップまで。2017年同時期のボーダーラインは木村彩子の約231万円)
・第二次サバイバル:第二回リランキング(9月4週ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープンまで。2017年の同時期のボーダーラインは森井菖の約536万円)
・第三次サバイバル:2019年賞金シード(11月3週大王製紙エリエールレディスオープンまで。同時期の2017年のボーダーラインは大山志保の約2239万円)
17年までは、“サバイバル”の観点からするとシード争いだけだったが、新たに二つの競争が加わることとなる。これにより春先の一試合一試合が、それぞれの生存競争に大きな意味を持つ。去年まではシード獲得ラインとなる2300万円前後がサバイバル脱出の目安。二位以下の賞金でこの額を獲得できる大会は存在しないため、シーズン序盤は優勝以外でシードを決めることは難しく、春先はサバイバルがフィーチャーされることはほとんどなかった。それが今年は開幕戦から、まずは第一回リランキングの順位が毎週更新され、いやでも気になることになる。
開幕戦の「ダイキンオーキッドレディス」で3位タイに入った諸見里しのぶと濱田茉優は賞金427万5000円を獲得し、昨年実績を元にすると早々に6月から9月までの出場権を獲得したことになる。一方、今季から日本に本格参戦のキム・ヘリム(韓国)は、9位タイで190万5000円。たらればだが、あと一打減らせていれば、3位タイに入って約398万5000円の賞金を獲得し、ヘリムも一発で決められていた(※ヘリムは昨年7月のサマンサタバサレディースで優勝しており、同大会までの出場権は保持)。
つまり、これまでは春先の試合の最終日は、基本的にアウトスタート、俗にいう表街道の優勝争いばかりに目が行きがちだったが、首位と差の離れたインスタート、裏街道の選手にも注目することで楽しみが増えてくる。例えば、同大会でカットラインギリギリの47位タイで予選を突破した上田桃子は、最終日に「68」を出し、17位まで浮上して約93万円を獲得した。この額は、去年実績で見れば、6月末の40位に入るための約40%。シード選手の上田には関係ない話だが、このように裏街道での頑張りが大きく影響する可能性は低くない。18年は、常に選手のサバイバルが繰り広げられるのだ。
当たり前だが、選手たちは獲得賞金に対してかなりシビアになっている。開幕戦は荒天のため3日目が中止となり、賞金ランクへの加算賞金額は当初の75%に。この結果に対し、予選を突破してすでに賞金獲得を決めていた選手たちは、やるせなさがつのった。「残念です…、早い時期に稼いでおきたかった」(勝みなみ)、「中止はめっちゃ残念です。リランキングがあるので」(松田鈴英)。天候のせいとはいえ、簡単には消化できない問題だ。
このサバイバル合戦から脱出できない限り、ほとんどの選手が次なる望みを懸けて、翌週の試合に休みなく出場することとなる。かかるプレッシャーも試合を経るごとに大きくなり、肉体的だけでなく精神的な疲労も大きくなる。その中で結果を出さなければ淘汰されていく。まさにサバイバルといえる18年シーズン。例年とはまた違ったドラマがいくつも生まれそうだ。(文・秋田義和)
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