バナナにシロッコに懐かしカラー、MWC2018のノキアはリバイバル製品にあふれていた:山根博士のスマホよもやま話
各社から新製品が相次いで発表になったMWC2018の取材が終わりました。MWC2018の初日、筆者が真っ先に取材したのはノキアブースでした。ノキアブランドでスマートフォンを出すHMD Globalが新製品を複数展示していましたが、今年の目玉はまたしても復刻版の携帯電話。映画マトリックスでも有名になったNokia 8110の4G版に驚きつつ、プレミアムラインの復活を予感させる動きもうれしいものでした。

オリジナルのNokia 8110は縦長スタイルで、10キー部分を覆うカバーがスライドするギミックを持っていました。映画では主役のキアヌ・リーヴスが片手にNokia 8110を持ち、側面を押すとカバーが自動的に伸びていましたが、実製品はスライド機構は手動式でした。なおノキアはその後、ボタン一つでカバーが自動で伸びる「Nokia 7110」を製品化しています。本体カラーは8110と区別するためか緑色でした。


一方スマートフォン新製品のうち、「Nokia 8 Sirocco」も復刻版といえる製品です。「Sirocco」の名前にピンと来たノキアマニアの人もいるはず。過去にノキアのプレミアムライン「8800シリーズ」の一製品として「Nokia 8800 Sirocco」が2006年に発売されていたのです。このNokia 8800シリーズ、その元祖のモデルは前述したNokia 8110でした。ということで今年のノキアブースはマニアにうれしい製品が並んでいたというわけです。



ノキアの携帯電話は過去に4桁数字の型番が付けられていました。頭の数字でラインナップがわけられ、8000番台はデザインに特化したモデルでした。1996年に登場したNokia 8110は、その2年後に金属メッキボディーの「Nokia 8810」としてリニューアルします。そしてこれ以降、頭に「88」の付くモデルはプレミアムラインの高級モデルとなりました。8810の後は金属ボディー化された「Noia 8850」「Nokia 8890」が登場。アジア限定の「Noiia 8855」が生まれるなど、Nokiaの8800番台は高級機を求める層に一定の人気があったのです。2005年にはステンレスボディの「Nokia 8800」が登場。スマートフォンではなく携帯電話ながらも20万円近くする価格でしたが、その質感は価格にふさわしい高級感あふれるものでした。

筆者もNokia 8800を大枚はたいて購入しましたが、所有する喜びを十二分に味わえる仕上がりの良さに感動したものです。ちなみに着信音は坂本龍一がアレンジしました。そしてこの8800シリーズのバリエーションモデルとして後に登場したのがNokia 8800 Siroccoだったのです。


ノキアがその後マイクロソフトと提携しWindows Phoneを出した時、Lumiaの800番台のモデルは過去の8000、8800シリーズ同様にプレミアムな製品になると思っていました。ところが出てきた製品は他のモデルと同様のカラフルな樹脂製ボディー。「8」の型番は機能別につけられたものにすぎず、がっかりした記憶があります。


2017年にAndroidで復活したノキアのスマートフォンは、「Nokia 6」以降、「Nokia 5」や「Nokia 3」が発売になり、その後「Nokia 8」も登場しました。Nokia 8はアルミ製のユニボディーよりも、カールツアイス製のカメラユニットを搭載したカメラ機能をフィーチャー。「8」の型番は今回も機能別に付けられたものなのだろう、と筆者は思ったのです。


しかしMWC2018で発表されたNokia 8 Siroccoは、エッジディスプレイを採用したデザイン強化製品となり、その外観も特徴的な製品として登場。「8」と「Sirocco」の組み合わせに納得できる、ちょいプレミアムなスマートフォンと言えます。恐らく再び8800シリーズを復活させようとHMD Globalは考えているに違いありません。

なお近日中にフラッグシップモデルとなる「Nokia 9」が登場するでしょう。このNokia 9の下に位置するモデルはMWC2018で発表された「Nokia 7 Plus」となり、一方、Nokia 8シリーズは性能・機能優先ではなくデザインを優先したモデルになる、と筆者は推測します。

ところで超高級端末を出していたVERTU(ヴァーチュ)は、Nokiaの8800シリーズの開発部隊がノキアからスピンアウトして生まれたもの。VERTUのスマートフォンも無くなってしまった今、Nokia 8ラインの今後の展開に期待したいものです。

さて復刻ネタはまだ続きます。エントリーモデルとなる「Nokia 1」も発表されましたが、本体のカラーに注目です。ダークブルーやオレンジなどが用意されますが、この色合いは昨年の復刻モデルであり、過去のベストセラー端末だった「Nokia 3310」と同じものなのです。



Nokia 1は「誰もが使える入門スマホ」という位置づけですが、それを強く表す意味合いとして、Nokia 3310と同じカラーを纏っているわけです。古くからのノキアユーザーで今でもフィーチャーフォンを使っている年配の方などは、Nokia 1を手に取れば「昔使っていたなあ」と過去を思い出すでしょう。


ということでMWC2018ではNokia 8110の復刻が多く取り上げられていますが、実はNokia 8 Sirocco、Nokia 1も同様に過去製品をフィーチャーした端末なのです。気が付けばノキアのスマートフォンも10機種近く揃ってきました。この調子で製品をうまく作り分けていけば、シェア上位に食い込む日がやってくるかもしれませんね。