DARPA、負傷兵を救う「時間引き伸ばし」治療法を開発中。細胞活動を低速化、まずは机上研究から

 

戦場での医療従事者にとって、負傷兵の治療はいかに短時間で適切な処置ができるかを問われます。DARPAは負傷した患者の生物学的なプロセス遅らせることで、治療に「息をつく時間」をもたらそうとしています。

新しいBiostasis研究プログラムは、細胞活動をタンパク質レベルで抑制する生化学物質を用い、一時的に仮死状態に落とし込むことで治療の時間を引き伸ばします。これによって、患者の病状が致命的になる前に必要な医療が得られる時間的機会を押し広げます。

「言うは易し」という言葉があるように、これは簡単に実現できる研究ではありません。DARPAによると、この治療法を実現するには全身の細胞活動を一様に減速させなければならないとのこと。逆に一部分の活動だけを活発化することも考えられます。そして患者を正常な状態に戻すまで、あらゆる損傷を最小限に抑えなければならないのは言うまでもありません。

Biostasisプログラムはまだ日の浅い研究であり、実際のところDARPAでもさほどプライオリティの高い研究ではない模様です。そのためか、プロジェクトはまず最初の5年間でこの方法が可能であるかを机上で証明することに集中します。

ただ、もしこれが部分的にも実現可能になるならば、それは戦場だけでなくあらゆる救急医療現場において有益な結果をもたらすことが予想されます。つまり救急隊員には要救護者を病院に搬送するまでの、医者もまた生命をつなぎとめるための診断と処置のための、時間的な余裕が増えることになるはずです。