「うちの夫の寝起きが大変悪くて、毎朝ユーウツです。目覚まし時計は放り投げてしまうし、起こしてあげても“うるさいっ!”と怒鳴られてしまいます。それで起きるならいいんですけど、起きません。そんなことを何度か繰り返して、ようやく起きます。もっとすんなり起きてほしいのですが、いい方法はないでしょうか?」(32歳・M子さん)という質問です。

上手に起こす方法はあるのでしょうか?睡眠コンサルタントの友野なおさんに聞いてみました。

寝室環境を整える。ポイントは朝日

旦那様には、さわやかに起きてもらいたいですよね。まず寝室を起きやすい環境に整えましょう。ポイントは2点。光と室温です。

人は朝の光によって目覚めるのがもっとも自然で、無理なく起きられます。この旦那様にも光の刺激を与えることが一番だと思います。

そのためには外界が明るくなるとともに室内が明るくなるよう、遮光カーテンを使わないことをおすすめします。

遮光カーテンを使っている場合は、寝る前に10センチほどカーテンを開けておきます。そうしておけば、朝の光が寝室の中にも差し込んできます。

次に、室内の温度について。地域によりますが、この季節ですとまだ朝は冷え込みます。人間だれでも寒いと起きにくいもの。寝起きが悪ければ、なおさらでしょう。そこで、旦那様が起きる時間に合わせてエアコンのタイマーをかけ、寝室を温めておきましょう。目覚めたとき部屋の中が温かければ、起きやすいはずです。

起こすときは名前を呼んであげましょう

次に起こし方。相談者の旦那様は目覚まし時計をかけているそうですが、それでは起きられない。放り投げてしまうこともあるとのこと。その目覚まし時計は、どんな音が鳴るのでしょうか? 

これは寝起きの善し悪しに関係なく言えることですが、目覚まし時計のジリジリジリ!といったアラーム音は、身体にも心にもよくありません。警報を鳴らされるのと同じですから、脳も身体もビックリして、いきなり交感神経が優位になってしまいます。突然こうした音を聴かされるのは、心身に大きな負担をかけてしまうのです。

「起きた瞬間から疲れている」「寝たのに寝た気がしない」という経験、誰しも1度は経験があると思いますが、アラーム音で強制的に起こされると、よく眠れたとしても、熟睡感が減ってしまうことが指摘されています。

せっかく寝たのにストレスを感じながら起きれば、日中のパフォーマンスにも影響があるでしょう。このように、目覚まし時計のアラーム音は人に優しいとは言えませんね。

ではどうしたらいいか。光の刺激と併せて名前を呼んで起こしてあげましょう。「起きて、起きて」と声をかけるのではなく、「タロウさん」「タローちゃん」など名前を呼んであげるのがベスト。もちろん、やさしく呼びましょう。夫婦ならどちらか先に起きたほうが、起こしてあげることができますね。

ひとり暮らしの場合は起こしてもらうわけにはいきませんが、目覚まし時計の音を工夫してみましょう。ジリジリジリ!とか、ピピピピ!というアラーム音より、鳥の鳴き声や軽やかなメロディーなどがいいと思います。ひとり暮らしでも、彼から名前を呼んでもらい、それを録音しておいて目覚ましに使うという方法もあります。朝スッキリ起きられない方、寝起きの悪い方、ぜひ試してみてください。

「朝からジリジリうっせえんだよ!」とキレる夫を、さわやかに起こす方法は?



■賢人のまとめ
寝起きの悪い人を起こすためには、寝室環境の整備と起こし方が大切です。寝室に朝日が入るように、遮光カーテンを使わない。使う場合は少しカーテンを開けておきます。また目覚まし時計ではなく、名前を呼んで起こしてあげると案外素直に起きてくれると思いますよ。

■プロフィール

睡眠の賢人 友野なお

睡眠を改善したことにより体質改善に成功した経験から、睡眠を専門的に研究。
科学でわかるねむりの環境・空間ラボ主宰。著書に『やすみかたの教科書』(主婦の友社)など。